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月子のティーハウス
(moon child's tea house)
第9話 おでむかえ
晩秋の陽光が、ティーハウスの窓を通して入って来る
微細な宝石のように、光はキラキラと輝いている
遅咲きのオールドローズを一輪挿しに入れ、月子はテーブルの上に飾った
まつざわたかしくんは、すでに来ていた
窓の近くの椅子に腰かけている
今日のまつざわたかしくんは、微笑みながら練習をしている
(…とう、ありがとう、ありが…)
足元には、さくらがくつろいでいる
こぼれるように月子は笑った
水の入った銅製のケトルが弱火にかけられている
ジャスミンティの茶葉を取り出し、月子はティーポットに入れた
ボーンチャイナの白いマグカップが取り出され
温めてあるオーブンの側には、少し大きめのカヌレが用意されている
ガスの火を止め、月子は耳を澄ませた
木の葉の擦れる音が聞こえ、ひとみ川の川音がする
そして落ち葉を踏む足音が、次第に近づいて来る
(シャクサク・シャクサク)
月子は頷いた
ドアを開け、エントランスの外へ出た
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
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