ロック探偵のMY GENERATION

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ゼレンスキー大統領の国会演説

2022-03-24 16:22:09 | 時事


昨日のことになりますが、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会でリモート演説を行いました。
あいにくリアルタイムで見ることはできませんでしたが、ニュースサイトで全文が掲載されていたので、読んでみました。

事前にいろいろといわれていましたが……まあそのあたりにも配慮した内容だったのかな、という印象です。
私としては、今後のことについて話している部分が印象に残っています。
たとえば、以下の部分。

〈全世界が安全を保障するために動けるためのツールが必要です。既存の国際機関がそのために機能できていないので、新しい予防的なツールを作らなければなりません。本当に侵略を止められるようなツールです。〉

国連も機能しない状況で、いかにして平和を維持するか……
ここで重要なのが、いま世界各国が行っている制裁でしょう。
うかつに武力行使なんかしたら、国家だけでなく民間企業も含めてありとあらゆる制裁を受ける、だから、武力行使はできない……今回の件を、そういう事例にするべきなのです。武力行使は、明らかに失うもののほうが大きすぎる――そのことが、今度どこかの大国が他国を侵略しようとしたときの抑止力になるでしょう。
逆に、もしもこれでへたにロシアの要求をとおすと、逆のメッセージになってしまいます。自国の主張を押し通すのに、軍事力は有効な手段だ、と……それはまずいわけです。

こんなふうにいうと、なにかこの戦争を利用しようとしているように聞こえるかもしれませんが……
しかし、この戦争において当事国以外の第三者がとれる選択肢は、基本的に三つしかありません。
 ・軍事的に介入する(参戦)
 ・非軍事的に介入する(経済制裁など)
 ・なにもしない
のどれかです。
どれをとったところで、よい選択とはいえません。どれを選んだところで、戦争という悲劇がはじまってしまったことに変わりはなく、また、三者三様に副作用があるでしょう。しかし、現実としてこの三つのどれかを選ばなければならない。そして、この三つの中でどれが一番ましかといえば、非軍事的な介入だと思われるのです。
ウクライナ侵攻がはじまってから、もう一か月。
私は、ゼレンスキー大統領を英雄とも正義の味方とも思いませんが、とにかくこの戦争は止めなければならない。非軍事的な手段によって、戦争を止めるということができるなら、それはゼレンスキー大統領がいうところの「新しい予防的なツール」の萌芽ともなりうるでしょう。ここに人類の知恵を結集してもらいたいところです。