“自分はなんてダメなんだ”と落ち込んだり、辛いことがあったり、仕事で失敗した時などは、献血によく行った。
献血にいくと、”こんなダメな私でも、純粋に人の役に立てることがあるんだ” と、逆に元気をもらえた。
人を助けると言うよりは、「 自分を元気付けるために、献血に行っていた」と言えるかも知れない。
私がする予定だった400ml献血は、女性は最短で16週間隔と決まっている。
今日がちょうどその16週目だったので、献血会場に行った。
そこで私にとっての事件が起きた。
医師の問診の中で、”ハンチントン病”のことを告げたところ、“残念ながらハンチントン病患者は献血できません” と告げられた。
不随意運動(自分の意思とは別に体が動く)がある病気なので、献血で針を刺している時に動いてしまえば、針が血管を突き破る恐れがあるからだという。
医師の説明はよく分かった。
私自身、症状が進んでいると感じているからだ。
よく理解はできたが、献血出来ないことに涙が止まらない。
この病気のせいで献血が出来なくなるとは夢にも思っていなかったのだ。
自分の意思ひとつで、人の役にも立てるし、自分も元気を貰える。それが私にとっての献血だった。
問診して下った先生は、献血不可の話を聞いて既に泣きそうになっている私に向かって、
“自分ができなくても、周りの人に宣伝して献血してもらうことで、何倍にも役に立てますよ” と仰った。
待合室に戻り、溢れてくるて涙を止められず、鼻をすすりながら帰る準備をしていた私のところに、先生がブースから出ていらっしゃって、
“長い間今まで献血にご協力くださってありがとうございました”
と、深々と頭を下げて労いの言葉を掛けてからブースに戻られた。
もし、献血ができる身体や環境をお持ちの方がありましたら、献血に行ってください。
どうぞ宜しくお願い致します。