燕飛ぶ さろてくれぬか 我が心 夢詩香
*哀調ですね。言葉を崩していうと、心がはみ出てくる感じです。
まあ、長いこと生きてると、つらいことというのは、何度か来るもので。
不思議にそういうときって、心が妙に平静だったりするんです。
激しく悲しいはずなのに、なんかてきぱきと事務を処理できていたりする。
心のこもらない言葉が、するすると口から出てきて、物事をなんとなく処理できていたりする。
なんでこんなことをしてるのかって思うとき、空を見る。
心が何かに吸い込まれていくような気がする。
あの頃のことは、あまり思い出したくないけれど、あれは、冬だった。燕なんて飛んでいるはずもないのに。なんだか燕のようなものが飛んでいたような気がする。
灰色の高い空を覚えている。
あれはもしかしたら、わたしの心だったのかもしれない。