アパレル大手のワールドは全社員の約4分1にあたる500人の早期希望退職を募る。40歳以上の正社員と再雇用契約を結んだ60歳以上の社員が対象。退職日は9月末で、7月6日から24日まで募集するという。『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著 プレジデント社)より、サラリーマンのリストラ最新事情をお届けする。
優秀な社員ほど辞める「希望退職」
景気は上向きつつある一方で、国内・国外の激しい競争にさらされている企業の人員削減の動きが始まっています。リストラの最もポピュラーな方法は「希望退職募集」ですが、単純に辞めたい人が手を挙げればそれですむというものではありません。
なぜなら残ってほしい優秀な社員が手を挙げ、本当は辞めてほしい社員が応募しなければ会社にとって大きな損失です。
そのため事前に対象者全員と上司が個別に面談し「退職勧奨」と「慰留」工作を行います。ただし、上司は労務のプロではありません。そこで面談の研修を行います。IT企業の人事部長は言います。
「上司は長年仕えてくれた部下に引導を渡すのは心情的にもつらいものです。やり方を間違えれば、本人が激高し、収拾がつかなく事態が起きる可能性もあります。そこで確実に目的を遂行するために、部長以上の面談担当者を集めて、1日かけてロールプレイによる研修を実施しています」
リストラ候補者の選別基準は昔も今も「会社への貢献度が低く、将来にわたっても成長性が見込めない社員」です。
人選は人事考課がベースになりますが、会社の方針や考え方によって対象者も異なります。近年は海外移転や国内事業の廃止にともない、たとえパフォーマンスが良くても事業と一緒にリストラされるケースも増えています。
一筋縄ではいかない「希望退職募集」 ターゲットはバブル期入社組?