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第48回、その② 松浪先生は去って行きました

2020年08月09日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉



朝になり、うたたねをしているおりんが目を覚ますと、布団の中に先生の姿は無かった。


(り)先生
(ふすまを開けると、松浪が立っていた。)


(松)おはよう
(り)起きたりなんかして、大丈夫なんですか?先生。
(松)いつまでも寝ていては本当の病人になってしまうからね。もう大丈夫だ。


(り)先生
(松)夕べは部屋の中に誰もいなくて、静かでよく眠れたよ。
微笑むおりん
(松)知らないうちに、庭がすっかり秋になってしまった。このところ、ゆっくり庭を見る暇もなくて


(り)お忙しかったから。
(松)いくら忙しいからって、庭を見る暇もないような、季節の移り変わりに気がつかないような、そんな人間になってはいけないね。自分がそんな人間になっていた事に気がつかなかった。己惚れていたんだね。
(り)先生、もうお休みになった方がいいです。また疲れますから。
(松)夕べは有難う、怪我は?
(り)あぁ、もう固まって・・


(そっと傷口を見る、松浪先生)
(松)君が塀を乗り越える、勇ましい姿を見られなかったのは残念だよ。
(り)お望みならいつでも越えて見せます。まだ卒業まで何年も有ります。
(松)学校を辞めるよ。今年いっぱいで、あの学校の教師を辞める決心をした。もう一度、自分という人間を確かめてみるためにね。


(り)あんなくだらない噂なんか誰も信じてなんかいません!何も気にする事なんかないんです。あんなバカげた噂!


(松)しかし、そういう噂をたてられたという、そのことに僕はショックを受けた。その噂が拡がったその事実に呆然としてしまった。そんな噂をたてられるようないかがわしさが、そんな噂が広がっていくような、そんな軽薄さが僕の中にあったという事に、うろたえてしまった。
そうか、他人から見れば 僕はまだそんな人間にしか過ぎないのか。


(り)そんな汚い目なんか!
(松)いや、本当に人間として立派であれば、汚い目の方で恥じてくれる。もう一度勉強しなおし、主の  み教えを説くに相応しい人間になるために、僕は学校を辞める。


イギリスのエジンバラという街の大学で、僕の宗教上の恩師が教鞭をとっておられる。以前から、もう一度  教義の勉強をしてみないかと、お誘いを受けていたんだ。
(り)先生、外国へ行ってしまうんですか!
(松)だから、残念ながら君が塀を乗り越える、勇ましい姿はもう見せてもらえない。


涙を流すおりん。


トボトボと帰ろうとすると、学校の前で母が待っていた。


(母)早く中に入んな、今なら誰にも気ずかれないから。気ずかれたら、一緒に言い訳してやっぺと思って待ってたんだ。
(り)母ちゃん・・
(母)今日で母ちゃん、相馬さ帰っぺから。おりん、母ちゃん おめえを信用してっから。信用できるような娘に育てたと思ってっから。それだけは覚えててくれ。母ちゃんができることはそれだけだ、あとはお前が考えたとうりにやってみな。先生は元気になられたかい?
(り)先生は、イギリスに行ってしまうの。
イギリスに行ってしまうの。
先生が行ってしまうんだよ!

(母の八重に取りすがり、泣くおりん。)

 

松浪先生は二学期の授業を終え、クリスマスを待たずに 学校を去る事になりました。

(みどり)私、松浪先生のいない学校なんて、辞めちゃうわ

 

讃美歌の流れる中、おりんの松浪との記憶が蘇る
初めて見た日の松浪、誰にも優しい松浪の姿。

 

松浪先生を思いながら、聖書の一節を唱える、おりん

愛は偲ぶことをなし、また 人の域を測るなり。
愛は妬まず、ほこらず、たかぶらず
非礼を行わず、己の利を求めず
軽々しく怒らず、人の悪しきを思わず
愛は偲ぶ事をなし
また 人のいきを測るなり
愛は妬まず ほこらず 高ぶらず
非礼を行わず、己の利を求めず

 

独り静かに学校を去ってゆく松浪先生。

松浪は一冊の讃美歌集を残して、りんから去って行きました。りんの初恋と少女期との別れでした。

 




誤解を受けたことを良しとせず、学校を去っていった松浪先生の、雪の中の孤独な後ろ姿が寂しい。ただ生徒のことを思い行動した先生が、追われるように去る事になるなんて。

私利私欲というものがなく、誠実で清廉で、誰にも優しく暖かい松浪先生という人物は、それまでのジュリーが演じた事の無いキャラクターでした。映画等では、エキセントリックな役柄で、個性が光る作品が印象に強いジュリーに、この松浪先生という役が与えられたのは、ジュリーの生来が持つ、清潔感からかと思いました。例え泥にまみれても、その芯は汚されることがないジュリーだからこその松浪先生でした。

今回、改めてじっくり見られて良かった。数十年ぶりに見た今回の放送で、真面目で清廉な人柄で有りながら、時におりんを見つめる眼差しに宿る強い光に撃たれて、ジュリ~♪と何度もドキドキしました!

前回の1986年の放送当時には、ナベプロを離れ、仕事を休み、週刊誌に追いかけられるジュリーを、例えドラマとはいえ、役柄とはいえ、真正面から何も考えずに受け取めることが、難しいと思いました。あれほど華やかに派手に歌謡界に君臨していたジュリーは、すでに38歳。松浪先生の表情には時に疲れた陰りが見え、冴えないと思う時がありました。

時は1986年から2020年へ。私はすでに還暦を過ぎ、大人の機微も少しはわかるようになり、1986年の悩めるジュリー自身が今はすっかり過去のことになりました。

今は何の屈託もなく、フィルターを通さずに見ることができる松浪先生は、優しく暖かく、誠に清らかな聖人君子なのに、隠しても隠しても 隠しきれない生来の色気が滲み出て、還暦を過ぎたこの胸を新たに高鳴らせてくれました♥

ジュリーの持つ陰りが、松浪先生という人物像に、より一層の深みと陰影を加えて、聖人と言うだけではない、悩める人間的な松浪先生を作り出して魅力的でした。

2020年のコロナ禍の下で、松浪先生は一風の柔らかい風のようでした。本当に、今、見られて良かったです✨

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第48回、その① 松浪先生は去って行きました

2020年08月07日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉

「松浪先生のお言葉」お久しぶりの更新です。松浪先生の出番は第48回を限りに終わります。(この後は回想シーンなど)お別れが寂しくて伸ばし伸ばし、更新が遅くなるばかりでしたが、いい加減にこの辺で しばしのお別れをすることにします。

まだ子供だと思っていた おりんちゃんの、松浪先生への思わぬ積極的で真摯な尊敬と愛情と、それに対する松浪先生の何かを秘めた強い眼差しが交錯して、思わずドキドキする展開になりました。

二人の心の内を物語るような、背景に流れる哀切な音楽が いっそう切なく響いて、二人の姿を見守る私達も心の動揺が止まらない。病に倒れた傷心の松浪先生の綺麗な寝顔が、この物語の行方を いっそう不安にさせる美しさでした。




前回、おりんは、病に倒れた松浪先生を心配し、先生宅で看病しようとするが、母には「人には節度というものが有る」と言われ、先生には「ここにいてはいけない。帰りなさい」と強く諭される。

松浪先生の家の前で、帰ろうとしない おりんを気遣う母の八重。

(り)母ちゃんが私に言いました。人には節度ってものがあるんだって。母ちゃんがここに来たら、きっと私を𠮟ると思います。ぶたれるかもしれません。ほんでも私はいいます。ぶたれても来ます!

(松)帰りなさい。

(り)先生!
親に背いてはいけない、お母さんのおっしゃることを大事にしなさい。


(り)先生!
わたし、今、親の言う事よりも先生の方が大事です。
先生、目をつぶって下さい。
そしたら私の事見えないでしょ。私、黙ってます。私何も言いません。見えなくて声も聴こえなければ、いないのと同じでしょ。

(先生の側から、離れて座るおりん。)

私はここにこうして黙っています。私はいません。先生、目をつむっていて下さい。ここには誰もいません。
(布団から起き上がる松浪先生。)

(り)先生起きてはダメです。ダメ!
あ、先生 ダメです。
(おりんの腕を掴む先生、切ないメロディーが流れる。驚くおりんを、じっと見つめる先生。)


(見つめたあと、我に返ったように)


(松)いない人間が手を出しちゃダメじゃないか。
再び、横になり目を閉じる。


(り)先生・・
(流れる切ないメロディーが、おりんの心の内を語るかのよう。)

そっと立ち去る、母の八重。
(八重)自分独りでおっきくなったような顔をして、エラそうに。


涙をこらえる母。



続く

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その② 第47回「松浪先生のお言葉」

2020年07月22日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉

どこまで進んだのか、もうよくわからなくなってますが、残りはこの後 僅か1回です。


先生の家に急ぐおりん。
先生は目を覚ましている。

(り)先生!熱は下がったんですか?苦しくないですか?
いや、


(り)母は?かあちゃん?

お帰りなった。
(り)先生一人をほっぽって?

(り)先生・・
帰りなさい

帰りなさい、生徒がこんな時間に
こんな所にいてはいけない。
早く帰りなさい。

(り)帰りません。女学校の部屋は外から上ることは
できないんです。今帰っても、中には入れません。
明日の朝、通用門が開くまで私は帰れないんです。

君はあの塀を乗り越えてきたのかい?

(り)はい

どうしてそんな無茶な事を

(り)先生が心配だったからです。塀を乗り越えたことは
見つかったら退学になるって知ってます。
でも心配で・・心配で じっとしていられなかったんです。
でもあの塀があんなに高いとおもわねった。
飛び降りるとき、おっかなかったこと。怪我しちまった
と笑うおりん。

怪我をした?どこを怪我をした。

(り)大した事ないんです。ちょっと擦りむいたくらいだから

いいから見せないさい!
起き上がる松浪先生。

(り)飛び移る時ころんじまって・・
肘を見せる、おりん。
心配そうに見る、先生

前はあのくらいの高さ何か、平気だったのに

化膿するといけないから、薬をつけておきなさい。
薬はそこの・・・急にコホン コホンと咳き込む松浪。

(り)先生!
水、水
(り)はい!

そこに母の八重が玄関に入ってくる

 

(り)先生、しっかり飲んで。
再び、布団に横たわる松浪。

(り)お医者さん呼んできましょうか?
(松)いや、大丈夫だ
(り)でも・・
(松)いいと言ったら、いい!帰りなさい。
学校に帰れなかったら、叔父さんのお宅に
行きなさい。お母さんの所に帰りなさい。
ここにいてはいけない。

(り)なしていけないんですか?寄宿舎の規則を
破ったり、塀を乗り越えたりしたことは
悪かったと思います。でも寄宿舎でただ心配だけしてて
その間に、もし先生のご病気が悪くなったりして
変なこと言ってごめんなさい
もしも先生が死んでしまったりしたら
死んでしまったりしたら・・
そしたら私、もっともっと、もう一生後悔すると
思ったんです。
後悔しながら生きるのは嫌です。
だからここに来たんです。

退学になってもかまわねえから、来たんです。

 

おりんを見つめる松浪先生。



病床に伏せる松浪先生。弱気になりつつも おりんをきっぱりと諭す姿が、教育者だと思いました。

J友さん情報によると、梅沢先生を演じた山谷初男さんは、ほんとに編み物がお得意だったんだそうです。道理で(^-^)

おりんちゃんを演じる斉藤由貴さんは、7月放送現在、結婚して若奥様になっています。13~4歳の前髪のある、おぼこ娘から、髪を結い上げた若奥様へ。斉藤由貴さんは、わずか3~4カ月の間に、子供から女性へと成長したおりんを、見事に演じ分けていて、若いのに演技派だと感心しています。

今回の放送では、先生が心配で心配でたまらない!もし先生の身になにかあったら・・そんなおりんの気持ちがよくわかります。

が、おりんちゃんが 見も世もなく取り乱し、大声で大騒ぎをするたびに、私は耳を塞ぎたくなる。私はすでに、おりんの母親の年齢をとうに越えていて、若いおりんのキーキー叫ぶ金切声を聴いているのが、どうにも耳にツライ。

どうかお静かに、冷静に冷静に。。。 騒いだって、松浪先生はお元気にはなりません。と言いたくなるのです(-_-;)

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その① 第47回 松浪先生のお言葉「節度ってもんがあるんだ」

2020年07月22日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉

お久しぶりの松浪先生のお言葉です。前回を忘れてしまった!と言う方は、カテゴリー「松浪先生のお言葉」をどうぞ。


 

松浪先生が倒れ、母と源造に助けを求め、取り乱すおりん。


母にしっかりしな!と叱られる。

(医者)「心身のはなはだしき疲労による
発熱と昏睡、まずは絶対安静、頭部を冷やし
体躯を温め、時至りて目覚めればただちに白湯を与え
水分を補い、のちに消化の良く滋養にとんだ
食べ物を少しずつ与えること。おわかりかな?」

(源造) あのー 熱はいつ頃下がりやすか?
(医者) 今申し上げたとうり、極度の疲労による
心身衰弱からの発熱であるからして
疲労回復のあかつきには、ただちに解熱とあいなるわけだが
診察の結果、心の臓もいささか弱っているようで
もしこれが、パタリと止まる事でもあれば
これは一大事。

(おりん)やんだ!そんなのやんだ!(絶叫する)
(源造) 大丈夫だ、そんな事にはなりはしないから。

(おりん)神様、先生をお救い下さい。どうぞお側に召したりしませんように!
先生をお取り上げになっては嫌です!
他には何もお願いしません。どうか神様
先生をお助け下さい。お願いします!お願いします!

母が代わりに先生を看るから、といってもその声を聴かないおりん。


真夜中、先生を寝ずに看病するおりん。


(り)先生!先生!先生、目を覚ましたんですか!!


先生、目を覚まして!目を覚まさないと死んでしまう!
と、半狂乱で先生を揺り動かすおりんを、母の八重が頬を打つ。

(母)これくらいのことで、それほどのぼせ上って
なじょする!母ちゃん、お前をそげな みっともない女に
育てた覚えはないぞ。しっかりしないか!
そんなに心配しなくても、先生は良くなっから・・
神様がちゃんと守って下さるから。大丈夫だ、おりん。

静かに頷くおりん。

朝になる

 

(り)なして?なして私、ここさいてはいけないの?
先生がハッキリ目が覚めるまで、私ここにいる!

(母)私が看るから、お前は心配しないで学校さ帰りな。
学校へ帰って、舎監の先生に話しな。そしたら看病の人を
寄こしてくれるから。

(り)なして私が、ここさ いてはいけないの?

(母)いさしてやりたいけどなえ、こういう事には
節度ってもんがあるんだ。お前がこれ以上
ここさいては、その節度が切れちまう。
学校で勉強するのがお前の務めだ。
早く帰りな、

でも・・ 

帰りな!

 

夕方、目を覚ましている先生

 

学校の授業が身に入らないおりん

おりんは、節子に置手紙をする。
「母に逢いに行ってきます、明日の朝帰りますから
心配しないでください、おりん。」

長いので続きます。

 



母の八重の言う「節度」は、まだ少女のおりんには理解が出来ない、世間の事でしょうか。まだ若い娘が、若い男の、しかも自分の教師をその自宅で看病するという事は、世間体に外聞に関わるのです。

先生が死んでしまう!と半狂乱になって 取り乱すおりんを、ピシャリと諭す母の八重は大人です。

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第46回 「松浪先生のお言葉」先生倒れる💦

2020年06月14日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉

5月14日、第46回

今度、仙台に女学校ができることになった、そこに退学になった3人を入学させてはどうかと、校長に提言する、梅沢先生。


  • (松)ただいま! (笑顔で東京から帰ってきた松浪先生。)
    (り)先生!お帰りなさいまし!明日になるかと
    (松)予定よりも一日早く用事がすんだんだ。
    (り)先生。
    (松)上手く行ったよ、全て うまくいった。
    (り)おくにさんたちのこと
    (松)あの3人の希望どうり、ここじゃ 話せないから行こう。
  •  
  • (二人だけで教会へ)

  • (松)明和女学校の校長は、今の女子教育の中で最も進んだ思想を持ち、それを確実に実践している人なんだ。その校長が僕に言うんだ。疑いを抱かせるところに発見はなく、また想像もない。つまり、与えられたことに 唯々諾々としたがっているだけで、それについて何の疑いもない、そこには新しい発見も産まれないし、また新しいものも作り出せないんだ。わかるかい?

  • (り)わかります。よーくわかります。
    (松)そしてこう言った。あなたの学校の生徒が与えられた授業に満足せず、日本人としての精神を尊重したより充実した教育を望んで、はっきりとした 自己の意思を表明したということ、西洋の進歩的女性にも劣らない、実に素敵な行為じゃないか。ついに日本の女学生にもそういう人物が現れたなんて。
    (り)校長先生がそうおっしゃったんですか。
    (松)そうだよ、そういう女学生を作り上げた東北女学校の成果に私は敬意を表すると。そう言って下さったんだよ!
    そしてあの3人が希望するなら、明和女学校はいつでも3人を引き受ける。
    (り)先生!
    (松)嬉しかったよ。僕は本当に嬉しかった。自分の勝手で追い出しといて、あとはこっちで引き受けろとは、厚かましい話じゃないかと お叱りを受ける覚悟で参上したんだからね。それを・・。嬉しかった。嬉しかったよ、僕は
  •  

  • (り)いかったですね、先生。
  •  
  •  

梅沢は新しく仙台にできる女学校に、3人を入学させたいと校長に願い出た。


そこに、ただ今帰りました、と松浪が現れる。

(校長)お帰りなさい
(梅)先生、もうお帰りになったんですか。明日 お帰りになれば、嬉しい報告ができたんですが。
どんなお話か、あとで伺わせて下さい。ミス。ウィルソン、私も嬉しいご報告があるのです
どういうご報告でしょう。
(松)それは後回しにして、全国ミッションスクール教育界の会議のご報告から・・


 

りんは誰よりも先に松浪から話を聴かされたことに、胸が熱くなるほど嬉しく、給費生の仕事も辛くないと思う。そこに、松浪と梅沢が話しているのを物陰から見てしまう。

(梅)何故私に話してくれなかったんですか?
(松)どういう結果になるか、全くわからなかったものですから。ちょっと私は舎監の田島先生と話してきます。(足早に立ち去ろうとする)
(梅)また私を避けるんですか?松浪先生。


(松)何を言うんですか。私があなたを避けるわけないでしょ。何を誤解してるんですか?梅沢先生。
(梅)私は先生に喜んでいただこうと思って、あの3人を女学校に入れて貰おうと思ったんですよ。先生のお留守中に手続きをすませて、お帰りになった先生に喜んでもらおうと思って、必死になって駆けずりまわったんですよ。なのに先生はご自分の計画を私に隠して、生徒たちとだけコッソリ打ち合わせて、ひどいじゃありませんか。私は先生から そんなに信用されていなかったんですか。

(松)いや、そういうわけではないですが、キチンと決まるまで誰にも知られたくなかったんですよ。
(梅)知られたくない事でもあったんですか?
(松)別にそういうわけでは有りませんが。
(梅)噂は本当だったんですね。
(松)噂?


(梅)私は松浪先生はそう言う方では無いと、今日まで信じてきました。私は心から先生を尊敬しておりました。でも裏切られました、残念です。
(松)梅沢先生。(松浪、立ち去る梅沢を追いかける)


(松)梅沢先生待ってください!おっしゃっていることが、よくわからない。噂とはなんですか?

(梅)今度の事件で先生がなさったことです。
(松)私が何をしたと?


(梅)扇動です。


(松)ええ?
(梅)あの事件を裏で仕組んだのは松浪先生で、純情な生徒をそそのかして謀反をおこさせたんだと、そういう噂が広まっています。
(松)馬鹿な、私が何のためにそんな。

(梅)校長のミス・ウィルソンを追放し、ご自分が校長になる為です。生徒の人気を利用して、噂ではそういうことになっています。失礼します。


松浪先生、あまりの事に茫然・・


 

浜田くにの家
松浪先生、本当に有難うございました。
(松)いや、私はなにも。


(女生徒)私達、初めから信じていました。松浪先生なら、きっと私たちの願いを叶えて下さるだろうと。
(松)願いを叶えたのは私ではありません。
いーえ、先生です。私達3人の救いの主は松浪先生です!先生は私達の神様だわ!


(松)そのようなことを言ってはいけません。
(父)喜びのあまり口走っているんですから、少々 不遜な事を言っても許してやってください。私達親もまことに嬉しい。お礼の申し上げもござりやせん。このとうりでがす(頭を下げる)
(松)私はこの3人の向学心を摘み取りたくなかったのです。だから少し手を貸しただけです。この3人の求める心がそうさしたのです。


(母)あのままではお嫁にもいけねと心配してりやしたが、。ホットしています。皆様のご両親も、どんなにかご安心刺さるべ。早速 お知らせをしないと、
松浪先生も明和女学校さ、いらっしゃればいのに
(り)ダメ ダメ~!それダメ!
(ムキになるおりんに皆が笑う)


(浜田くにの家からの帰り道)

(り)あんなにみんな喜んでくれて、いがったですね、松浪先生。
(松)うん、良かった。


おりんを家まで送って行こうという先生。
(り)でも先生 お疲れのようだから。
(松)大丈夫だよ。

と言いながら、松浪先生は道に崩れ落ちてでしまう。


先生、先生 しっかりして!
先生~!!

松浪センセェー!!しっかりして~!おりんの叫び声が聞こえるようです💦

 

ところで、現在放送中の「はね駒」では、おりんは源造さんとお互いに恋仲になりました。昨日放送の「麒麟がくる」は撮影中止の為にお休みで、今までの戦国時代の大河ドラマの名シーンをやっています。昨日は歴代大河でNO.1の視聴率だった「独眼竜正宗」、主役が源造さんを演じている渡辺謙さん。まだ若いのに眼光鋭く、キリリとした佇まいは戦国武将にピッタリの勇ましさです。

「はね駒」の翌年の87年には、もう大河の主役に大抜擢されているんですから、スゴい。が、朝ドラにはギラっと鋭すぎる眼光は私は苦手やったわ。 この前に伊丹十三監督の「たんぽぽ」にドライバー役で出ていて、それは面白かったです。

私は今日も、歴代最低視聴率の「いだてん」を、再放送なのにやっぱり胸を熱くしています。今日は戦前のロサンゼルスオリンピック。明日は、ヒットラーがプロパガンダに利用した「ベルリン」民族の祭典、ワクワク~✨

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45回 松浪先生のお言葉・松浪先生を巡って争うおっさん

2020年06月13日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉

45回、5月13日

松浪先生を巡り、おっさんの争い勃発!


おりんは、初めて仙台に来た母の八重を歓迎して、知り合いの店で叔父、源造と4人で食事をすることになった。

そこに居合わせた酔客が
「東北女学校で騒ぎがあったんだと、悪い先生がいて、そいつが女学生をそそのかして、騒ぎをおこさせたという噂だ。」
「校長にでもなりたかったんだろう。」
「何ていう奴だ、そいつは。」
「新聞にも出てた、松浪って奴だ。」
「嘘だ!」と酔客に食って掛かるおりんを止めた源造
「誰がそんなデタラメを言ってるんだ。松浪って人はそんなくだらない人間じゃねーぞ。自分が損な立ち場になろうと、やらなきゃいけないのが男ってもんだ!松浪って人はそういう男なんだ。いい加減な事を言うと承知しねーぞ!」
「松浪先生の悪口をいう奴、わたしだって絶対に許さないからね!」二人は怒りが収まらない。


松浪先生宅

中河鶴次が松浪先生の旅支度の用意、鞄に荷物を詰めている。
(中)東京には何日ご滞在ですか?
(松)東京での滞在の予定は3日の予定だが、行き帰りを見ると1週間はみないといけないな。


(先生、お茶を入れながら)
(中)それでは足袋はこれくらいで
(松)あ、それだけあれば。全国ミッションスクールの関係者が集まって、貧困児童の為の資金集めをすることになっているんだ。
(中)大変なお仕事ですね。今度のボイコット事件も報告なさるんですか?
(松)いや、あれはもう少しキチンと決着がついてから。私の東京行はその決着の方にも目的があるんでね。
(中)やはりあの3人は東京の女学校に?
(松)うん、あの3人が昼間やってきてよく話し合ったんだが、できれば明和女学校に入りたいと強く希望している。現在、もっとも新しい女子教育を実践しているのが東京の明和女学校だ。できたら彼女たちの希望をかなえてやりたいと思ってね。


(中)でもああいった事件を引き起こした生徒たちを、すんなり受け入れてくれますかね、明和の方で。
(松)彼女たちの物の考え方や人間としての優秀さを正直に話して、理解してもらうより手はないだろう。しかし彼女たちを追放した学校側の人間として、それを頼むのは、はなはだ矛盾した話だがね。辛い交渉になるな。
(中)でも先生お1人で何もかもなさって、少しお疲れじゃないですか?お顔の色がちょっと冴えませんが。
(松)いや、別に。でも久しぶりに君が来てくれたと言うのに、ゆっくり話す暇もなくて悪いね。

(中)私は教会の用事で来たんですから、それに先生の旅立ちの支度を手伝わせていただくことで、何だか昔に戻ったようで、とっても嬉しんですよ。
(松)そうだね、二人で旅支度をしては日本中を伝導で歩いたね。
(中)わ~、この髭剃りの道具。あの頃のをまだお使いなんですね。
よく使いこんでるでしょ。


(中)いや懐かしいな、あの頃は先生も私も若かった。よく伝導しながら二人で歌を歌って歩きましたね。(讃美歌を歌い出す)
悩みまどい また 苦しむことも
望みは違えず 主にこそ祈れ♪


(二人のいる部屋を覗き込んでいる、梅沢先生)


(松)梅沢先生!
(梅)今晩は、お客様とは知らなくて。
(松)客と言っても、私のごくごく親しい友人ですから。どうぞ お上がりください。
(梅)じゃあ 失礼
(松)どうぞこちらへ。梅沢先生、こちら宣教師をなさっている、中河鶴治先生。1年前まで東北女学校で教師をなさっていました。


(梅)じゃあ、私と入れ違いに。
(松)こちら君の後にいらして、西洋歴史を担当なさっている梅沢先生です。
(中)中河ですよろしく
(梅)梅沢です。ばあやさんがいなくて旅の支度が大変だと思って、お手伝いにきたんですよ。あのこれね、私 編んだんですけど(紺色の毛糸のチョッキ)もう朝晩冷えますから。どうかこれ、お召しになって下さい。


(松)それはどうも、恐れ入ります。
(梅)いやいや 楽しみでやってるんですから、鞄に入れときましょう。
(中)いやあの、もう一杯で入りますかね。
(梅)もうそんな一杯なんですか?何詰めたんです?ちょっと拝見。
(鞄の中を見る梅沢)


(中)ちょっと 詰めたんですから
(梅)旅慣れない方は詰め過ぎますからね。
(中)旅慣れない?!松浪先生と私は、昔は旅から旅へ、旅のオーソリティを自認してまして。
(梅)昔の旅と今の旅は違いますからねぇ。


(中)昔の旅と言ったって、お駕籠に揺られてエッサカホイと違いますから。結構ですから、松浪先生の旅支度、私が一番承知してますから。
(梅)とにかく私がやりますから。
(中)いいです、あなたはお構いなく。


(鞄を取り合う二人)
あんたこそ!
ダメ~!


(中)猿股をそんなに握りしめないで下さい!
(二人の争いに、真ん中で無表情の松浪先生)

※この回は一番笑える回で、昔に見たまま今でも忘れていません。松浪先生の世話を焼きたいオッサンたち。その争いを前にして、内心は困り切っているのに全く表情を崩さない松浪先生の表情にも笑います。女学生にもオッサンにもモテモテです

それにしても松浪先生、旅支度はご自分でやらないんですか?

 


夜、母の八重と二人で部屋にいるおりん。松浪先生が女生徒をそそのかしたという噂に怒りが収まらない。

「そんな事いう奴は、首根っ子捕まえて、あの松浪先生の青い顔を見せてやりたいわ!
二宮さんや里見さんみたいに、自分のことキチンと考えられる人は立派だけんど、おくにさんはほんとに偉いと思う。自分が正しいと思ったとうりに、自分の筋を通してキッパリとしてるもの。ああいう風に生きられたらいいね。ああいう風に生きようと思ったら人の世話になってちゃダメだね。自分の力で生きなくては。給費生になって辛いと思った事は一度もないけんど、まかないとか働くことは辛いと思わなかったけんど、今度は辛かったぁ。お金を貰っていることで、何も小さくなっていることはないと、そう思っていたけんど、見えない紐で自分が縛られてるみたいで、自分が思っていることを きっぱり言ったりすることができなくて、自分が情けなくて、母ちゃん。私辛かった。」

(隣で眠っていると思っていた母が)

「それだけわかっただけ、給費制になって良かったな、おりん。きっぱりしてる人も偉いけど、どうしたいけど出来なくて、じーっと我慢してる人も偉いんだよ。一生懸命 生きてる人は、みんな偉いんだ。さあ、もう眼をつむって眠んな、あしたから一生懸命やんな。」

「おやすみ母ちゃん。」




おっさんたちの争いから一転、おりんと母。おりんの長い独白を、隣りで眠っているのかと思っていたら聴いていた母の八重。

おりんの給費生だから何もできないのかという、やるせなさ焦燥感に「きっぱりしてる人も偉いけど、どうしたいけど出来なくて、じーっと我慢してる人も偉いんだよ。」という言葉に救われます。殆どの人は、きっぱりと生きたくても、やりたくても、出来ないんだと思うわ。きっぱりした人は、きっぱりしたなりに生き難い。私は長いものには巻かれろで、へらへらと何もできずに生きています。

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第44回「松浪先生のお言葉」女性の地位が社会的に認められない国は、本当の文明国とはいかないからね。 

2020年06月11日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉

トロトロ、マイペースでやっております。「松浪先生のお言葉」

第44回 5月12日

松浪先生、おりんに願い事をする

(松)ちょっと頼みたいことがあるんだ、こっちの仕事がすんだら、あとで来てくれるかい?礼拝堂にいる。

(り)ハイ!行きます!(ウキウキ)

(松)学校の用事で明日、東京へ行く事になっているんだ。これをあの三人(学校を退学になった女学生)に渡してもらいたいんだ、いいかな?(手紙を差しだす)これからもあの三人との連絡は君に頼むことになると思うが・・


(り)ハイ!なんでもさせて下さい。先生やあの方たちにお役に立つことなら、何でもします!(先生に頼まれて大喜び)

(松)有難う、頼むよ(先生も笑顔)

封筒にはもしあの三人が希望すれば、東京のミッション系の女学校に入れるように私が話をしてもいいと書いてあるんだ。
もちろん、あの三人が希望しての話しだし、女学校がうんと言わないかもしれない。私はあの三人が中途半端に学問を辞めてしまう事が、実に残念でね。彼女たちのように物事をきちんと考えられる女性が、この日本には必要なんだよ。彼女たちにはもっと勉強しもっと自分を高めて欲しいんだ。そして、女の可能性を社会に示して欲しいんだ。女性の地位が社会的に認められない国は、本当の文明国とはいかないからね。
あの三人をこのまま放り出してしまうことは、教師としての責任放棄だと思うし、私としてできうる限りのことをしたいと思っているんだ。

(り)してあげて下さい。先生が相談亜一相手になって下されば、あの三人もどれだけ嬉しいか。あの方たちも誰かの助けが欲しいんです。

(松)とにかく明日 私は東京に行く。これを読んで今日中に私に連絡をくれるように伝えてくれたまえ。私は自宅にいる。

(り)はい、今からすぐ行ってきます。

(松)頼んだよ。(といいながら、思わずクラっとする先生。)

(り)先生!どうなすったんですか!

(松)いや、大丈夫だ・・なんでもない。ここのところ、あまり眠ってないから。さ、早く行きたまえ。

(り)はい、あのー こんな大事な事私に話してくださって、私でいいんですか?

優しく笑顔で頷く松浪先生に、おりんは嬉しそうに、


行ってきます!

それを見送る松浪先生、教会の椅子に崩れるように座りこんでしまう。


三人の女学生は、松浪先生の心遣いが心から嬉しく、とても喜んでいる。松浪先生にお任せすれば、きっと良いようにして下さると力説するおりん。

母のやえが、相馬から中河鶴次と一緒に学校に来ていた。母に久し振りに逢って、大喜びのおりん。

久しぶりの母とおりんは、叔父(ガッツ石松)の家に一緒に、一晩泊る事にした。おりんと寄宿舎で相部屋の節子は、一人で寝ることになる。
(り)御免な、一人にして。
(節子)大丈夫よ、一晩くらい。
(舎監の田島ぎん)節子さん、あたしの部屋で一晩一緒に寝てもいいですよ。寝ますか?
(節子)結構でございます!(きっぱり断る)

それを見て、思わず笑いをこらえるおりんと、母のやえ。

 




クラ~っと優雅に椅子に崩れおれる松浪先生、大丈夫ですかっ!

松浪先生のお言葉「女性の地位が社会的に認められない国は、本当の文明国とはいかないからね。」はいこの明治時代から100数十年(※この時は1890年代の後半辺り)、いまだに日本は文明国とは言い切れないようです。

ところで舎監の田島先生は真面目な先生ですが、どっかピントがズレている感じで、暗くなる場面でも、クスリとした笑いを与える役回りです。演じている白川由美さんはとても美しい女優さんでしたが、晩年は意外にコミカルな役柄も演じていました。もちろん二谷友里恵さんの実の母です。

この「私と一緒に寝ますか?」に、即座に「結構でございます」と答える場面は、松浪先生の登場シーン以外では、とてもよく記憶に残っているシーンです。もちろん、白川さんが二谷友里恵さんの実の母であると知っているからこそ、笑えるのです。

私が小学生時代、本棚に母の買ってきた都会のセレブのマダムが見るような、グラビアたっぷりの女性月刊誌がありました。もちろん母は間違ってもセレブじゃないけど、私もその雑誌の美味しそうなケーキや料理のページを、どんな味だろう?と何度見返したことか、憧れた事か✨ 月刊誌には、マロン・ショートケーキの作り方が載っていましたが、まだ昭和の40年代、近所に生クリームなんぞ売ってません、オーブンもない、まさにショートケーキは垂涎と羨望の味、絵にかいた餅でした。田舎じゃバタークリームのケーキしか売ってなかったのよ・・

その雑誌のグラビアに載っていたのが、生まれて間もない二谷友里恵さんでした。ページをめくるたびに何度も見たのが、美しい女優の母と、映画スターの父の両親に見守られた、生まれて1歳になるかならないかの乳幼児の友里恵さん。

という訳で、産まれた時から知っていた二谷友里恵さんと母の白川さん、この親子の芝居「一緒に寝ますか?」「結構でございます!」のやり取りが、いっそう笑えたのでした。この後間もなく郷さんと結婚した友里恵さん「愛されるわけ」あの当時読んだわ~(なかなかカッコイイ女性だと思いました) 今はTVCMをバンバン流している、学習塾のトライの代表取締役なんだそうです。

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第43回「松浪先生のお言葉」GO AWAY!

2020年06月06日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉

43回 5月11日

GO AWAY!
二宮と里見の二人は、日本人の伝統や精神を無視しない教育を要求し、校長に建白書を差し出し、拒否されたために授業をボイコットした。それに対して校長は、現然と退校処分を下す。おりんの同級生の浜田くにも「処置は納得できない、志が同じである私も学校を辞めなければなりません。」と、二人に続く。


校長先生に訴える松浪先生。


(松)彼女たちのしたことは生徒の本文から逸脱した行為だったかもしれません。退学放校というのは厳しすぎるご処分ではないでしょうか。他の生徒たちもショックを受け、動揺しております。せめて、停学謹慎と言う処分で許していただくわけには参りませんか。

(教頭)あの二人もそう言っているんですか?

(松)いえ、これは私個人の願いです。

(教頭)すると、あの二人のしたことを松浪先生はその程度の罪としか思っておられないという事ですか?

(松)あの二人の希望の芽まで摘み取ってしまうのは、教師とすれども許されないはずです。ただ追放して事足りるとすれば、教師として あまりにも怠慢だと思います。校長先生はお立場上、そうせずにはおられないところもお有りでしょうが、あの二人に救いの手を何らかの形で

(教頭)あなたは何故、あの二人に肩入れをなさるんですか?あなたは、あの二人からボイコットされた、我々 教師側の人間ではないんですか?

(校長)あの二人と松浪先生の言う事はわかります。しかし、力による自己主張を認めては教育は成立しません。私はそのことを生徒たちにわかって欲しいのです。私はあの二人を愛しています。いつか私の真意が伝わるように祈っています。


私は、なじょしたらいいんだろう・・かあちゃん。

全ての出来事が、りんには衝撃的で鮮烈な出来事でした。

松浪先生、私はどうしたらいいんですか?先生?



 

「はね駒」を観ていると、こんな人がこんな役で、と思う時が時々あります。

朴訥な中河先生役の矢崎慈さんは「ときめきに死す」では、物語の一番最後に現れる不気味なテロリストでした。無表情が怖かったわ~ 役柄が違うと、イメージもガラリと違うものですね。「山河燃ゆ」にも出ていたけど、ジュリーと絡む場面はナシです。

樹木希林さんは「寺内貫太郎一家」からは10年以上たっていて、この頃はジュリ~♪の強烈なイメージも潜めて、明るい良き母、良き妻の役柄がピッタリでした。

 

妹のおみつの姑役で、草村礼子さんが出てきたのには おお~!っと思いましたよ。映画「Shall we Dance」のダンス講師です。あの時、始めて見た女優さんだと思っていたけど、「はね駒」に出ていたとは。映画では「おばあちゃんでガッカリした?」という台詞があったけど、実はまだお若かったんだ。

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42回 「松浪先生のお言葉」よりも驚いた衝撃の告白💦

2020年06月05日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉

現在放送中の「はね駒」は、明治時代に三陸地震が起きて、中河先生の家族は流されてしまいました。東北が舞台であると言うことで、今回の放送になったと思っていましたが、ドラマの中でも同じく津波が押し寄せてきていた。そうだったのか・・ 東北は今までに何度も津波で流されてきていたのですね。

ドラマの中で描かれている津波を、今の私だからより深く捉えられています。当時の私はきっと、津波を現実的な物として見ることは絶対にできていなかったはず。この物語には、おりんの成長と女性たちの目覚め、その背景に東北の歴史もきちんと描かれていたんだと知りました。もう、すっかり忘れていたドラマの核心部分を思い起こしています。



 

5月9日 第42回

明治24年、学校に建白書出すも拒否され、女学生が授業をボイコットした。

松浪先生の心から生徒を心配し、悩み祈るお姿の美しい事と言ったら・・

ところが「松浪先生のお言葉」よりずーっと驚いた告白がありました、まさに衝撃の告白!ビックリ・・




 

ボイコットを考え直すようにと女生徒に説く、松浪先生。

他の多くの生徒たちは君たちの行為を見て
どのように大きなショックを受け動揺しているか
それを考えたことがありますか?

君たちの思いは十分にかなえられたと思いますよ。
生徒たちは今、学校との関わりについて真剣に考えているでしょう。
それだけでも君たちの目的は半分達せられたと思っても
いいんじゃないのかな。

君たちの言わんとしていることはよくわかっている。
ボイコットはやめなさい、今ならまだ教室に戻れる。
あとは良く私達が校長先生と話し合って・・

結構でございます。と強硬な二人。
どうしたらいいのかわからないおりんは、ただ立ちすくむ。

君はどうしたいんだ?
あの子にもゆっくり考える時間を与えてやってください。
自分がどうすれば良いかを。

校長先生に対し、生徒が納得できる処置をとお願いする先生。

あれを反抗と取らないでください。
彼女たちは校長先生に願っているのです。
今まで教えられているだけの彼女たちが
自分の頭で考え判断し行動を起こしたという事は
ある意味では素晴らしい事だとお思いになりませんか?
彼女たちを自己に目覚めさせ、自分の信念に従って行動させた
これこそ、校長先生のこれまでの教育の成果と
お思いになりませんか?彼女たちの行動に間違いがあったら
それを正してやるのが教育です。
彼女たちはこれから日本の女性達のリーダーに
なれる人間です。彼女たちの前途のために、彼女たちの
納得のできるご処置を。お願いいたします。

 

(教会で祈る松浪先生)

我が心に勇気をお与え下さい。
己の信ずるままに歩む勇気を。
二つの道を前にして苦しむ私に勇気をお与え下さい。

(おりん)松浪先生、わたすはどうしたらいいんですか?

自分の信じる道を行きなさい。今の私にはそれしか言えない。
しかしきっと、校長先生が私たち皆に、幸せな道を示して下さると
私は信じています。それまで、自重して勉強に励みなさい。
君がそうして苦しんだ、そのことが君にとって大きな実りとなることを
私は祈っています。

 

しかし、二宮と里見の二人に校長は、この学校を去るようにと命じる。

 



 

※ここから、少し時間を巻き戻します。まかないのおばちゃん衝撃の告白💦

どうしたらいいのかわからないおりんに、まかないのおばちゃんは言う。

(おばちゃん)自分の思うようにならないのが世の中。
いちいち楯突いたり駄々をこねたりしてたら
自分が生きにくくなるだけだ。
あの利口なふたりは、なして そこんとこがわからねーだ。

(り)給費生の自分がボイコットしたら、わたすは恩知らずな人間に
なっちまうね。

んだ、犬だって3日飼われたら恩を忘れねえっていうからな。

(り)私は飼われているのと同じなのかい?おばさん

(おばちゃん)私はこんな ちっこい頃に口減らしで奉公に出された。
旅籠の下働きで、薪でぶたれながら水くみやらやらされた。
我慢して我慢して、娘っこになるまで奉公したけど
16の時、ちょうどあんたぐらいの時だ。
旅籠の倅に乱暴されて、私の方がおん出されちまったんだ。
それからは はー メッチャクチャだった。
生きてるのがやになって、川さ入って死ぬべと
思ったところを 耶蘇の先生に助けられて、
あ~ 今こうしてられるのは、夢のようだぁ
あっちがよければ こっちが悪い・・
両方良ければ、ほっかむり、つうてな
なんもかんもと欲張らねえで、今は勉強とまかないの手伝いを
しているのが本当の務めだべ。




 

まかないのおばちゃんが、今はあっけらかんと語る
メッチャクチャ生きてるのが嫌になったという、自らの半生、

おしんも負ける悲惨さに、ビックリ・・💦💦。
救いのない暗い身の上話を、おぼこ娘のおりんちゃんは、
どういう思いで聴いたのだろう。

おばちゃんからすれば、ボイコットは恵まれた娘が
駄々をこねているとしか思えないんだろう。
底辺を這いずり回った人の語る言葉の強さには
誰も勝てませんわ。
教育は受けていないが、いつも温厚で優しい、
まかないのおばちゃんの言葉こそが箴言、教訓だった。

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40・41回「松浪先生のお言葉」女学生ボイコットする

2020年05月31日 | 「はね駒」松浪先生のお言葉

5月7日 40回
新学期、級友達と再会 し「この夏がずーっと続けばいいと思った」と語るおりんちゃん。
松浪先生が掃除に精出すおりんに「ご苦労さん」


「明日からわたす、英語の時間も聖書の時間もきっと皆に着いていけると思います。」


しっかりやりたまえ。




5月8日 41回

国語や漢文の授業が削られ、授業科目が変わることが不満な二宮と里見たち。「梅沢先生は松浪先生に話してくれなかったのかしら。梅沢先生は私達の話を握りつぶしたに違いない。」二人は校長先生に建白書を差し出し、大問題になる。

 

働くおりんに優しく声をかける松浪先生

(松)今日は、まかない?


(り)「わたす今日、聖書の時間に校長先生にちゃんとお答えできました。この女学校には入れて、ほんとに良かったと思っています。」

 


梅沢先生から二宮・里見が校長に建白書を差し出した事を知らされた松浪先生、

どうして私に教えてくれなかったのか。という松浪に、生徒個人に関わり合ってもらいたくなかった、という梅沢先生。松浪先生にくっつきすぎです!

二宮、里見の二人と話し合う松浪先生。


(松)そういう事は事前に相談してほしかった。考えが間違っているとは思わない。日本人なのに日本の伝統を無視して全てをアメリカ流に教育されることに疑問を感ずるという、君たちの言い分は 誠にもっともだと思う。が、全て正論だとも思わない。だったら、何故 君たちはこの学校を選んだのか。仙台に女学校は他にもいっぱいある。日本の伝統を重んじ貞淑なる日本婦人を養成することを唯一の目的としている女学校はちゃんとある。

(梅)この女学校のやり方が気に入らなければ、他の学校に行けばいいんです。

(松)待ってください、私はそう言う事が言いたいんではありません。そういう女学校が有るにも関わらず、あなたたちはこの女学校を選んだ。その理由をもう一度しっかり考えて欲しいと私は言っているんです。

 

職員会議が開かれる。


(松)私はこのような大事な事を相談してくれなかったことにショックをうけています。

梅沢先生は二人に相談されて、対処したしてないで、話が食い違い、紛糾する会議。

校長は「余計な事を考えず勉強するように」と、二宮・里見に建白書を突き返す。

彼女たちの要望は受け入れられず、二人は授業をボイコットする。

おりん「ボイコットって なんだべ??」

 




この時代に「ボイコット」なんて言葉を使っていたのかな??

明治時代に、学ぶという事に真剣に向かい合っている女学生たちの姿は、清々しいものがあります。しかし、やむにやまれない気持ちからとは思うけど、ボイコットというやり方は いささか荒っぽい・・。先に松浪先生に相談すべきだったと思いますわ。

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