爺「これ、どうした。兄弟喧嘩でもしたか。どちらもそっぽ向いたりして」
ヒマ「……」
ワリ「……」
爺「ヒマ、言ってみろ。何があったんだ」
ヒマ「……あのね。パパとママが何かペットを飼おうかと言うんだよ」
爺「おお、そうかい。それが嫌なのかい」
ヒマ「とんでもない。僕も、ワリも大喜びなんだ」
爺「それなのに、どうして2人ともふくれているんだい」
ヒマ「だって、僕は絶対に犬がいいと言うのに、ワリは猫だと言い張るんだよ」
爺「ほう。ワリはなぜ猫がいいんだ?」
ワリ「いつもそばにいてくれるだろ。足にスリスリしてくるし、
抱っこすればモフモフだからね。犬より、うんとかわいいじゃない」
ヒマ「かわいさは犬だって負けていないぞ。外から帰ってくると、
待ち構えたように飛びついてくる。とにかく人懐っこいからね。
犬に比べると、猫はなんだか冷たい感じがするんだな」
爺「そりゃ、どういうことかい?」
ヒマ「猫は勝手気ままといった感じなんだ。
すり寄ってこられると確かにかわいいが、
それも気分次第だからね。餌を食べ終わったらプイっと知らん顔してしまう。
なんか冷たいんだよな」
ワリ「その適当な距離感がいいんだよ。
勝手気ままというけど、そこが猫の魅力でもある。
クールなんだな。かわいい犬も確かにいるが、クールな猫の魅力には負ける」
ヒマ「自分のほうから寄ってきてくれるんだよ。
もちろん、呼べば尻尾振り振りやってくる。
猫は呼んでも知らん顔することが多い。かわいさはやっぱり犬だよ。
猫のクールさなんかに負けちゃいないぜ」
ワリ「何と言っても、犬は世話が大変だよ。毎日散歩に連れて行かないといけないし。
猫はだいたい家の中にいるから、そんなに世話しなくとも大丈夫だ。
手のかからないペットだよね」
ヒマ「猫は散歩に連れて行かなくてもいいから、そんなに世話しなくても
いいかもしれない。でも、気ままなものだから、
ぷいと家出して大騒ぎすることがある。犬はしつけさえしっかりしておけば、
マナーやルールをきちっと守る」
ワリ「うるさい!」
ヒマ「何だと!」
爺「ワリ、うるさいはいけないぞ」
ワリ「僕が言っているのは、犬は吠えるからうるさいと言っているんだよ」
ヒマ「だって番犬なんだもん」
爺「分かった、分かった。犬も猫もかわいいよな。よし犬も猫も、
どちらも飼えるように爺ちゃんがパパやママに頼んでみよう」
ママ「しようのない子だわね。分かりました。どちらも飼うことにしましょう。
でも約束してちょうだい。2人でしっかり世話しなければいけないわよ」
ヒマ、ワリ「はーい。約束します」