昨夜のNHK教育で取り上げた、「ETV特集「いま憲法25条“生存権”を考える」の放送について感想を纏めて見ました。
内容はNHKの番組紹介の1947年に施行された日本国憲法。日本人の発議によって加えられたのが第25条だ。生存権を定めたこの条文は、生活保護などの社会保障を整備していく基となった。しかし、2008年の世界金融危機以降、「派遣切り」などにより、生存の危機に直面する人が続出している。この現実をどうとらえるのか? 憲法25条の存在意義を見つめ直すべきではないか? 「派遣村」村長の湯浅誠さんと、経済評論家の内橋克人さんが語り合う。にある様にあるように湯浅さんと内橋さんの対談を軸に進められました。
[生存権と政府の裁量]
その主な内容は
・学者で後日社会党に入った 森戸辰男さんがドイツのワイマール憲法で謳われた生存権(健康で文化的な生活を営む権利)の規定を憲法25条としていれたこと。
・朝日訴訟で最高裁が原告の請求を棄却したときに、「なお、念のため」として生活扶助基準の適否に関して、「憲法25条1項はすべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に具体的権利を賦与したものではない」「何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、厚生大臣の合目的的な裁量に委されて」としたことが今の大きな問題を生じていると言う批判。
・国の財源不足のための福祉関係の支出のカットの動き、その締めは小泉さんの福祉予算削減の演説。
・その他は延々と派遣労働者の首切り、それに対する湯浅さんの考えとか、内橋さんの政府の国民の生存権を無視した「裁量」に対する批判の繰り返し繰り返し。
彼らの言うことはよくわかるが、肝心のその財源にを如何に確保するかの話は全くゼロ。 (聴きながら民主党の政策とその財源批判を思い出しました。)
二人の同じような意見を繰り返し聴く内に次第にうんざりし始め、そのうちに眠くなって来ました。
一般人の湯浅さんが政府批判や福祉のための金がないと言うなら判りますが、経済評論家の内橋さんがその財源には全く触れないのは何故でしょうか?
そして番組の終わりになって内橋さんはやっと彼の経済政策を話し始めて少し眠気が醒めてきました。
その政策は食料(農業振興)・共生経済 ・ケア(福祉)です。
共生経済とは、「対立・競争を煽り、その裂け目に利益チャンス(市場における競争)を置くという競争一辺倒主義に代わって、連帯・参加・共同を原理とする「共生セクター」を強化する」と言うことだそうです。
気持ちは何となく判りますが、今の市場中心主義が全世界を覆っているときに、これで日本が勝てるのか、共生経済と農業振興で小子高齢化の今、福祉予算を賄える財源をどうして確保するのか、素人が考えても彼の考えは理想論過ぎると思います。
それとも心配性の私がいつも心配しているように、今の低迷する経済と日本企業の競争力の相対的低下で、皆が貧困とまで行かなくても、減少する収入の中で如何に共生するかの話が無いのも気になりました。
[NHKの思惑に沿った人選?]
それと今回の番組が後半にだれてしまったのは、お互いに話の合う同志の「なあなあの雰囲気」でいつまでも生存権の話しばかりしたた為だと思います。
内橋さんは、「内橋克人」でGoogleで検索した所「内橋克人 nhk」のキーワードが出ているほど、平素から政府批判の多い金子勝さん同様にNHKのお気に入りの経済評論家です。
それでNHKの番組で金子さんや内橋さんが出ているのを見るだけで、大体NHKの番組の思惑がほぼ検討がつきます。
そうかと言って私は内橋さんの批判をする訳ではありませんが(*注記)、NHKとして公平な報道にするために、例えば内橋さんの論敵であり番組のテーマの生存権の確保に必要な、福祉予算を削減した小泉さんの腹心のる竹中平蔵さんの様な人を何故呼ばなかっのでしょう。
今回の放送は先の台湾問題ほどの偏向とは思いませんが、少なくとも放送法第3条の
2.政治的に公平であること
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることの
の規定は抵触していると思うのですが。
放送の効果の面からいっても、番組を盛り上げるためからも、問題の本質を明らかにするためからも、内橋さんへ批判的な批評家か学者を呼べば良かったのにと思ったのですが。
先の台湾問題の放送の印象がまだ残っている私にとって、また今回のETV特集も何かの政治的な意図を持った報道のように感じられてならないのですが。
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*注記:内橋さんの考え方はWikipediaによると、日本経済が大量生産・大量消費を前提とした量産効果に依存しているという弱点を抱えていることを指摘、主流の技術評論家や経済評論家の楽観論を批判した。また、バブル崩壊後もよく唱えられている「改革」が剥き出しの市場原理主義に則っていて社会的コストを弱者に転嫁しかねないと指摘、アメリカ流の聖域なき構造改革に厳しく警鐘を鳴らしその対抗思潮をいち早く展開した。
そうで私も賛成です。
然し問題があるのは、今度の放送の内橋さんの意見もそうですが、他の多くの経済評論家も自分の主張を通すためには、その不利な点を意識的に避けることです。
マスコミはそれを知った上で、その人とは対立した立場の人も登場させて、番組の公平性と、公正さを保つ必要があると思うのですが。
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評論家は自分の不利な点はスルーか酷いのは笑いでゴマして厳しい事は云わないのが評論家の一方の手でも有ります。言われる通り不利な点に触れられと話をすり替える人が多いようですが内橋・竹中などは良い取り組み合わせだと思います。
喧々諤々が良いとは思えませんがNHKしか出来ない「コマーシャル時間」もないのですから実のある具体的な方法を両名から聞きたかったですが何時もの手、ニュースと同じ様な語りですから何を聞いたのかが心に残りません。
戦闘場面では沖縄に触れて居ましたが人権を叫ぶ割には生々しい戦死者を流したり、硫黄島戦闘の場面を沖縄と偽った部分もありました。付近の土を見れば沖縄と硫黄島の差が判ると思うのですが米軍が写したものを検証もなく流したのでしょう。