つづき
秋雲の覆い斑に染まる草 まきえっと
逝く秋や花を惜しみつ山拝む 道人
雲近き丘陵の果て箒草 春生
◯(餡子)見事なコキアの丘。天国に近づいていくような浮遊感。
〇(仙翁)延びていく丘陵、広々としています。
〇(ちせい)丘陵の果て、空の果てには何があるのだろうかと空想が膨らみました。
図書館の帚木紅葉全滅し ちせい
穭田(ひつぢだ)の茎を啄む鳥は無し ちせい
◯(アダー女)刈り取った後の稲の茎から出てくる新芽は美味しくないのを鳥たちは経験か本能で知っているのでしょうか?
島影の見ゆる刈田を葬送る 春生
◯(楊子)苅田道から葬を連想されたところが句を広げました。
◯(あちゃこ)葬送るは、様々なものとの別れとして読みました。終わりゆく秋。
◯(カンナ)無駄な言葉のない上手い句だと思います。
〇(あき子)刈田を背景にして、生死の営みが見えてきます。
〇(めたもん)「島影」「刈田」「葬送る」という材が句の雰囲気を作っています。
◯(卯平)中七「刈田に」であろうか。それで刈田の位置が明確になりはしないか。詠み手のロングのカメラで「葬送」の場面に臨場感が伺える。
◎ (アゼリア)子供の頃の母郷の葬を思い出しました。
◯(宙虫)送る人への想いを景色で見せてくれる。
こすもすを連れてコキアは高原へ 道人
米在庫あるはず刈田の大広がり 藤三彩
◯(泉)何もかも値上げの世の中。政治家たちは権力闘争に明け暮れる。
〇(瞳人)まったく、今度の米不足騒ぎは、テレビの一人騒ぎがもたらしたものとみていますが
◯(まきえっと)これだけの刈田を見たら、在庫不足だなんて思えません。
箒木紅葉ガリバーの脚となる 珠子
◯(藤三彩)「ガリバーの脚」の発想転換がまあそういうことかと納得
◎(あちゃこ)自身が巨大化したという発想に共感。コキアの群の中で同じような感覚を持った思い出が蘇りました。
◯(幹夫)発想が面白い。
◎(仙翁)ガリバーの脚、面白い見立てですね。
薄煙る阿蘇遠くして草の花 仙翁
〇(珠子)この遠近感。景の大きい句には惹かれます。薄はススキとも読むので一瞬混乱ましたが。
〇(あき子)遠く近くのしみじみとした光景が心地よい。
還りたい帰りたくない苅田道 楊子
◯(餡子)「かえる 」を漢字を違えての技巧。それぞれに意味の違いがいろいろに取れて面白い。
◯(あちゃこ)過去への回帰を巧みに詠まれていると思います。
◯(卯平)果たして詠み手の初恋の句だろうか。若かりし頃のふる里での中学生か高校生時の思い出か。
目を外す少女コキアの薄紅葉 めたもん
〇(仙翁)目を外すがなかなか面白い。
◯(アダー女)真っ赤に紅葉したコキアが見たかった少女は薄紅葉では気にいらなかったのでしょうね。
水門に澱みゆく水冬隣 あちゃこ
〇(めたもん)「澱む」ではなく「澱みゆく」としたことで、季語「冬隣」とよく響き合っていると思います。
◯(まきえっと)水から冬が来ていることを感じるって毎日を丁寧に過ごしているように感じます。
〇(ちせい)晩秋は人の心を自然に誘いますね。
◯(卯平)写生句としていただく。「澱みゆく水」の景はもう少し具体的であれば更に共感を強くする。
コスモスはしゃがみ下から撮るが良し アダー女
〇(瞳人)そのアングル、確かに
◯(幹夫)同感です。
母色のコキアの耳に昼ちちろ 宙虫
コキア色づきしがもう会えぬ人 餡子
〇(アネモネ)切なさとコキアの取り合わせが不思議ないい味をだしています。
◯ (アゼリア) もう会えぬ人が増えてきて寂しいです。
公園をぐるり狗尾草きらり あき子
風纏ふ塔より高き女郎花 幹夫
はうき草の千のもみづる国ざかひ アネモネ
◯(珠子)藩境でしょうか。川ひとつ丘ひとつで言葉も文化も異なった時代がありました。
◯(道人)写真のままの景を過不足なく詠んで、広がりがある。
轟の暗渠を目指す秋の水 まきえっと
◯(アダー女)田に張った水はもう不要なので水抜きのため暗渠へ。また来春田には田植えの水が引き込まれ・・・巡回の年月なんですね。
〇(めたもん)遠い暗渠に落ちる水の音。秋の水らしい音が聞こえ、景が見えてきます。
花八つ手ぽんと彼奴の誕生花 瞳人
◯(あちゃこ)リズムよく、臨場感があります。因みに花言葉は、「分別、健康、親しみ」だそうです。
〇(あき子)中七のリズムと音韻が花八つ手によく合っています。
面談へ向かふ父母冬隣 卯平
◯(泉)「面談」「冬隣」何だかミステリアスな俳句だと思います。
◯(餡子)あの写真の道には郷愁を誘われました。どこかで見たような村の道。面談とは驚かされました。成程ね。
〇(アネモネ)ちょっと緊張する景ですね。
◎(カンナ)書かれていませんが、面談と冬隣という二つの語句だけで、読者に情況を想像させる上手い句だと思います。
◎(幹夫)季語「冬隣」が佳い。
〇(春生)最近では、子どもの入学試験に親の面談があるとか、いやお医者さんとの面談ですね。良い結果が出るといいですね。
◯(まきえっと)この写真から面談が思いつくなんて。
菊花展朝から気になる空模様 泉
◯(藤三彩)大輪三花など雨に打たれるとテント屋根あっても都合が悪い。観る側よりも出展者の心中に触れられる
◯(幹夫)正に菊日和ともいうべき先日、毎年恒例菊花大会期間中の岡山後楽園にて吟行があった。園内には県内の菊愛好家が丹精込めて育てた華麗な大菊や可憐な小菊の作品を多数展示され、晩秋の後楽園に日本伝統の菊花の彩りが添えらえていた。近々の七五三を控えて前倒しの親子連れもあり、国内外問わず、園は多くの観光客で賑わっていた。
いつになく篤き礼状今年米 アゼリア
◎(藤三彩)令和の米騒動と言われた晩夏。新米は何よりの安心でしたでしょう。
〇(ちせい)不足騒動や値段の高さを考えると納得の一句。
◎(アネモネ)「篤き礼状」はまさに今年ならではのことですね。
◯(カンナ)説明のない上手い句だと思います。
〇(瞳人)こころが伝わります
車椅子とコスモスの野に消えた母 カンナ
◎(瞳人)お元気な頃の風景でしょうか、目に残っています
◎(アダー女)人生最後は車椅子生活だった母上を思い出しておられる切ない句ですね。きっとコスモスの花がお好きで車椅子でコスモス畑に連れてきてあげた記憶が蘇ったのでしょうね。親孝行なさいましたね。
〇(仙翁)何となく、いろいろ感じますね。
◯(卯平)母もの句で句意は伝わる。生を全うしようとしている景に共感する。しかし上五の「と」が気になる。
◯(道人)「コスモス」の明るさに救われる。
◯ (アゼリア)私も母は好きだった花野に消えたような気がしています。
今月の写真
一枚目
熊本県産山村のヒゴタイ公園の景
https://www.ubuyama-v.jp/soshikikarasagasu/kikakushinkoka/kanko/kankospot/391.html
二枚目
熊本県南阿蘇村「道の駅あそ望の郷くぎの」周辺の景
三枚目
熊本県南阿蘇村「道の駅あそ望の里くぎの」コスモスとコキア
https://minamiaso.info/spot/asobonosato/
広島は次第に寒くなって来ました。しかし、昼間はまだまだ暑いくらいです。体調管理に苦労しています。さて、アメリカ次期大統領選はトランプ氏の圧勝でした。石破総理は対応に苦労するだろう、と思います。