◆踏青欄の宗匠総評
今さら言うまでもないことながら、コロナ禍が俳句に及ぼしたいろいろな影響は少なくないであろう。その中で踏青欄における以下の現象は、コロナ禍と関係があるのだろうか。それはこの一年間、踏青会員の俳句を見てくると、作品の質の浮沈の激しさを感じたことである。それぞれ課題を抱えて活動しているのであるが、課題が解決されたかに見えて、調子が上がって来たかと思うと、突然ガタっと落ちてしまったりする例が見られたのである。偶然であろうか。まだまだ俳句の力が不安定という事なのか、ともかくコロナのせいにはできないだろう。皆、同じ状況に置かれているのだから。
特に名指しで言われているのではありませんが、
自分の事を言われているようでグサッと来ました!
まだまだ俳句の力が不安定!
言い訳せずに努力を続けるしかありません。
ひたすら読んで、ひたすら詠むということ。
<採用3句>
ナースらは引継ぎの時照紅葉
※添削なし
※季語は「照紅葉(てりもみじ)」 主季語は「照葉(てりは)」
入院中の情景です。午後4時頃がナースステーションの引継ぎ時間。
昼勤の看護士から夜勤の看護士への引継ぎが行われます。
病室の患者も手持無沙汰で6時の夕食を心待ちにしている時間帯。
引継ぎが終わると、夜間担当のナースが検温などに訪れます。
<元句>初時雨少年野球集ひ来ぬ
<添削>集ひ来て少年野球初時雨
※添削句は、上五の入り方が絶妙かなと思います
※季語は「初時雨」・・・その冬初めてのしぐれ
近くの植物園の隣に草野球に利用される野球場があります。
小雨がパラパラと降る中、少年たちと親父さん達が集合。
いつもの球場散歩は遠慮し、間もなく雨はやみました。
木守を天辺でなく裾に置く
※添削なし
※季語は「木守(きまもり)」 木守柿とも
収穫の後に天辺(てっぺん)に一つだけ木に残しておく柿の実
柿の木が一本あるお家。
天辺でなく一番下の枝に、十個ほど残っている。
昔ならとっくに盗まれているのに、最近は悪ガキが居ない。
<没4句>
どこが良くないのか。いい句なのになぁと思う句も・・・。
自分の句はなかなか客観的には見れません。
長き夜や宇宙の動画限(きり)も無く
※季語は「長き夜」 主季語は「夜長」
YouTubeで太陽系の動画を見始めたらどんどん興味をそそられて、
次々と視ていったら夜の更けるのを忘れてしまい・・・。
宇宙は無限で、宇宙の動画もまるで無限。響き合っていると思ったが・・・。
咳(せき)の子のなぞなぞ遊びきりもなや 中村汀女
の印象的な句が頭にありました。
日暮まで受けし速球秋あかね
※季語は「秋あかね」 主季語は「赤蜻蛉」
9月に5歳上の兄が肺がん治療も空しく他界。
掲句は、兄が中学生で自分が小学生の頃、
日の暮れまで、大抵は兄がピッチャー自分がキャッチャーで、
当時の感覚でかなりのスピードボールを受けていた思い出です。
もうやめようよ~と泣きながら受けていた記憶もあります。
肌寒や転(ころ)の回らぬ点滴台
※季語は「肌寒」。晩秋。類似の秋の季語に「そぞろ寒」「うそ寒」がある
入院七日目までは管に繋がれて、トイレも散歩も点滴台と一緒。
ところが点滴台が重くてなかなか上手く進みません。
ある患者さんが「ころが回ってないよ」と教えてくれて、
辞書を引くとありました。重いものを運ぶ時の丸太が元の意味ですが、
椅子やテーブルに付ける小さな丸い道具を「転(ころ)」と言う。
優しそうな看護師さんにお願いしたら、軽い点滴台を探してきてくれました。
客寄せの喇叭とラップ新豆腐
※季語は「新豆腐」(晩秋)収穫されたばかりの新大豆で作った滋味深い豆腐
退院直後おっかなびっくりで夕暮れの散歩をしていると、
豆腐の移動販売車が通りかかりました。
昔ながらの「と~ふ~~」のラッパの音と、なんとラップの音楽。
ラッパとラップ。イケてると思って句ができましたが、
言葉足らずで意図が通じなかったのか、ただの語呂合わせの句だったのか。
今さら言うまでもないことながら、コロナ禍が俳句に及ぼしたいろいろな影響は少なくないであろう。その中で踏青欄における以下の現象は、コロナ禍と関係があるのだろうか。それはこの一年間、踏青会員の俳句を見てくると、作品の質の浮沈の激しさを感じたことである。それぞれ課題を抱えて活動しているのであるが、課題が解決されたかに見えて、調子が上がって来たかと思うと、突然ガタっと落ちてしまったりする例が見られたのである。偶然であろうか。まだまだ俳句の力が不安定という事なのか、ともかくコロナのせいにはできないだろう。皆、同じ状況に置かれているのだから。
特に名指しで言われているのではありませんが、
自分の事を言われているようでグサッと来ました!
まだまだ俳句の力が不安定!
言い訳せずに努力を続けるしかありません。
ひたすら読んで、ひたすら詠むということ。
<採用3句>
ナースらは引継ぎの時照紅葉
※添削なし
※季語は「照紅葉(てりもみじ)」 主季語は「照葉(てりは)」
入院中の情景です。午後4時頃がナースステーションの引継ぎ時間。
昼勤の看護士から夜勤の看護士への引継ぎが行われます。
病室の患者も手持無沙汰で6時の夕食を心待ちにしている時間帯。
引継ぎが終わると、夜間担当のナースが検温などに訪れます。
<元句>初時雨少年野球集ひ来ぬ
<添削>集ひ来て少年野球初時雨
※添削句は、上五の入り方が絶妙かなと思います
※季語は「初時雨」・・・その冬初めてのしぐれ
近くの植物園の隣に草野球に利用される野球場があります。
小雨がパラパラと降る中、少年たちと親父さん達が集合。
いつもの球場散歩は遠慮し、間もなく雨はやみました。
木守を天辺でなく裾に置く
※添削なし
※季語は「木守(きまもり)」 木守柿とも
収穫の後に天辺(てっぺん)に一つだけ木に残しておく柿の実
柿の木が一本あるお家。
天辺でなく一番下の枝に、十個ほど残っている。
昔ならとっくに盗まれているのに、最近は悪ガキが居ない。
<没4句>
どこが良くないのか。いい句なのになぁと思う句も・・・。
自分の句はなかなか客観的には見れません。
長き夜や宇宙の動画限(きり)も無く
※季語は「長き夜」 主季語は「夜長」
YouTubeで太陽系の動画を見始めたらどんどん興味をそそられて、
次々と視ていったら夜の更けるのを忘れてしまい・・・。
宇宙は無限で、宇宙の動画もまるで無限。響き合っていると思ったが・・・。
咳(せき)の子のなぞなぞ遊びきりもなや 中村汀女
の印象的な句が頭にありました。
日暮まで受けし速球秋あかね
※季語は「秋あかね」 主季語は「赤蜻蛉」
9月に5歳上の兄が肺がん治療も空しく他界。
掲句は、兄が中学生で自分が小学生の頃、
日の暮れまで、大抵は兄がピッチャー自分がキャッチャーで、
当時の感覚でかなりのスピードボールを受けていた思い出です。
もうやめようよ~と泣きながら受けていた記憶もあります。
肌寒や転(ころ)の回らぬ点滴台
※季語は「肌寒」。晩秋。類似の秋の季語に「そぞろ寒」「うそ寒」がある
入院七日目までは管に繋がれて、トイレも散歩も点滴台と一緒。
ところが点滴台が重くてなかなか上手く進みません。
ある患者さんが「ころが回ってないよ」と教えてくれて、
辞書を引くとありました。重いものを運ぶ時の丸太が元の意味ですが、
椅子やテーブルに付ける小さな丸い道具を「転(ころ)」と言う。
優しそうな看護師さんにお願いしたら、軽い点滴台を探してきてくれました。
客寄せの喇叭とラップ新豆腐
※季語は「新豆腐」(晩秋)収穫されたばかりの新大豆で作った滋味深い豆腐
退院直後おっかなびっくりで夕暮れの散歩をしていると、
豆腐の移動販売車が通りかかりました。
昔ながらの「と~ふ~~」のラッパの音と、なんとラップの音楽。
ラッパとラップ。イケてると思って句ができましたが、
言葉足らずで意図が通じなかったのか、ただの語呂合わせの句だったのか。
わずか十日間が長い十日だったようにも思います。
この先の三か月後を、期待しています。