泣きわびて 空のこころに 月を汲む 夢詩香
*「空」は「そら」じゃなくて、「から」と読みます。
子供の頃は、よく泣きじゃくったりすることがあったけど、大人になると、もうそんなことはしなくなりますね。
悲しいことがあって、涙を流したりすることはあるけど、感情のバルブを広げて、泣きわめくなんてことはしなくなった。そんなことをしても、何にも変わらないってことが、わかってきたからだと思う。
また、泣くってことも、結構疲れますしね。
でも子供の頃は、よく泣きじゃくっていました。なんで泣いていたのかは覚えていないんだけど。たぶんお人形を妹と取り合ったとか、欲しいおもちゃを買ってもらえなかったとか、そういうことだったんだと思う。
泣いて泣いて泣いて、泣きつかれて、なんかふっと力が抜けて、心が空っぽになる。なんで泣いていたかなんてことも、忘れてしまって、ぼうっとしてる。そんな時に、月を見ると、心の底の底まで、月の光が差し込んでくるような気がする。
誰かが、もうやめなさいと、やさしく言ってくれているような気がする。
それで、自分でもなんとなく心の処理がついて、欲しかった人形やおもちゃをあきらめて、気持ちを変えていくことができたりする。
泣きわめくってことができなくなったのは、いつごろからだろう。わたしのあの子も、もうそんなことはしなくなった。
黙って、胸の中で、気持ちをかみしめるようになった。
あの子も、悲しい時は、月を見上げることがあるんだろうか。