気ままに

吉田雅夫のブログです。染色・版画・料理・パソコンなど、気ままに記録しています。

シルクスクリーン 写真製版 SBQ 感光乳剤の化学

2014年11月21日 | 製版

ジアゾ感光乳剤は、耐水性がよく水性糊のプリントに適していますが、乳剤のポットライフが短いのが欠点です。1Kg 購入すれば割安ですが、長く保存できなく無駄にすることもありえます。
感光乳剤には SBQ 系の乳剤もあり、耐水性は劣りますがポットライフが長いと言われています。
SBQ 感光乳剤はどのようなものか調べてみました。

SBQ はスチルバゾリウム(スチリルピリジニウム)の略語です。
化学構造を、池田、水野「初歩から学ぶ感光性樹脂」工業調査会(2002) から引用します。


架橋反応を、東邦大と(株)ムラカミの報告から引用します。


ジアゾ感光乳剤は、報告しましたように、複数の反応基を持った架橋剤で緻密な3次元構造の樹脂を形成します。

一方、SBQ 感光乳剤は、PVA に架橋基を導入させた変性高分子の架橋反応で樹脂化させていますので、架橋密度が低く耐水性が劣ると考えられます。

SBQ 感光乳剤の1つ、ワン・ポット(造ハウ)の説明に、
「油性インク対応の乳剤なので、水性・水溶性インクでの多量印刷には適しません。
水性・水溶性インクを使用するときは、乳剤面を再度露光(二次露光)して乳剤面を強化してください」とあります。
ある程度なら水性糊も使えるようで、大量にプリントするのでなければメリットがあると思います。