こんばんは。
お待たせいたしました。
冷蔵庫の中にいるような寒さです。
今年もインフルエンザが大流行です。
手洗い、うがいを忘れずに。
兼題:深
釣糸を垂れて目深に冬帽子 泉
○(瑠璃)冬の釣りは寒そうですね。つい帽子を目深に被りたくなる気持ち分かるような気がします。
○(アネモネ)所在無さが手に取るようにわかります。
〇(春生)冬の釣人の雰囲気が出ています。
○(敏)いつ来るか知れぬ魚信を待って、冬の川面にじっと対峙している釣り人の姿が鮮明です。
◎(幹夫)景が佳く詠まれており共感の句です。
○(ちせい)季語は「冬帽子」。太公望を思い浮かべましたがこの句の雰囲気も良い。
(選外)(道人)太公望ですね。「目深」が良い塩梅。
駆け足と深山今闇年明けか 吾郎
床の間に馴染む贋作雪深々 珠子
○(瑠璃)どこの家にもありがちな掛け軸です。しかも贋作らしい。リアリティを感じます。
◎(泉)贋作か本物かは、なかなか分りません。馴染めば、それで良いと思います。
○(アネモネ)そうそう。いかにも安物の掛軸。それでもありがたく。
◎(敏)わが家の床の間にも、恐らく偽物の軸が懸かっていますが、雪降る夜などに心静かに眺めていますと、真贋を通り越して、その描かれた世界に惹き入れられるものです。
(選外)(道人)最近では、クロン技術の進歩で、贋作そのものが芸術の域に近づいているとか?
水涸れるほっと口開く深井跡 敏
〇 (多実生) 私の少年の頃は近所の釣瓶井戸、また使っていない涸れ井戸等あり恐々覗いていた記憶が甦りました。
初恵比寿深川めしをかつ込んで アネモネ
○(瑠璃)初詣の帰りについ深川めしを食べたのでしょうか?深川めし美味しいですよね。温まりそうです。
○(幹夫)所謂浅蜊飯、商売繁盛初恵比寿!
◎(アゼリア)汁のしみたご飯が美味しそうです。ご商売繁盛しそうです。
○(まきえっと)よぉ~、江戸っ子。
◯(あちゃこ)江戸っ子だねーっ。
深雪晴感情線の怒り這ふ 幹夫
◯(道人)何があったのか分かりませんが、見事な深雪晴に、怒りも行き場を失ってしまうことでしょう。
〇(珠子)正月早々暗くおぞましいニュースばかりで感情線も乱れます。つい自分の感情線の乱れを確認してしまいました。
着ぶくれて群れをはぐれし深海魚 ルカ
〇(仙翁)情景も想像しにくいが、何となく面白い。
○(ちせい)季語は「着ぶくれ」。深海魚はインパクトがあります。
薄雪の棚田鋤く人渓深し 仙翁
○(泉)一幅の水墨画を見ている様です。
◯(アゼリア)どんな天候でも、どんな所でも人は、働くのですね。
(選外)(道人)深山幽谷にも棚田あり。守っていきたいですね。
深々と礼に始まる初将棋 多実生
○(吾郎)初将棋さて楽しみは藤井羽生
〇(餡子)棋士の礼儀の好さには、気持ちが洗われます。藤井君も中学生とは思えない受け応え・・・。でもストレスたまっているんだろうな。
◯(ルカ)藤井聡太四段の、初々しい一礼が浮かびました。
○(まきえっと)清々しい。
◯(あちゃこ)いつもながら礼の美しさに感動します。
初日受く笑顔の皺の深きかな 春生
〇(宙虫)笑顔に皺が深くなったことに気付くのが、初日の出。またひとつ自分が年齢を重ねた証。
◎ (多実生) 初日受ける笑顔の皺。皺の数だけ知恵の数、めでたしめでたしです。
牡蠣フライ深度は雨で浅くなり ちせい
淋しらや深爪疼く霜の夜 餡子
笹子鳴く業深き人浅き人 道人
白鳥を癒す水深二メートル あちゃこ
○(瑠璃)公園によく散歩に行きます。白鳥も鴨も鴉もいて、見ていて飽きません。
白鳥の気持ち…確かに白鳥も癒されているのですね。"
カーテンを開けて見る猫雪深し 瑠璃
◎(仙翁)そんな猫はいそうですね。外が寒そう。
病みてより父の目深の冬帽子 アゼリア
〇(瞳人)志村喬の「生きる」を見ました
○(アネモネ)「病みてより」がいかにもだと思いました。
◯(ルカ)闘病されてからのお父様の深い瞳の色が、隠された冬帽子から想像されます。
〇(宙虫)目深が父の病をいろいろ想像させる。
○(まきえっと)父親ってすごいなぁ。
〇(珠子)一か月間の入院を余儀なくされて痛感したのは、これが10年先そのもっと先でなくてよかったということ。やつれを帽子に隠す気持ちには心が痛みます。
蠟梅や生れ変われば深海 宙虫
〇(仙翁)こんな景色の観覧車、ありそうですね、。
春暁の夢いま暫し深夜便 瞳人
女正月猫のまるまる椅子深し まきえっと
〇(春生)「椅子深し」がきぎ「女正月」と響き合っています。
◯(ルカ)女正月にふさわしい景。
(選外)(道人)のんびりとした女正月。「まるまる」が効いています。
(選外)(ちせい)季語は「女正月」。いいと思いましたが、猫と女が付きすぎかと。
テーマ:乗り物
カスバとは凍つる夜ついはとバスか 吾郎
○(泉)「カスバ」と「はとバス」の組み合わせがユニークです。これは回文ですね。
〇(餡子)麦の元会長故田沼文雄さんの愛唱歌は「カスバの女」でした。
◎(宙虫)はとバスの夜のツアーにありそうな・・・・。ここは地の果てアルジェリア♪古すぎるか?東京のどこかにありそうな「カスバ」という名の店。"
○(まきえっと)「カスバ」という言葉に憧れを感じます。
珈琲がぬるいつぎつぎボブスレー 宙虫
ゴンドラの静かに登る初御空 春生
日脚伸ぶ等間隔で来るリフト まきえっと
○(ルカ)リフトを待つ間、長くなってきた影を、しばし眺めている作者の視線を感じました。
○(敏)一日一日伸びてゆく日脚と、「等間隔」にやってくるリフトとの対応が充分に納得できます。
初漕のエイト一心空すべる 瞳人
◯(あちゃこ)水面に映る空。滑りゆくさわやかな一句。
蠟梅に見え隠れする観覧車 道人
◯(アゼリア)観覧車から蝋梅が見えると詠んでしまいそうですが、蝋梅に見え隠れする?上手と思いました。
○(ちせい)季語は「蠟梅」。観覧車が上手く座5に来たと思いました。
騎初のまだ黎明の厩舎かな 幹夫
〇 (多実生) 競走馬の調教は早朝です。優勝馬しか見えませんが、日頃の蔭の苦労は大変なものです。
◯(アゼリア)清々しい朝の寒気が伝わってきます。
言い出せぬ二人の冬の観覧車 ルカ
〇(瞳人)なつかしや、初デート? わたくしの場合です。
○(吾郎)昭和の東宝青春映画のワンシーン。後ろにはゴジラが(笑)
〇(春生)なんとなく、もどかしい。
〇(餡子)お互いに告白を待っている観覧車の中。え!そうではなくて別れ話!!こりゃ大変。
〇 (多実生) 若い二人だけの密室、告白のチャンス到来です。
◯(あちゃこ)冬の語源は震えるとの説もあるとか。甘い恋の歌というよりも?ミステリアスな一句。
御降りの雪に遊具のこだま号 アネモネ
○(吾郎)こだま号は是非初代のもので。
子等の曳くリヤカーとんどの藁を載せ 仙翁
○(泉)子供たちが手伝う「とんど」。伝統は受け継がれます。
〇(春生)子どもたちにとっては楽しい行事ですね。
〇(餡子)今でもこんな景が見られるなんて、素晴らしい故里ですね。
○(幹夫)景が目に浮かんでくる。下句は、リズム的には助詞を1つ削って「藁載せて」が佳い。
◯(道人)リヤカーが秀逸。
自転車は通信中の日脚伸ぶ ちせい
(選外)(幹夫)運転中のスマホ操作は危ないですね。
舟浮かべ水面眩しき初景色 瑠璃
○(敏)正月三が日の魚釣りは御法度? ですから、舟遊びの一景だと思いますが、水面の眩しさに初景色の気分が横溢しています。
○(幹夫)目映い水面の初景色が佳く詠まれています。
初電車降りて人の名思ひ出す アゼリア
◎(瞳人)いいのです、老いに抗うことはやめて、自然体で行きましょう。思い出してから、あれこれ巡らせて一句、それでいいと
〇(仙翁)人の名前が出てこなくなる、ふとした時に思い出す。
深夜バス 最後尾には蜜柑箱 あちゃこ
○(泉)故郷の蜜柑を貰って、自宅へ帰る。故郷は何時でも良いものです。
○(アネモネ)いいとこ見たですねえ。ことばが整理されていたなら特選でした。
○(餡子)社内旅行とか、スキー旅行ではこんな感じでしたね。懐かしい雰囲気を味わいました。
◯(アゼリア)土産は蜜柑、家族の待つ故郷へ帰省でしょうか。
○(まきえっと)スキーバスに乗ってスキーに行っていたころを思い出しました。
(選外)(ちせい)季語は「蜜柑」。結構いいと思いましたが、蜜柑箱がもしかしたらただの空箱かもと空想してしまい取れませんでした。そんな事は無いと思いますが。
初雪を足蹴にメリーゴーラウンド 敏
雪激しパトカーで着く試験場 餡子
○(泉)裏日本の学生たちは、明らかにハンデを負っています。この時期に試験とは?
◎(アネモネ)まさに今年のセンター試験の景。「雪激し」がなかなかです。
竹馬に乗って移動の雪の庭 多実生
○(幹夫)確かに竹馬もテーマ・乗り物の一つですね。北国の景が佳く詠まれています。
冬晴や世界一周船の旅 泉
日脚伸ぶ図書館司書の車椅子 珠子
◎(ルカ)私も目にした事があります。生き生きと仕事をされている中に、色んな事があったであろうこれまで歩んでこられた日々を、思いました。
〇(宙虫)目線のやさしさを感じる。
◎(まきえっと)柔らかい感じがします。
◯(道人)淡々とした句柄で、「日脚伸ぶ」と「車椅子」の取り合せが佳いですね。
◎(ちせい)季語は「日脚伸ぶ」。障碍者雇用促進法などが思い浮かびます。
雑詠
霜を踏む影が帰らぬ数え唄 宙虫
○(吾郎)いったいなにが起きたんだぁ!金田一さん、事件です!
掛大根の影のラインダンスかな 敏
寒月や小兵衛酌む画につひ合はせ 瞳人
ふんわりと頭に被る冬帽子 まきえっと
(選外)(ちせい)季語は「冬帽子」。中7の「頭に被る」が気に成りました。ここは客観描写の方がよかったのではと思いました。
荒るる世の小さき幸せ七草粥 アゼリア
ささくれた言葉さておき女正月 珠子
〇(宙虫)いやなこと忘れる時間が必要。
〇(仙翁)和気あいあいなのか、そうでないのか。
行きゆきて孤心しづもる榾の宿 道人
〇 (多実生) 榾の宿は囲炉裏でしょうか?薪の燃える炎を見ている胸の内と外の静かさが伝わってくる様です。
◯(アゼリア)暖炉か薪ストーブかほかほか心身が癒されそうです。
○(ちせい)季語は「榾」。孤心しずもると言う中7が上手いと思いました。
大寒の冷えた本読む今宵かな 多実生
○(瑠璃)寝る前に本を読む習慣があるのでしょうか?夜もしんしんと冷え本までも冷たい。大寒の冷え切った大気が実感出来ます。
子沢山鍋にどっさりおでんかな 泉
(選外)(ちせい)季語は「おでん」。これも採っても不思議ではない句ですが、「どっさり」がかえって具体性を消しているようで「選外」としました。
大鍋に留守番任せ女正月 ルカ
◎(春生)「大鍋に留守番任せ」上手いですね。見事。
◎(餡子)大鍋は、カレーでしょうか、おでんでしょうか、それとも、ロールキャベツでしょうか。兎に角女正月は女性がゆっくりと休む日。外で、ランチをしたり観劇をしたり、家のことを考えずに出かけましょう。年がら年中女正月の人もいますけどね。
◯(あちゃこ)如何にもありそう!
字の名の消えるふる里遠雪嶺 餡子
○(吾郎)嗚呼望郷限界集落
○(敏)かつては小字が多く消えていったことがありましたが、近頃では故里ばかりでなく「字」そのものまでが次々と味気ない名前に変えられていくようで、寂しい限りです。
◯(道人)「字」の句には弱いです。
雪に病み雪に抱かれ眠る谷 あちゃこ
◎(珠子)日本ほどの豪雪は世界にも例がないということです。世の中がどんなに便利になっても豪雪は避けようがありません。谷全体が雪という自然現象と共存してゆきます。
川挟み虹を作るや出初式 仙翁
〇(瞳人)大きく構えた一句、いいですね
◯(ルカ)眼前に放水が生み出す虹が、鮮やかに見えてきます。
〇 (多実生) 最後のイベントは放水。放水は霧ですから好天なら見る角度により虹が現れます。
うたた寝に聴いて出初めの木遣り歌 アネモネ
◎(瑠璃)うたた寝から目覚め遠くから聴こえてくる木遣り歌。今年も頑張ろうと長閑に思える幸せを感じます。
◯(道人)私には見えない景ですが、十七音全体が昭和以前の日本の原景を紡ぎ出しているように思います。
大寒の海岸線を歩く犬 瑠璃
◎(吾郎)トボトボか、凛とした姿か、どちらにしても景が大きい。大寒絶妙!
○(幹夫)「犬はよろこび庭駆け回る、猫は炬燵でまるくなる♪」どおり寒さに強いのは犬か?愛犬ちわわは全く寒がりです。「大」と「犬」の漢字対比・・・景が佳く詠まれています。
○(ちせい)季語は「大寒」。海岸線の犬が具体的に感じられました。
冬晴や迎賓館てふ名の喫茶店 ちせい
白息の大きな人とすれ違ふ 春生
〇(宙虫)冷たい朝の発見。躍動感も感じる。
〇(珠子)走っている青年なのでしょうか。寒さとそれにめげないパワーが伝わってきます。
風の夜の厠は遠し雪女郎 幹夫
〇(瞳人)小さいころのトラウマ、いまも厠はこわいこわい
○(アネモネ)もうすでに雪が積もっているんでしょうね。月が出ていて風が出て。まさに子どもの頃の景です。
〇(春生)雰囲気が出ています。おお!こわ!
○(敏)最近では、外厠のある農家そのものが少なくなっています。そんなところには雪女郎も来にくくなっているのではないでしょうか。そんな思いも「遠し」に籠められている気がします。
〇(仙翁)雪女のかわや、どこでも良さそうだが、面白い。
〇(珠子)寒くて暗くて。お化けも雪女郎も梟もこわかった頃がありました。
燗映えよ辛め滑らか酔え挽歌 吾郎
◎(道人)悲しみの極限を俳諧味たっぷりに詠い上げて味わい深い。声に出して吟じると独特の響きあり。
◎(あちゃこ)辛口の燗酒と挽歌の取り合わせが絶妙です。
〇(珠子)葬送の歌と熱燗。生あるものたちよ・健康に感謝して呑もうではないかとかなんとか?
それにしても、寒い日々が続きます。広島は毎日のように
雪が降りますが、幸いなことに、積もることはありません。雪国の人たちの苦労を思えば、不平や不満を言うべきではないのでしょう。