わかたけを あみてちひさき 籠をなし 星をかはむと いひし君はも
*これは、かのじょのこの歌を下絵に詠まれた歌ですね。覚えていなさるでしょうが、いくつかあるのでここにすべてあげてみましょう。美しい歌です。
ゆふづつのみづにおつるをひろひこよ余は若竹の玉籠を編む
墨のごとき泥にこもりしその星をひろひし君の白きひたひよ
われの目の高さの肩によりそはむその若き背の花のごときなれば
ふれむとしてふれぬその手のかたへにて星飼ふ籠を窓につるしき
美しいですね。これは田舎の小さな家で一緒に暮らしているかわいらしい夫婦のことなど想像して詠われた歌です。かのじょにはこういうところがある。やさしい女性となって、かわいい人間の男の妻とでもなれば、こんなこともしてあげたいという、じつにかわいい夢だ。
あのきれいな宵の明星が水に落ちている、あれを拾ってきてください。わたしは若竹で籠を編みますから。
ふたりできれいな星を飼いましょう。
後の、「瑠璃の籠」のタイトルにもつながった歌ですが。これが男性と思えないでしょう。かわいらしい。彼にはこういうやさしすぎるところがある。
女性そのものと言った顔になってしまったものですから、彼は女性にも男性にも恋をされてしまうのです。それを無下に馬鹿にすることもできない。できるなら、かわいい恋人になって尽くしてあげたいと思う。
そんなことを考えるほど、やさしい人なのですよ。
あまりにかわいらしすぎて、目眩がしますか? あなたがたなら、こういう歌を詠われたとき、どう返すでしょう。
返歌を請うてみたいものです。わたしたちは何度かあなたがたに挑戦するが、返ってきたことはほとんどない。まあ仕方ないとは思っていますが、寂しいという気持ちは拭い去れません。
ですから今日は強いて願いましょう。かのじょのこれらの歌に、どうか返歌を詠んでみてください。できるならそれをわたしたちのもとに送ってほしいが。あまりわがままは言わないことにしますか。
かわいらしいこの歌に、人はどんな歌を詠ってくれるでしょう。