黒人の私立探偵デレク・ストレンジは、叔父殺しを含む十数件もの殺人に関与し、さらに、オリヴァー・ギャングを率い、サウスイースト地区で長年にわたり、麻薬商売をほしいままにしてきたといわれるギャングのボス、グランビル・オリヴァーの弁護を担当する弁護士事務所から、反対尋問のための証拠と資料を集める仕事を引き受ける。
ここホワイトハウスのあるワシントンDCを舞台に、アメリカの恥部とも言える銃社会のやりきれない現実をいきいきと描いている。うらびれた建物や街路、麻薬の売人、ギャングの抗争が渦巻く中で、ストレンジ家の夫婦愛や家族愛がその土地の匂いや風に乗って心の琴線に触れる。
私立探偵という職業柄調査に車を使うが、車の中で聴く音楽の多彩さに目を見張る。ニール・ヤングに始まり、ウォー、アル・グリーン、スティーヴ・アール、ブルース・スプリングスティーンおまけにご愛嬌なのはマカロニウェスタンの映画音楽も含まれていることだ。肩の凝らない気楽に読める本だ。
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