今回は、音楽記事です。
このカテゴリーでは、最近「UK版BIG4」について書いてきました。
アイアン・メイデンにはじまり、ジューダス・プリースト、ブラックサバス――そして今日、いよいよ大トリとして、Motorhead
にご登場いただきましょう。
ここで一つ断っておきますが……この登場順は、決して“序列”ではありません。
UK版BIG4の面々は、それぞれが一つの国を統べる王のような存在で、序列をつけがたいところがあります。あくまでも、話の流れでこういう順番になったということです。
ただ、このBIG4のなかで、モータヘッドは他の3組に比べると、やや知名度が劣るでしょう。
特に日本では、あまりその名を知られていないのではないかとも思われます。
しかしながら、それは決して彼らが低く評価されているということを意味しません。
そのアクの強さゆえ、誰もが好んで聴くようなサウンドではないでしょうが、後のメタルにも相当の影響を与えていると思われます。
その代表曲 Ace of Spades のライブ映像を、公式YouTubeチャンネルから引用しておきましょう。
Motörhead – Ace Of Spades (Live in Belfast, 1981)
まあ確かに、「これはちょっと……」となる人がいるのもわからんではありませんが。
モーターヘッドは今年の“ロックの殿堂”で候補に入っていたものの殿堂入りを逃しているんですが、そのあたりも、やはり“アクの強さ”によるのかもしれません。この件について、メタリカのカーク・ハメットは「年寄どもにはあのよさがわからねえんだ」と苦言を呈しています(大意です。実際はもうちょっとオブラートに包んだ言い方をしてます)。つまりは、そういうことなんでしょう。
少なくとも私は、UK版BIG4のなかでモーターヘッドがもっとも好みです。
正直なところ私はメタル方面をちょっと敬遠しているところがあるんですが、モーターヘッドはそんな私にも響いてくるものを持っています。メタルを突き抜けてくる何かがあるのです。Vo/Baのレミー・キルミスターは若いころにジミ・ヘンドリクスのローディをやってたんだそうですが、ひょっとするとそういったところも関係しているかもしれません。
実は、ここ最近書いていたいくつかの記事のなかで、モーターヘッドの影はちらついていました。
たとえば、UFOの記事で名前が出てきたラリー・ウォリス。
当該記事でも書きましたが、彼はモーターヘッドが正式に世に出る前にギタリスト候補でした。
あるいは、スコーピオンズ。
現在スコーピオンズでドラムを叩いているミッキー・ディーは、かつてモーターヘッドに参加していました。
そして、モーターヘッドの活動終了を宣言したのが、このミッキーさんなのです。
奇しくも、マイケル・シェンカーでつながるUFOとスコーピオンズは、モーターヘッドの誕生とその終焉に関与していることになります。
ミッキー・ディーがモーターヘッドの活動に終止符を打ったのは、2015年のこと。
以前ジューダス・プリーストの記事でも書きましたが、この年フロントマンであるレミー・キルミスターが死去。結成当初から在籍していた唯一のメンバーであり、唯一無二の個性をもつレミー……この男なしでのモーターヘッドはありえません。ミッキーさんも、引導をわたすよりほかなかったでしょう。こうしてモーターヘッドは、40年の歴史に幕をおろしたのでした。
ちなみに、モーターヘッドにかつて在籍していたメンバーたちも、レミーの死と前後して、この数年で相次いで亡くなっています。
たとえば、先述したラリー・ウォリスは、昨年死去。
ラリーの後任で初期の正ギタリストとなったエディ・クラークも、その前年すでに死去しています。
そして、初期のドラマーだったフィル・テイラーも、レミーと同じ2015年にこの世を去りました。
70年代以降ぐらいのデビューでメンバーがこれだけ死亡しているバンドというのもなかなか珍しいんじゃないでしょうか。
パッと思いつくのはラモーンズぐらいのものです。そういえば、モーターヘッドはラモーンズに曲を提供したりもしていました。
生き急いだということでしょうか……
しかし、モーターヘッドにせよ、ラモーンズにせよ、そのことが実に彼らの音楽にふさわしいとも思えるのです。
モーターヘッドに話を戻すと、最近レミー・キルミスターの人生を描いた映画が企画されているそうです。
ジミヘンのローディ時代のことなんかも描かれるということで、これはマストウォッチでしょう。実際の制作は来年を予定しているということなので、公開はだいぶ先のことになると思いますが……ぜひ、劇場で観たいところです。