2018信州総文祭の公式名称は・・・
『第42回全国高等学校総合文化祭 2018信州総文祭』
これは高校文化部のインターハイ
2018年は長野県が主催県として
総文祭総合開会式を開催するということを
主催者である長野県の総文祭推進室ご担当者から伺ったのが
2017年の3月だった。
オリンピックの開会式のようなイメージかな。
この総文祭には全国から2万人の高校生が集うという。
そもそも「総文祭」という名称すら、私は聞いたことがなかった。
推進室からご依頼をいただいたのは総合プロデューサーと言う大任。
私は劇団を立ち上げて以来、自分ではそれと知らずに
総合プロデューサーの役割を果たしていたということに気づいたのが
これを遡ること数か月前だった。
私は本来演出家だけど、スタッフ&キャスト総勢100名が携わる
ナガノオープンエアシアターにおいては
芝居だけでなく、制作・広報・大道具・小道具・衣装・音楽・振付に至るまで
全てが私が司令塔となって進行する。
つまり、全てを統括し、円滑に進めていくための司令塔がプロデューサー。
しかし信州総文祭は関わる人数が、オープンエアの比ではない。
しかも高校と言う教育現場で行われる祭典。
「私にできるのだろうか・・・」と悩んだ。
演劇を広めることを目標に掲げていた私にとって
高校生に何らかの形で演劇に携わってもらえる機会になるとすれば
進んでお引き受けすべきなのではないか・・・という結論に達し
お引き受けすることを決意したのが
一昨年のことだった。
その後、生徒実行委員会に出席して
生徒たちが総合開会式でやりたいことに耳を傾け
彼らの希望を私なりに最大限取り入れた台本を執筆。
総文祭推進室、諸先生方、演劇専門部の皆さんのご協力をいただき
2017年10月にプレ大会総合開架式を無事に終えた・・・
あ、本大会の前年度に行うのがプレ大会
簡単に言えば本番のリハーサル。
全国総合開会式には都道府県の生徒代表と
文化専門部の代表が集い
式典と生徒発表が行われる。
第1部が式典、休憩をはさんで第2部が生徒発表となっており
生徒発表は、構成劇かアラカルトというスタイルが主流。
何か面白いことを・・・というご要望をいただいき
第1部と第2部の間の休憩を取らずに繋げてみては?
とご担当の方々とご相談。
構成劇ではなく、ストーリーのある生徒発表にしたいという
ご要望に応えるべく、創意工夫を凝らしたプレ大会だったが
演劇要素が強すぎたというご意見があり
本大会は、より生徒の意見を尊重した生徒発表を!ということで
2017年12月にシナリオ委員会が発足。
以来数回の会議を重ね、台本の骨格が出来たのが3月末。
私は劇団本公演の稽古と会議が被ったり
公演日と会議が被ったりして2度ほど欠席したが
演劇専門部の顧問の先生方の多大なご尽力で
生徒の意見が反映された台本が仕上がった。
プレ大会の時は、先生方との距離が今一つ縮まらなかったが
このシナリオ委員会のおかげで
先生方とコミュニケーションをとれるようになった。
生徒たちもプレ大会の時より何倍も成長し
自分の意見を述べつつも他者の意見に耳を傾けるようになり
実行委員としての自覚も強くなって
みんなで総合開会式を成功させよう!という団結が育まれ・・・
本大会の生徒発表は長野県独自のハイブリッド方式。
これは、文化専門部と演劇の2つが同じウエイトで紡がれていく方式。
しかも本大会は、世界4か国からも代表生徒が参加して
それぞれパフォーマンスを披露することになっている。
これらをすべて組み合わせつつ、全てが相乗効果となり
感動のストーリーが浮かび上がる・・・
この難しいご要望に、演劇部の顧問の先生方とご相談しながら進めていく。
本番は8月7日(火)
その直前には生徒実行委員会の合宿があり
本番5日前から会場であるまつもと市民芸術館入り。
この時期は、野外劇の稽古が佳境で通し稽古に入らねばならない。
このお仕事をお引き受けする時、劇団員に相談したところ
青木さんがいないときは、自分たちが稽古を進行する、と約束してくれた。
その言葉通り、劇団員たちが稽古を順調に進行してくれたおかげで
昨年の野外劇も滞りなく好評のうちに幕を閉じることができた。
支えてくれた劇団員たちに感謝!
総文祭は高校生の祭典だが、その裏側では
多くのプロフェッショナルな大人たちが支えている。
長野舞台さん、セレスポさん、共立プランニングさんの献身的な動きを見て
私もたくさん学ばせていただいた。
●オファーを受けた仕事に対する姿勢
●主催者の真意をくみ取る度量
●ご要望を最大限実現させるための創意工夫
●無茶な要望があった場合、相手を説得するためのポイント
言葉の選び方一つでボタンの掛け違いが起き
いつしか暗雲が発生し、時には雷が落ちる。
早い段階で掛け違いであることに気づくことが肝要。
人はそれぞれ大切に思うことが違う。
好みも違う。
本当は、自分の物差しは置いておいて
その企画に最適な物差しを持つことができればいいんだけど
これがなかなか難しい。
推進室のご担当者も専門部の先生方も
舞台スタッフさんも、業者さんも
誰もが総合開会式の成功を願っている。
思いが強ければ強いほど
意見のバトルがあるのは普通のこと。
大切なのは生徒たちの意見と心意気を尊重し
総合開会式を大成功で終えることであり
そのために必要なことであれば
自分の意見は飲み込み、他者の意見を理解する・・・
これが総文祭を通じて私が学んだことの筆頭だ。
実際に会場入りしてからは演出家としての働きも行ったけど
本大会に向かう過程での私の任務はパイプ役、だったかと。
先生方、推進室、舞台スタッフ、業者を繋げるパイプ役。
これって非常に大切な役割・・・だったと今になって改めて思う。
仕事を成功させるか否かは、コミュニケーションの良否で決まる。
以前から思っていたし、就職支援講座でも話していたことだけど
身をもって痛感したのが総文祭だった。
演劇は他者と関わりながら創り上げていくモノ。
ギクシャクしながら、不平不満を言いながらでも
台本と演出が良ければ、そして役者に力量があれば
お客様に感動していただくことは可能だが
みんなが気持ちよく、もっとやりたい、もっと頑張りたいと思えば
それ以上に凄い舞台が出来上がるに違いない。
8/7の総合開会式は、秋篠宮殿下、紀子様をお迎えして晴れやかに開催され
お天気にも恵まれ、プレ大会で雨天中心になったパレードも無事行われた。
本番は圧巻だった。
式典も素晴らしかったし、生徒発表もスムーズに流れ
世界4か国のパフォーマンスも素晴らしく
長野県高校生の文化専門部発表もクオリティが高くて
間を紡いだ演劇部の生徒さんたちも落ち着いて演技をしている。
染谷丘のダンス班の演劇的パフォーマンスも言うことなし♪
観ていて心地よく、とても楽しめた。
(あ、一か所音響ミスがあった!お客様は気づかなかったようだけど)
発表最後のシーン、式典音楽隊と大合唱団による「第九」~
グランドフィナーレの全員ダンスの大迫力は
皆さんにもお見せしたかったなぁー
生徒実行委員に志願した生徒たちは
ナニモノに代えがたい経験が出来たことでしょう。
この記憶は一生消えることがないでしょう。
どんなに大変でも辛くても
諦めずに最後までやり抜いた総文祭は
まさにみんなの「たからもの」
あとで聞いた話によりますと
全員ダンスのシーンで紀子さまがご一緒に踊ってくださったとか・・・
秋篠宮殿下、皇室関係者も非常に評価してくださったそうです。
生徒の皆さんの頑張りと、関係者の皆様のご尽力で
無事総合開会式を終えることが出来ました。
ご関係の皆様に心から御礼申し上げます。
誠にありがとうございました!
高校生との交流を通して
日本の未来は捨てたもんじゃない
未来を明るくするか暗くするかは教育次第
改めて教育・・・子どもたちに対する大人の導き方が重要だと痛感。
だって、生徒たちは・・・子どもたちは能力がある。
けど、その能力は機会がなければ埋没してしまう。
いや、能力があることに気づけないまま
大人になってしまう可能性もある。
私が須坂☆キッズシアタープロジェクトの内容を
少し高度に設定している理由がコレ。
総文祭に携わることができた高校生の皆さんへ
この経験で培ったことを糧として
明るい未来を自分たちの手で掴みとろう。
皆さんの今後の活躍を楽しみにしています(*^▽^*)