今日(2/12)松竹座 二月花形歌舞伎 昼の部を観に行ってきました。
慶安の狼 (11:00~12:35)
慶安4年三代家光によって多くの大名がお取り潰しになり、江戸には浪人があふれ、幕府は浪人狩りを行っていた。
そんな幕府に不平不満を持つ浪人たちの中に、由比正雪(染五郎)のが中心となって倒幕計画が実行されようとしていた。
由比道場に槍の名手として通う浪人丸橋忠弥(獅童)に、幼なじみで佐竹家家臣の野中小弥太(愛之助)は佐竹家に仕官を頼んだので、由比道場とは縁を切るよう諭すが、忠弥は武芸の道だと言って断る。
家光逝去で、小雪たちの統幕計画が実行されようと動き出したが…。
もともと、このお話は新国劇として上演されたそうです。
良い意味で全く歌舞伎でなく、シリアスで現実的な表現のお芝居でした。
音楽もテープでした。
舞台は江戸時代初期なのですが、なんとなく幕末のような「大儀のためなら身内であっても容赦せん」という雰囲気がただよっていました。
自身ではどうしようもない運命のうねりに従うしかない忠弥。そして、また深い忠誠心より友人を裏切ってしまう小弥太の二人の最期が壮絶で、もう感動しました。
途中、少しの場面しか登場のなかった小雪の存在感も良かったです。
時勢や人間を冷静にみつめ、行動する小雪。
新八(宗之助)に銃を渡し忠弥を撃つよう命じるも、忠弥が返り討ち。そのときの舞いながらの幕切れがとっても印象的でした。
セットも上手くできていて、特に居酒屋の戸の外でもお芝居がされていて、奥行きがでていました。
久しぶりに会った忠弥と小弥太が夕暮れに別れる件が名場面だったと思います。
台詞も心にズーンと響き渡りました。
由比一味に目をつけられた小弥太が居酒屋で襲われ、それを忠弥が助ける件で「二人はおぬしが斬ったのだ。俺の心はおぬしが斬ったのだ。」と。
佐竹家へ仕官の道をあきらめた忠弥の心をこんなにかっこよく表現できるなんて。
その事件後、しばらく会わなかった二人が居酒屋で再会。そのときの忠弥が「この世は奪うもの奪われるもの、どちらかにつくによって人生が決まる。」
お前とはもう違う道だから、どうしようもない。なんかここまでして生きていかないといけないのかと。
一番感動したのが立ち回りです。
小弥太の忠告によって、佐竹藩と町奉行が捕まえにやってくる件。
やっつけてもやっつけても捕り手が次から次から。得意の槍は壁にかかったまま。
捕り手が「槍を持たせるな。」と取らせない、丸橋家のじい(?)が命がけで槍を守り、それを救おうとした小弥太が斬られる。
裏切ってしまったはずの小弥太が藩に裏切られ、「ええい、丸橋忠弥一家の野中小弥太だぁっ。」と言って深手を負った二人が大立ち回り。
本当に斬っても斬っても捕り手が出てきて、迫力満点でした。
途中、回り舞台が回って、立ち回りをさらにスケールの大きいものにしていたと思います。
幕切れは息絶えた小弥太を自身にくくりつけても尚、槍で応戦する忠弥でした。
前々から言い尽くしているのですが、本当に、歌舞伎じゃない獅童さん最高です。
「黒部の太陽」、「反逆児」、「一心太助」、そしてこの「慶安の狼」。
本当、素晴らしかった。彼の代表作のひとつとなるんじゃないでしょうか。
大當り伏見の富くじ(13:10~14:45)
染五郎さんが歌舞伎にも喜劇をということで作られた新作。
いい意味でこれまた、全く、全然歌舞伎ではありませんでした。
これも、音楽が全編テープでした。
元は質屋の若旦那幸次郎、預かった屏風を紛失したため店が潰れ、今は紙屑屋として店再興を願っている。
ある日、河原で財布を拾い、その金で鳰照太夫に会いに島原へ。
買った富くじが一等の千両。しかし、川に落としてしまい…さてさて。
一応あらすじはありますが、ずーーーーーーーーーーっとドッタンばったんとギャグの応酬。
鳰照太夫は翫雀さん。女形の藤十郎さんそっくり。
にっって笑って、花道の花魁道中ではこけるし、禿の吉太郎くんには「またこけた~。」もう一人の禿ちゃんに「言うたらあかん。」の繰り返し。
幸次郎はカッパと財布を取り合うし、犬に橋で慰められるし。むちゃくちゃ。
むちゃくちゃやったのが、獅童さん。
幸次郎の妹を我が物にしようとむちゃくちゃ。普通のカツラにハゲのカツラをかぶってずらしてたり、もうむちゃくちゃ。
本妻がやってきて、言い訳する件では多分平泉成さんのモノマネやったと思います。
愛之助さんが素で笑ってはりました。
花道から引っ込むときは「拍手するな~。」って。獅童さんやりたい放題。すごい。おもしろい。
亀鶴さん、右近さんの若旦那コンビも息があってたと思います。
右近さん亀鶴さんに思いっきり扇子で額をびしんってやられてました。ほんまに痛そうでした。
やり手婆の竹三郎さんは本当上手い。先月の里見八犬伝で同様、間がすばらしい。しかも今回は関西弁ですからさらに面白さパワーアップでした。
EXILEのchuchuトレインや家政婦のミタの「承知しました。」歌六さんが古畑風の音楽でそれ風に台詞を言ったり、みなさん大変。
抜け雀は落語から取ってきたんでしょうねえ。うまいことしてました。
先月の八犬伝で一瞬しか見れなかった米吉さん。今日は鳰照太夫についている新造さん役。
しもぶくれ気味のおちょぼ口、かわいい。声もいい。そのまま色気づいて成長してほしいです。
若手の女形さんは本当豊富ですね。
壱太郎さんは言うまでもなくかわいい。ひたすら獅童さんから逃げててかわいい。
エンディング(とあえてカタカナで言ってしまおう)では花道から米吉さんと出てきて、七三で踊り。むっちゃかわいくていつまでも見ていたいと思いました。いや~、若いっていいねえ。
それに続いて、主要キャストがずらずら~っと出てきて踊り。
中央には大階段がしつらえてあって、そこから獅童さんと愛之助さん、そして紫と白の豪華な若旦那風の染五郎さん、そしてすっぽんからは翫雀さん。金の紙ふぶきの中踊り。
もうちょっと長かったらなあ。
カーテンコールが1回ありました。
慶安の狼 (11:00~12:35)
慶安4年三代家光によって多くの大名がお取り潰しになり、江戸には浪人があふれ、幕府は浪人狩りを行っていた。
そんな幕府に不平不満を持つ浪人たちの中に、由比正雪(染五郎)のが中心となって倒幕計画が実行されようとしていた。
由比道場に槍の名手として通う浪人丸橋忠弥(獅童)に、幼なじみで佐竹家家臣の野中小弥太(愛之助)は佐竹家に仕官を頼んだので、由比道場とは縁を切るよう諭すが、忠弥は武芸の道だと言って断る。
家光逝去で、小雪たちの統幕計画が実行されようと動き出したが…。
もともと、このお話は新国劇として上演されたそうです。
良い意味で全く歌舞伎でなく、シリアスで現実的な表現のお芝居でした。
音楽もテープでした。
舞台は江戸時代初期なのですが、なんとなく幕末のような「大儀のためなら身内であっても容赦せん」という雰囲気がただよっていました。
自身ではどうしようもない運命のうねりに従うしかない忠弥。そして、また深い忠誠心より友人を裏切ってしまう小弥太の二人の最期が壮絶で、もう感動しました。
途中、少しの場面しか登場のなかった小雪の存在感も良かったです。
時勢や人間を冷静にみつめ、行動する小雪。
新八(宗之助)に銃を渡し忠弥を撃つよう命じるも、忠弥が返り討ち。そのときの舞いながらの幕切れがとっても印象的でした。
セットも上手くできていて、特に居酒屋の戸の外でもお芝居がされていて、奥行きがでていました。
久しぶりに会った忠弥と小弥太が夕暮れに別れる件が名場面だったと思います。
台詞も心にズーンと響き渡りました。
由比一味に目をつけられた小弥太が居酒屋で襲われ、それを忠弥が助ける件で「二人はおぬしが斬ったのだ。俺の心はおぬしが斬ったのだ。」と。
佐竹家へ仕官の道をあきらめた忠弥の心をこんなにかっこよく表現できるなんて。
その事件後、しばらく会わなかった二人が居酒屋で再会。そのときの忠弥が「この世は奪うもの奪われるもの、どちらかにつくによって人生が決まる。」
お前とはもう違う道だから、どうしようもない。なんかここまでして生きていかないといけないのかと。
一番感動したのが立ち回りです。
小弥太の忠告によって、佐竹藩と町奉行が捕まえにやってくる件。
やっつけてもやっつけても捕り手が次から次から。得意の槍は壁にかかったまま。
捕り手が「槍を持たせるな。」と取らせない、丸橋家のじい(?)が命がけで槍を守り、それを救おうとした小弥太が斬られる。
裏切ってしまったはずの小弥太が藩に裏切られ、「ええい、丸橋忠弥一家の野中小弥太だぁっ。」と言って深手を負った二人が大立ち回り。
本当に斬っても斬っても捕り手が出てきて、迫力満点でした。
途中、回り舞台が回って、立ち回りをさらにスケールの大きいものにしていたと思います。
幕切れは息絶えた小弥太を自身にくくりつけても尚、槍で応戦する忠弥でした。
前々から言い尽くしているのですが、本当に、歌舞伎じゃない獅童さん最高です。
「黒部の太陽」、「反逆児」、「一心太助」、そしてこの「慶安の狼」。
本当、素晴らしかった。彼の代表作のひとつとなるんじゃないでしょうか。
大當り伏見の富くじ(13:10~14:45)
染五郎さんが歌舞伎にも喜劇をということで作られた新作。
いい意味でこれまた、全く、全然歌舞伎ではありませんでした。
これも、音楽が全編テープでした。
元は質屋の若旦那幸次郎、預かった屏風を紛失したため店が潰れ、今は紙屑屋として店再興を願っている。
ある日、河原で財布を拾い、その金で鳰照太夫に会いに島原へ。
買った富くじが一等の千両。しかし、川に落としてしまい…さてさて。
一応あらすじはありますが、ずーーーーーーーーーーっとドッタンばったんとギャグの応酬。
鳰照太夫は翫雀さん。女形の藤十郎さんそっくり。
にっって笑って、花道の花魁道中ではこけるし、禿の吉太郎くんには「またこけた~。」もう一人の禿ちゃんに「言うたらあかん。」の繰り返し。
幸次郎はカッパと財布を取り合うし、犬に橋で慰められるし。むちゃくちゃ。
むちゃくちゃやったのが、獅童さん。
幸次郎の妹を我が物にしようとむちゃくちゃ。普通のカツラにハゲのカツラをかぶってずらしてたり、もうむちゃくちゃ。
本妻がやってきて、言い訳する件では多分平泉成さんのモノマネやったと思います。
愛之助さんが素で笑ってはりました。
花道から引っ込むときは「拍手するな~。」って。獅童さんやりたい放題。すごい。おもしろい。
亀鶴さん、右近さんの若旦那コンビも息があってたと思います。
右近さん亀鶴さんに思いっきり扇子で額をびしんってやられてました。ほんまに痛そうでした。
やり手婆の竹三郎さんは本当上手い。先月の里見八犬伝で同様、間がすばらしい。しかも今回は関西弁ですからさらに面白さパワーアップでした。
EXILEのchuchuトレインや家政婦のミタの「承知しました。」歌六さんが古畑風の音楽でそれ風に台詞を言ったり、みなさん大変。
抜け雀は落語から取ってきたんでしょうねえ。うまいことしてました。
先月の八犬伝で一瞬しか見れなかった米吉さん。今日は鳰照太夫についている新造さん役。
しもぶくれ気味のおちょぼ口、かわいい。声もいい。そのまま色気づいて成長してほしいです。
若手の女形さんは本当豊富ですね。
壱太郎さんは言うまでもなくかわいい。ひたすら獅童さんから逃げててかわいい。
エンディング(とあえてカタカナで言ってしまおう)では花道から米吉さんと出てきて、七三で踊り。むっちゃかわいくていつまでも見ていたいと思いました。いや~、若いっていいねえ。
それに続いて、主要キャストがずらずら~っと出てきて踊り。
中央には大階段がしつらえてあって、そこから獅童さんと愛之助さん、そして紫と白の豪華な若旦那風の染五郎さん、そしてすっぽんからは翫雀さん。金の紙ふぶきの中踊り。
もうちょっと長かったらなあ。
カーテンコールが1回ありました。