オンライン申請とITディバイド:
存命していたら101歳になる亡き父は、70歳頃にアルファベットも分からぬのに、NECの98シリーズを勉強して、ワープロから、PCへと未だ、板状の記録媒体が当たり前の時代に、一生懸命に、勉強をしていたものである。私は、その点、生業が海外貿易だったこともあり、社会に出てから、テレックスから、FAX,ワープロ、携帯電話から、LAP TOP PC,スマートホーンへと次から次へと息つく暇もないくらいに、技術革新に乗り遅れることなく、IT武器を使いこなすことになる。とりわけ、海外通信費が高額であったこともあり、如何にして、海外との通信コストを下げられるかということが、死活問題であった。だからこそ、メールに移行するときも、或いは、複数の国とのネット電話会議も、テレビ会議も、全く問題なく、テレワークが喧伝される前から、自分の中では、全く問題なくこなし、尤も、そうしなければ、世界標準からは、取り残され、死滅化せざるを得なかった究極の選択であったのかもしれない。
今回の新型コロナ禍の中で、オンライン会議も、ファイル共有システムも、一種の働き方改革も含めて、<変わらなければ、生き残れず>、しかも、<新しい生活業態>に移らない限り、皮肉にも元の日常生活には戻れない訳である。さすれば、もうこれは、廃刀令やちょんまげの禁止のようなもので、もはや、好きか嫌いとかという問題ではなくて、変わらなければ、死滅する以外に選択の余地がないのかも知れない。今や、残された道は限られてしまっているのである。
給付金の申請手続きにしても、書類で申請するよりも、オンラインを薦めている以上、過去のマイナンバー登録は、住民基本台帳の問題はさておき、アナログではなくて、システムとデジタルを駆使すれば、明らかに、スピード感を持って処理できるはずである。にもかかわらず、マイナンバー・カードを登録していても、マイナポータルのアプリをスマホにダウンロードして、そこにアクセスして、昔登録したパスワードを使用して、申請手続を行わないと、最終的には、申請が完了しない。おまけに、e-Taxで、既にマイカードを利用していても、連携も、銀行口座名・番号とは、連携されていません。更に、フリーランスや個人事業主への持続化給付金の支援申請に至っては、本来、e-tax申告していれば、当然データが、税務署に行っているはずにもかかわらず、ファイルでJPGやPDFファイルを貼り付けなければ申請手続が、完了せず、もちろん、自分でそういうパソコンの操作に手慣れていなければ、全く、零細個人事業主には、或いは、キーボードに触ったことがない人間には、全く、出来ないことであろうことは、やってみて初めて納得できるものである。