風はどこ吹く、カヤックが通る

フォールディングカヤック、自転車で行ってきます

『アラスカ物語』 新田次郎 著

2010年10月16日 | books
フランク安田(本名、安田恭輔)。彼ほど運命に導かれるように波乱万丈な人生を送った人物がいただろうか?

あらすじ
少年時代を故郷宮城県石巻市で不遇に過ごし、単身外国航路の船員となって渡米。その後、沿岸警備艇ベアー号のデッキボーイとして働くが鯨の密漁船を追って北極海の氷に閉じ込められてしまう。備蓄食糧が不明となった事件がきっかけとなり、日本人の彼は人種差別的な扱いを受け、たった一人伝令としてポイントバローへ吹雪の氷原を歩くことになる。飢えと吹雪で瀕死の状態だった彼はエスキモーの操る犬ぞりに命を救われる。そしてベアー号を降り、彼はエスキモーとして生きる決心をする。
その後、彼は持ち前の努力や人柄によりエスキモーから絶対的な信頼を得るとともに幸せな家庭を持つが、白人の鯨乱獲や疫病によって海岸エスキモーたちは存続の危機を迎える。リーダー的な存在となった彼は砂金探しにアラスカへ来た探検家カーターや同じ日本人でインディアン通のジョージ大島らとの出会いを通じ、海岸エスキモーの内陸移住を計画し実現させる。

まさに「アラスカのモーゼ」である。彼の話を聞いたことはあったが、どのような経緯で伝説的な存在になったかは知らなかった。『ウーマンアローン』の廣川氏がフランク安田の作ったビーバー村を訪れたいと思った気持ちがよくわかった。
 
新田次郎は徹底した取材に基づき、彼の壮絶な人生を限りなく事実に近い物語として書き上げた。長編ながら読んでいても次はどうなる?とワクワクさせられ、時間が経つのを忘れそうになった。映画にもなっているそうで機会があれば是非観てみたい。

『アラスカ物語』
 新田次郎 著
 新潮社 

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