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月子のティーハウス(絵本)を作成しております

第5話・パネラ

2024年05月29日 | 月子のティーハウス(プロローグ・第1話~第5話)

いつもありがとうございます
お読み頂けるとうれしいです

月子のティーハウス
(moon child's tea house)

第5話 パネラ

夕日が沈み、月子はティーハウスに明かりを灯した
窓からは寂しそうな秋のオールドローズが見えた

「月子さん、遅い時間によろしいですか?」
小柄な女性は、思春期の少女にも成人にも見えた

「いらっしゃいませ、構いません」月子は答えた
「赤ワインはありますでしょうか?」

「テーブルワインでよろしければご用意できますが」
「うれしい、お願いします」

月子は赤ワインをカラフェに移した
バカラのワイングラスを用意し、カマンベールチーズとクラッカーと共に運んだ

「私、名前はいくつもあったの、でもパネラって呼んでください」
「パネラさんは、いろいろな所にお住まいだったのですか?」

「ええ、いろいろな所、そしていろいろな時間です」
パネラは赤ワインを一口飲んだ

「月子さん、私薔薇になりたいんです」
「…」月子は少し困った顔をした

「月子さん、薔薇はお好きですか?」
「ええ、もちろん好きです。綺麗ですよね」

もう一口、パネラは赤ワインを飲んだ

「どうして薔薇は、綺麗なのかわかりますか?」
「ごめんなさい、おかしな問いかけをして」パネラは恥ずかしそうに俯いた

「(薔薇は)…美しくて儚いからでしょうか?」月子は答えた
「やっぱり月子さんはわかっているわ」

「薔薇は限りがあるから美しいと思うの」
パネラはグラスに残っていた赤ワインを飲み干した

「明日、私は朝日を浴びようと思うの」
「そして私は薔薇になるの」

「ごちそうさま月子さん、とても美味しい赤ワインでした」
こぼれ落ちそうな目をしてパネラは言った
「ありがとう…」

(パネラさん…)
呼びかけようとしたが、パネラは夜の闇へ溶けていった

ご一読ありがとうございました

 

 

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がんばれニュードーン

2024年05月29日 | 薔薇

がんばれ  

5月に入り
ベランダのバラや観葉植物の植え替えをいたしました
お天気が良い日は、日焼けモードです

以前にご紹介させて頂いた
つるばら・ニュードーンのお手入れもいたしました

購入して、10年以上頑張ってくれているのですが
うどんこ病と酷暑が続いたため、元気がなくなってしまいました

残念ですが、私は枝をカットしました
その結果、ニュードーンはずっと小さくなってしまいました

でも本当は、勉強不足の私が悪いのです(ゴメンナサイ


(咲けばこれぐらい美しい)

それではよろしくお願いいたします

やはり根が張っており、生命力を感じます


鉢底の細根を植木バサミでカットし
テラコッタの植木鉢には、メッシュシートと鉢底石を入れました


園芸用の土を新しく加えて、ニュードーンを戻しました

小型になり、つるばらはBONSAIバラになってしまいました 
それでもきっと花が咲いてくれると信じます

最後にお水をたっぷりと植物活力剤をあげました


願いを込めて、私はぬりえを作成いたしました

(こんな風に元気になって欲しいです!)

ご一読ありがとうございました

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第2話・微笑む男の子

2024年05月29日 | 月子のティーハウス(プロローグ・第1話~第5話)

月子のティーハウス
(moon child's tea house)

第2話 微笑む男の子

「微笑む男の子」は、幼い頃の友人をベースに作成いたしました
従って、ストーリーの中にご不快なキーワードがあるかもしれません
何卒ご容赦のほどお願い申し上げます

ゆったりとした日差しが、テーブルの周りを照らしている
時計は正午近くを指していた

月子がドアを振り返ると、男の子は黙ってティーハウスに入って来た

「いらっしゃい」月子が声をかけると、男の子は微笑んだ
本当は、ずっとずっと前から微笑んでいるようだ

「窓の近くのお席へ行く?」
男の子はうなずき、月子に椅子をひかれるとすぐに座った

(10歳に満たない男の子)月子は思った

男の子の服装は、白いシャツに半ズボン、靴は運動靴だった
それから瞳は半月のようであった

「ばやりすおれんじ」男の子は言った

デュラレクスのグラスに氷を入れ
月子はバヤリス・オレンジジュースを注いだ
それからストローを用意し、トレイに乗せて運んだ

「お待たせしました」

男の子はストローからオレンジジュースを飲んだ

「ぼくのなまえはまつざわたかし」
「せんせいはせんてんせいがんけんかすい(先天*眼瞼*垂)といってた」

「せんてんせいがんけんかすい?」
月子が繰り返すと、男の子は自分の瞳を指さした

「ようちえんをそつぎょうしてからはべつのがっこうへいった」
「でもずいぶんいじめられた、それからからだもよわかったからおやすみもした」

「とってもつらかったわね」月子は言った

「ようちえんのとき、となりにすわっていたともだちにおれいがいいたい」
「ありがとうって、そのともだちだけがぼくのとなりにいてくれたから」

「いいお友達だったのね」月子は頷きながら答えた

まつざわたかしくんも頷いた
「ここへくればだいじょうぶっていわれた」

「ええ大丈夫よ、かならず伝えるから」月子は答えた

まつざわたかしくんは、バヤリスオレンジを飲みほした
「ごちそうさま」

入って来た時と同じ様に
微笑みながら、まつざわたかしくんはドアへ向かった

そして小さな炎が消える様に「ふっ…」といなくなった

ご一読ありがとうございました

コメント (2)
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