ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

狡童

2017-07-28 04:24:02 | 短歌





狡童を 恨む甲斐なく 朽ち落ちし 花は月下に 種を抱かむ






*今日も人間の歌ですが、これは今までの作者とはちょっと違う人の作です。わたしの活動を知って来てくれたのだが、この人は以前の人生で、歌人としてとても高い修行をしたことがあるのです。勅撰和歌集にもその歌が残っているという人の歌なのです。

誰かは言えませんが、言えばあなたがたもなるほどとうなずく名前です。

さすがですね。とてもうまい。狡童(こうどう)というのは、プレイボーイとか伊達男とかいう意味の漢語です。漢文に通じた清少納言を意識したらしい。おもしろいですね。本人の歌はもっと清澄で貴族的だが、これはどこか男っぽい感じがする。少納言を真似ているのです。

あの伊達男を恨んでもその甲斐なく、わたしは花のように朽ち落ちてしまったが、月の下で、いつか痛いことをしてやろうなどという気持ちの種を抱いていますよ。

女性の気持ちになって詠ったものでしょう。実に粋だ。男に嫌なことをされてきついことになっても、黙ってはいない気の強い女性が描かれています。彼は少納言をそんな感じに見ていたのでしょう。

女性だが手ごわいと感じていた。ゆえにこの作品で少なからず敬意を表しているのです。

達人とは、男女にかかわらず、力高いものには一目おくものだ。彼は、少納言という存在には強いものを感じていたらしい。男偏重の社会にあってはことさらに何も言いはしなかったが、かなり意識していたらしいです。

その心は歌にも出ている。教養の高さがにじみ出て、技巧的にも高い作品を多く残しています。

彼には学ぶことが大きいので、これ以後も時々、作品を使わせてもらいましょう。







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