小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第535回小麦句会結果発表

2024年10月23日 19時52分52秒 | 小麦句会への参加方法
小学校から運動会の練習の声が聞こえてきます。
町内会の運動会も近いし、ストレッチをして備えておきたいと思います。


兼題:実
駆け落ちを告ぐるメモ在り一位の実  卯平
○(泉)「駆け落ち」とは大変ですね。
○(宙虫)本当に出会ったことならえらい迷惑な・・・と思いながら。
○(仙翁)駆け落ちの設定、面白いですね。

実現はないが意外な半月時  吾郎
○(泉)見事な回文俳句だと思います。
◯(道人)「半月時」の造語(?)が生きている。回文句とは思えないリズム。

紫蘇の実のはじけ他人に裁かれる  宙虫
○(あちゃこ)この苛立ちに何故か納得。裁くは重い言葉ですね。
◯(道人)捌くのは大概他人だが、紫蘇の実がはじけると、当たり前のことがそうではないような気にさせられた。視点が面白い句。
○(吾郎)はみ出したものの運命
〇(めたもん)「他人に裁かれる」と「紫蘇の実のはじけ」との意外な繋がり。不快ないがいがした感覚がよみがえってきます。
○(まきえっと)取り合せがいいですね。
(選外)(藤三彩)紫蘇の実には悪い意味はないとおもうのだが「他人に裁かれるという」不条理さには抵抗したくなる

束の間の人生劇場木の実ふる  道人
○(卯平)信長が舞った幸若舞を思い出す。因みに鑑賞者が生活している近くのみやま市瀬高町にこの幸若舞が残っている。木の実ふるは納得。
〇(アネモネ)ほんと人生劇場は束の間です。
〇(ちせい)文学作品をも想起させ、「束の間」降る木の実をあぶり出しました。

大自然に守られ秋の実りかな  泉

実石榴の裂けて弾けし古戦場  幹夫

〇(瞳人)柘榴の赤、なんとなくいいですね、場が目に浮かぶようで
〇(珠子)痛そうに無念そうに裂ける柘榴と戦との取り合わせ。こちらまでひりひりしてきます。
○(アダー女)昔、祖母から聞いた話ですが「実石榴の味は人肉の味に似ていると言われている。」と。古戦場ではその昔、刀で切られた人間の肉体が裂けて実石榴のような凄惨な姿をしていたのかと想像してしまう。怖い句ですが情景が分かり過ぎる上手さ。作者はそこまで凄惨なことを言うつもりではないならごめんなさい。

帰り来ぬバブルの日々よ万年青の実  カンナ
〇(アネモネ)バブルの日々なつかしいなぁ!
◯(アゼリア) 生きている間にバブルは無さそうです。あの頃家に鉢植えの万年青がありました。

過ちを赦され木の実落ちる音  楊子
〇(藤三彩)袴田事件の冤罪のことなのか。再審に長い時間がかかり寿命が残り少ない
〇(カンナ)落ちた木の実は胸のつかえが取れたことの比喩でしょうか? 季語を文章に入れ、上手く詠まれたと思います。

巨峰とは名のみ狭庭のぶだうの実  瞳人
〇(藤三彩)同感です。まずは鉢植えからシャインマスカットを始めましたがなかなか難しい。でも種がある。

人知れず熟るゝ柿の実灯る村  あちゃこ
〇(楊子)熟れても誰もとらない柿の実は悲しい。限界集落にともるのは灯ではなく柿の実といところが哀しい。
○(仙翁)人減った村に、柿の実と残る灯り、いいですね。
○(まきえっと)秋の寂しさを感じます。

紫蘇の実のふりかけ香る大原女  藤三彩
○(アダー女)京都は柴漬けでも有名なくらい紫蘇を愛する地域。紫蘇を摘んで頭に載せている大原女から紫蘇のふりかけを連想したのでしょうか。情景がよく分かる句です。

宵闇に不実な君をスルーする  あき子
○(餡子)あらあら・・なにがあったのでしょうか ?仲良くしてください。

真実の零れはじめる十三夜  まきえっと
○(あちゃこ)十三夜の明るさに作者は戸惑っている感じがします。
〇(あき子)何かが起こりそうな、緊迫の十三夜。
○(餡子)十三夜は、十五夜と違って、この句の雰囲気がぴったりです。
○(宙虫)この雰囲気が確かにある十三夜。隠しきれないほどの真実を月は抱えている。
◎(めたもん)十三夜の持つ【なにか】を「真実の零れはじめる」が上手く言い当てています。
◯ (アゼリア) いまだに何が真実なのかわからなくなります。

渋柿の実のたわわなる烏啼く  仙翁
○(幹夫)渋柿が渋いのは人間にだけ。それを烏が旨そうに突く。
〇(ちせい)渋柿では鳥でさえ食べないのかもしれません。

栗の実を茹でてはみたが剥けぬ老い  アダー女
〇(藤三彩)一晩栗を水につけて・・・と柔らかくするのだが爪が欠けてしまう。
◎(瞳人)それえーも老い、これも老い、みんな老い、いいではないですか。
〇(めたもん)剥けにくい栗の渋。客観的で少し居直ったような可笑しみのある老いへの向き合い方に共感します。

虫すだく母の茶箪笥に実母散  餡子
◎(卯平)母に「女」を感じた詠み手。虫すだくに詠み手の何処か複雑な気持ちを委ねている。
◯(道人)母と「実母散」の黄金の取合せがいい。中八は多少気になった。

草の実や石橋くぐる手漕ぎ舟  珠子
〇(仙翁)観光地でしょうが、昔の風情がありますね。

井戸水に晒す橡の実秋深む  アネモネ
〇(藤三彩)栃木に栃の実なく高山で拾うのは早い者勝ち。栃餅の柔らかさがいい感じ
○(アダー女)橡の実(栃の実?同じものかしら?)はあくを抜くのが大変とか。そうしてあの香ばしいとち餅や栃の実煎餅ができるのですね。

琉球の味よ実生の茘枝こそ  春生

ひと年をひたひた老いて実紫  めたもん

○(あちゃこ)ひたひたが何とも言えない。大病の後の感慨かとも思います。老いてではない方が好きですが。
〇(珠子)今まで、「老」の句は作らない&頂かないと公言してきましたが、「ひたひた老いて」にはついつい共感しまして。 
◯(道人)大袈裟な「小さなひたひた」がピッタリ嵌った。
〇(あき子)「ひ」のリフレインに配した実紫が宝石に見えてきます。
◎(アダー女)一年をつつがなく安全に静かに過ごす様子を「ひたひた老いて」と表現。身に沁みます。紫式部の実と合わせて更に絶妙。

再読の真実一路草の花  アゼリア
〇(アネモネ)「草の花」が効いてます。
○(餡子)山本有三ですね。小学生の頃読んだり、映画も見たような気がします。主人公の生き方をやや斜に構えて読んだような。
  
落ちる前木の実は鳥と会話する  ちせい
〇(楊子)熟した木の実には命があるのでしょう。散文的ですがそうかもしれないという納得があります。
○(泉)詩情あふれる俳句だと思います。
○(幹夫)素敵な擬人化だ。
○(吾郎)連れて逃げてよ~ついておいでよ~🎶
〇(あき子)落ちる前にどんな会話をするのか、想像が膨らみます。
○(アダー女)これも凄い句。「私を食べないで!」という木の実に「すまないねえ」と答える小鳥。


テーマ:運動
声嗄らし応援鰯雲まばら  まきえっと

シャトル替え秋思をはらう息をする  宙虫

バインダーで稲を刈り干す二万歩  仙翁

○(泉)「稲を刈り干す」農作業は大変ですね。
(選外)(道人)二万歩に実感がこもっているが、報告の意味が強いのは残念。

やっと来た弁当の時運動会  泉

異国語も訛も交じる運動会  道人

○(幹夫)多文化共生。
○(珠子)「なるほど!」と、素直に胸に入ってくる心地よさ。
〇(カンナ)捻りがあってよいと思います。

運動会扁平足は親譲り  幹夫
〇(瞳人)うちのおやじのは、息子に移らなかった!
○(宙虫)親譲りの句は多いとは思う。偏平足に少し意表をつかれた。

階段も冷まじ魔差す問題か  吾郎
〇(カンナ)面白い回文

核なくせの市民運動天高し  春生
〇(藤三彩)ノーベル賞平和賞に日本原水爆被害者団体協議会。核で脅すおぞましい国をなくせ
〇(カンナ)無駄な言葉なしで十七音でよく詠まれたと思います。
○(餡子)運動のテーマからスポーツではないものに惹かれました。天高いままの地球でありますように。

掛け声高くシニア筋トレ天高し  アゼリア

眼するどく刈田にシャドウボクシング  アネモネ

○(吾郎)…しかし破壊力満点の中七下五。上五はさておき

高跳びの助走のカーブ秋気澄む  珠子
〇(楊子)こんなところによく気が付かれました。しんとした秋の空気感が伝わります。
〇(瞳人)そこまで、そこまで、それでいいです、飛べようが跳べまいが。
○(あちゃこ)ゆったりと走っていく姿が季語とマッチしている感じです。
◎(宙虫)確かにまっすぐ走らないんですね。その昔「背面跳び」と言っていたが、今じゃもう区別しなくても皆「背面跳び」
◎(仙翁)高跳びの助走のカーブ、きれいだなと思っていました。
〇(ちせい)ああ、確かに直線ではありませんね、高跳びの助走は。
◎(まきえっと)助走のカーブへの着眼点がいいですね。季語も合っています。

勝つて又男泣く秋染みにけり  瞳人

盛り上がる大地運動会終る  ちせい

草の根の繋ぐ平和や小鳥来る  あちゃこ

〇(楊子)小さなものや事のの連続のなかに平和があります。
○(餡子)これもスポーツではない運動に納得しました。地球上から子供達の命まで奪ってしまう戦は無くなって欲しい。

竹刀なき竹刀袋や暮の秋  卯平
◎(餡子)テーマ「運動」の捉え方がユニークでが面白い。くたっとした空袋の、疲労感。
〇(ちせい)秋寂しを感じました。

天高しパラパラダンスの講習会  アダー女
○(卯平)10月からはじまった朝ドラの見過ぎか。

飛び跳ねるラジオ第二の月うさぎ  藤三彩

立て看もオルグも遥か鰯雲  餡子

〇(瞳人)全共闘、吾れも汝も、老いたよ、ね
◎(泉)「鰯雲」が有効だと思います。
〇(珠子)あれは半世紀以上も前のコト・・・。 
◎(道人)立て看は残っているが「オルグ」はまさしく「遥か」彼方の思い出。
○(吾郎)あれはもう半世紀以上前のこと──
◎(アネモネ)まさにそんな時代に生きてきました。
◯ (アゼリア) ノンポリの学生でしたが、今となっては懐かしいです。

露の世のバランスボール抱き寄せて  あき子
〇(めたもん)「露の世のバランスボール」という意外感のある意図的にバランスを崩した(?)表現がいいと思います。

老体を反らして反らず秋うらら  めたもん
〇(瞳人)これも老い、あれも老い、今回は老いが多いなあ、静かに受け入れよう

徘徊がよい運動に秋日和  カンナ
○(幹夫)お向かいの家に90歳を超えた白髪のおばちゃんが居る。身体をおよそ30度左に傾けながら、外をいつも歩いている。ただ、その人は家の周りを3コース選びながら、秋日和のみならず悪天候にも歩いている。
○(卯平)こう思うと介護も気が楽か。秋日和がそう思わせる。
○(吾郎)そんなアホな──と笑ってもいられない現実

蟋蟀の太股欲しいスクワット  楊子


雑詠
アダージョに深みゆく秋湖しじま  あちゃこ
○(卯平)何処の湖か。どこか東北地方の湖を彷彿させる。秋の旅の一コマか。
◯(道人)旅情あふれる句。
◯ (アゼリア) アダージョが効いていると思いました。今紅葉がきれいでしょうね。

あんなにも待ちし秋風吹けば憂し  アダー女
〇(アネモネ)言いえて妙です笑

重ね置く案山子午後から雨となる  まきえっと
◎(楊子)使用済みの案山子をこんなに悲しく詠んだ句は初めて見ました。「重ね置く」が悲しみを深くしています。 
◎(幹夫)稲刈りが済んで役目を終えた案山子は、引き抜かれて畦や道ばたに転がされる。そこに雨は降り注ぐ。捨案山子の哀れが詠まれる。
◎(あちゃこ)さり気ない描写から暮らしぶりと思いが伝わります。自然と共に生きてゆく姿。
◎(カンナ)8音と9音で構成された俳句でしょうか? 9音は散文のようです。散文を俳句にする力量に感服しました。
◎(あき子)お役御免の案山子が重ね置かれたのを想像しました。案山子の過ごした時間と午後からの雨がやさしく響きあっている。
○(宙虫)たんぼの一年の締めくくりの雨の景がなつかしい。

コスモスの底咲き畝咲き鳥は逃げ  ちせい

サッカーや怒涛のゴールに秋高し  泉

◎(ちせい)テレビ観戦か、実際に見に行ったか、何れにしろ迫真が伝わって来ました。

秋寂し安売りの小さい卵  カンナ

はじまりの白おしまいの白蛇穴に  宙虫

〇(楊子)説明のいらぬ白です。生と死のときに使われる脱脂綿。季語は他にもありそうです。
〇(珠子)何度読んでも「白」のイメージが確定しませんが、何度読んでも惹かれるのです。これはいただくしかありません。季語が惑わせます。
〇(カンナ)白蛇が穴に入るところを詠まれたのでしょうか? 面白い句。 
〇(めたもん)「はじまりの白おしまいの白」蛇がゆっくり穴に入っていく感じが出ています。ひらがな表記も配慮が行き届いていると思います。
○(まきえっと)生まれた時も死ぬときも「白」ということでしょうか?いや、何かの始まりと終わりかな?

観音や旅の予定に無き秋思  餡子
〇(あき子)旅先で思わぬ秋思に囚われた戸惑い。それも旅の思い出かもしれません。
(選外)(道人)秋思は予定されるものではないが、旅のルートの下調べが甘かったのかも。

気まぐれな三十一文字や十三夜  道人

高音の波長短し鉦叩き  めたもん

採石の山の片隅残る虫  春生

手間暇を惜しまず栗の渋皮煮  楊子

〇(アネモネ)渋皮煮食べたくなりました。
秋の雨須らく流れるように  仙翁
◎(吾郎)時に激しく時に寂しく。五五七のリズムの妙

初秋刀魚名ばかり売って隠し塩  瞳人
○(あちゃこ)なるほどなるほど。二度ばかり買って食べましたが、名ばかりに同感です。諧謔味がある。

水ぎはは舟を浮かべて松手入  アネモネ
◎(藤三彩)六義園とか清澄庭園などの池のある大きなお庭に植木職人さんが入る舟。風情があるけれど後継者が少ない落ちないで
○(泉)なるほど、納得です。

船頭のアルミ弁当鳥渡る  珠子
○(幹夫)新旧(アルミ・船頭)の混在が佳い。季語「鳥渡る」にも共感。
○(卯平)柳川の川下りの船頭を先ずは思い出す。梅干しは入っていないだろう。経験豊かな船頭さん。鳥渡るが良い。
○(宙虫)少々昭和を意識しすぎだが、川下りなどの観光舟の船頭の姿がいい。
〇(仙翁)アルミの弁当箱、働く人のいい景色ですね。
◯(アゼリア) ぎっしり詰まったご飯に梅干し、卵焼きなどなど美味しそうです。
○(まきえっと)今どきはアルミ弁当ではないかと思いますが、捉え方がいいですね。

秋日射しわかめの入るラーメン屋  藤三彩

朝寒し塾へ見送る日曜日  あき子

〇(ちせい)受験のためには日曜日もないのかもしれません。

鉄骨の狭間狭間や月天心  卯平
○(アダー女)工事現場の鉄骨の狭間狭間から中秋の名月が見える。上手いなあ!と感心しました。
◎ (アゼリア) 景がよく見えます。

唐黍を焼いて風待つ的屋かな  幹夫
〇(仙翁)風が吹けば、美味しい香りが客を呼ぶ。

目先あの秘密睦み日の秋雨  吾郎
〇(めたもん)「秘密睦み日」の意味深な回文を真ん中に置く、完成度の高い回文の句だと思います。

麒麟のパリコレモデルめきて秋  アゼリア
◎(珠子)びっくりしましたが、なるほど。パリコレモデルに納得&納得。首の長さと脚の長さ・あの柄、そして顔の品格、申し分なし。秋だからこそ。春では締まりません。
〇(あき子)首をすっとのばした姿が「めきて」いますね。
○(まきえっと)発想が素敵です。


☆☆次回をお楽しみ。



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2024-10-24 11:18:07
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島はやっと秋らしくなって来ました。しかし、まだ半袖でも良いので、今年の夏の暑さが残っているのでしょう。さて、いよいよワールドシリーズが始まります。大谷選手がリングを手に入れるか?
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