2020年10月21日~11月20日作品結果(獅子吼2021年2月号)

2021年02月07日 | 俳句
◆踏青欄の宗匠総評
 今さら言うまでもないことながら、コロナ禍が俳句に及ぼしたいろいろな影響は少なくないであろう。その中で踏青欄における以下の現象は、コロナ禍と関係があるのだろうか。それはこの一年間、踏青会員の俳句を見てくると、作品の質の浮沈の激しさを感じたことである。それぞれ課題を抱えて活動しているのであるが、課題が解決されたかに見えて、調子が上がって来たかと思うと、突然ガタっと落ちてしまったりする例が見られたのである。偶然であろうか。まだまだ俳句の力が不安定という事なのか、ともかくコロナのせいにはできないだろう。皆、同じ状況に置かれているのだから。

特に名指しで言われているのではありませんが、
自分の事を言われているようでグサッと来ました!
まだまだ俳句の力が不安定!
言い訳せずに努力を続けるしかありません。
ひたすら読んで、ひたすら詠むということ。


<採用3句>

ナースらは引継ぎの時照紅葉
  ※添削なし
  ※季語は「照紅葉(てりもみじ)」 主季語は「照葉(てりは)」

  入院中の情景です。午後4時頃がナースステーションの引継ぎ時間。
  昼勤の看護士から夜勤の看護士への引継ぎが行われます。
  病室の患者も手持無沙汰で6時の夕食を心待ちにしている時間帯。
  引継ぎが終わると、夜間担当のナースが検温などに訪れます。
  

<元句>初時雨少年野球集ひ来ぬ
<添削>集ひ来て少年野球初時雨
  ※添削句は、上五の入り方が絶妙かなと思います
  ※季語は「初時雨」・・・その冬初めてのしぐれ

  近くの植物園の隣に草野球に利用される野球場があります。
  小雨がパラパラと降る中、少年たちと親父さん達が集合。
  いつもの球場散歩は遠慮し、間もなく雨はやみました。


木守を天辺でなく裾に置く
  ※添削なし
  ※季語は「木守(きまもり)」 木守柿とも
   収穫の後に天辺(てっぺん)に一つだけ木に残しておく柿の実

  柿の木が一本あるお家。
  天辺でなく一番下の枝に、十個ほど残っている。
  昔ならとっくに盗まれているのに、最近は悪ガキが居ない。


<没4句>
どこが良くないのか。いい句なのになぁと思う句も・・・。
自分の句はなかなか客観的には見れません。

長き夜や宇宙の動画限(きり)も無く
  ※季語は「長き夜」 主季語は「夜長」
  
  YouTubeで太陽系の動画を見始めたらどんどん興味をそそられて、
  次々と視ていったら夜の更けるのを忘れてしまい・・・。
  宇宙は無限で、宇宙の動画もまるで無限。響き合っていると思ったが・・・。
  咳(せき)の子のなぞなぞ遊びきりもなや  中村汀女
  の印象的な句が頭にありました。


日暮まで受けし速球秋あかね
  ※季語は「秋あかね」 主季語は「赤蜻蛉」

  9月に5歳上の兄が肺がん治療も空しく他界。
  掲句は、兄が中学生で自分が小学生の頃、
  日の暮れまで、大抵は兄がピッチャー自分がキャッチャーで、
  当時の感覚でかなりのスピードボールを受けていた思い出です。
  もうやめようよ~と泣きながら受けていた記憶もあります。


肌寒や転(ころ)の回らぬ点滴台    
  ※季語は「肌寒」。晩秋。類似の秋の季語に「そぞろ寒」「うそ寒」がある

  入院七日目までは管に繋がれて、トイレも散歩も点滴台と一緒。
  ところが点滴台が重くてなかなか上手く進みません。
  ある患者さんが「ころが回ってないよ」と教えてくれて、
  辞書を引くとありました。重いものを運ぶ時の丸太が元の意味ですが、
  椅子やテーブルに付ける小さな丸い道具を「転(ころ)」と言う。
  優しそうな看護師さんにお願いしたら、軽い点滴台を探してきてくれました。


客寄せの喇叭とラップ新豆腐
  ※季語は「新豆腐」(晩秋)収穫されたばかりの新大豆で作った滋味深い豆腐

  退院直後おっかなびっくりで夕暮れの散歩をしていると、
  豆腐の移動販売車が通りかかりました。
  昔ながらの「と~ふ~~」のラッパの音と、なんとラップの音楽。
  ラッパとラップ。イケてると思って句ができましたが、
  言葉足らずで意図が通じなかったのか、ただの語呂合わせの句だったのか。

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
入院 (きりぎりす)
2021-02-08 07:20:23
手術、退院と生々しい生活が偲ばれる今回でした。
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退院から三か月 (健人)
2021-02-08 20:30:20
ずいぶんと前の事のように感じます。
わずか十日間が長い十日だったようにも思います。
この先の三か月後を、期待しています。
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