猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

「若尾文子映画祭 青春」 見に行ってますよ。Ⅴ

2015年08月15日 18時14分07秒 | 映画
    ↑ 角川シネマのエレベーター扉に大きく貼って有ります。
             映画は「最高殊勲夫人」の川口浩と若尾文子。

夏の日差しの中、粛々と新宿に通って「若尾文子映画祭 青春」見に行ってます。
空き時間に伊勢丹の上のデパート食堂でランチ取ったり、最近はあまり来なくなっていた新宿の街をフラフラしたり、安いドラッグストアを発見して中国人観光客と一緒に並んで買い物したり、それなりに新宿の街を堪能しています。

「女は抵抗する」 製作年 1960年 上映時間 84分

あらすじなどはこちら → 女は抵抗する | Movie Walker

ベテランの興行師だった父親の後を継ぎ、米軍基地にバンドの手配などしていた女子大生の矢代美枝。
卒業前後に本格的にプロモーターの道を目指す。
人気ジャズバンドをジャズ合戦させて大成功させ、勢いで大きな劇場で当時勃興していたロカビリーの大会を開いてまたまた評判を取ったり。
ショービジネスの世界を扱った映画となっています。

実は渡辺プロダクショングループ代表の渡邊 美佐をモデルにしたもので、当時の芸能界や興行界が描かれていて興味深いです。
こういう勝気な女性を演じると本当に 文子さん ってぴったり来るんです。
話し方もそっけないくらいなところがあって、
「あっそう」
って言う横顔に惚れそう。(笑)
そのくせ上手くいかないときの爪をかむ癖がいじらしいと言うか。
これってツンデレってやつですか ?

平尾 昌晃、山下 敬二郎、坂本 九、ザ・ピーナッツなどの当時の人気者総出演で 歌唱・演奏場面も楽しい。
映画では少しだけ流れる坂本九の歌、やはり良いです。
ちょっと他の出演者とはレベルが違う気がする。
デビューしたときのロカビリー歌手ブームが去っても、その後長く歌手・タレントとして活躍できたのは、人気だけでなく実力と人柄があったからでしょうね。
上を向いて歩こう(1961年10月)のヒットの一年前の映画です。
丁度今書いているこの日が亡くなられた8月12日と言うのも感慨深いかと。

川口浩のサックス演奏なども珍しい場面です。
このブログお越しの方にはお分かりの通り、大映青春映画で文子さんと恋人役の多い川口浩さん。
ジャズグループのリーダーとして、最初は衝突したり苦言を呈したりしながらも互いに引かれていく、と言う役どころです。
私の年だとテレビ番組「川口浩探検隊」の印象が強烈な 川口浩さん ですが、もともと作家で大映専務の川口松太郎を父に、女優の三益愛子を母に持つ芸能界では超セレブな方。
加えて、若いときのノーブルな二枚目ぶりは今見てもいい男ですよ。

当時としては珍しい女性の企業家を扱ったこの映画、当時の女性が見て元気を貰えたものと思います。

「美貌に罪あり」  製作年 1959年 上映時間 87分

あらすじなどはこちら → 美貌に罪あり | Movie Walker

川口松太郎が原作小説を書き大映が映画化、もちろん出演者は杉村春子、 山本富士子、若尾文子、川口浩、野添ひとみ、川崎敬三、勝新太郎 などの大映人気役者という当時としては大映定番の映画。

文子さんのスチュワーデス姿が新鮮 !
当時の花形職業を扱って、恋人役の素朴な農業青年(川口浩)との対比を際立たせ、お話を盛り上げています。
姉役の山本富士子が日本舞踊の女流舞踊家になろうとしているのとも対比している。

旧家の本家だが、今は細々と花栽培で暮らしている吉野庭園の女主人ふさ(杉村春子)には2人の姉妹が居た。
一人は舞踊家になろうと既に家を出ている長女の菊江(山本富士子)。
姉の父親を亡くして再婚し、父親違いの妹の敬子(若尾文子)がいるがこれも退屈な農村に嫌気が差してスチュワーデスの試験を受ける。
無事に試験を通り、綺麗なマンションで同僚と暮らし始めて、恋人の忠夫(川口浩)も忘れて華やかに遊び始める敬子。
しかしそれにはそれなりの危険も潜み…。

山本富士子とその師匠役(後に結婚して夫役)の勝新太郎のキレの良い日本舞踊が堪能できます。
花柳禄寿門下の山本富士子さんはもちろん、三味線師範の勝新の踊りもなかなかの見所です。
昔の俳優さんたちは(本職に)敵わぬまでもそれなりの芸事修行をしていて、それらがちょっちょっと仕草などにも出てくるのでいいんですよね~。
杉村春子さんも盆踊りを披露していますが上手いんですよこれが。
踊りの素養のある人が踊ると違います !

最終的には2人の姉妹と周りにいる違う恋人達にはハッピーエンドですが、そこに至るまでの夫婦の機微とか恋人達の葛藤とか。
母親のふさは家を手放さなければならないし。
実は ふさ が家を離れる場面では思わず涙が。
いづれ自分も…と思うと人事には思えませんでした。

「女経(じょきょう)」 製作年 1960年 上映時間 101分

あらすじなどはこちら → 女経 | Movie Walker

村松梢風の「女経」にヒントを得て、吉村公三郎・市川崑・増村保造三人の監督がメガホンを取った、女性オムニバス映画。
タイトルデザインを柳原良平さん(アンクルトリスを描いた人)が担当しています。
エロ可愛いデザインで洒落てます。

題名の「女経」とは、女の経済とか言う意味だと思うのですが。
3人のしたたかに見えて可愛い女達の物語。

一話目「耳を噛みたがる女」
貧しい水上生活者(ダルマ船に住んでいる)の娘でキャバレーに勤める紀美(若尾文子)。
同僚に煙たがられながらも、客を騙して巧みに金を巻き上げている。
その金で株を買っているというしたたかさ。
本当に好きなのは御曹司の正巳(川口浩)だが、正巳は紀美を逆に騙そうと友人(田宮二郎)と賭けをしている。
最後はちょっと悲しいけれど、このふたり一緒になれてもその後の苦労が目に見えて、このラストでよかったのかも、なんて大人の見方をしてしまいました。

2話目「物を高く売りつける女」
には謎の女(山本富士子)登場。
のっけからミステリー風な凝った造りでどきどきします。
山本富士子のクールな美貌が謎めいて、男なら騙されても本望 ?
船越英二が作家役で おふじさん と絡みます。
他に野添ひとみ・菅原謙二などが出演していますが、最後の方までは出演者が極端に少ないです。
騙し、だまされた振りをし、と山本・船越の舞台劇のようです。
市川崑監督の目先の変った実験作品ですね。

3話目「恋を忘れていた女」
これまた、当時美人女優として名高かった 京マチ子 のしっとり、うっとりするような美貌が堪能できる作品。
男だったらむしゃぶりつきたい、と思うだろうな~という年増美女ぶりです。
京都の売れっ子芸妓だったお三津は、主人に先立たれてから旅館や酒場やお茶屋を切り盛りし繁盛させ女将として磐石の地位を築いている。
ここまで来るには大変だったし、きつい事も言ったしやってもきた。
主人の妹が、結婚するから兄の遺産を分けてくれと言って来ても
「騙されてるんとちがうの?」と取り合わない。
しかし、この日は厄日なのか泊まった修学旅行生が事故に遭ったり、昔振った恋人からはしつこく電話が来るわ、舅からは迫られるわと散々である。
挙句、元恋人が押しかけて来て手形の割引を頼んでくる。
その前少しほだされかけたお美津だったが、この話にはちょっと引いた。
その時警察が踏み込み元恋人は詐欺で警察へ。
がっくりと来たお美津に、怪我した修学旅行生の様態が悪化と追い討ちが。
ここから急転直下、自分のことしか考えて来なかったお美津が怪我人に輸血したことから心境に変化が起こる。
さて、ラストは ?

京マチ子・山本富士子・若尾文子という人気大女優のオムニバス作品ということで時間はそれぞれ短いけれど、大変楽しめる映画でした。

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