2019年9月30日一般質問 県消防防災ヘリコプターの運航体制について
[中川(博)議員質問]
県消防防災ヘリコプターの運航体制についてお伺いいたします。
平成29年3月5日に起きた防災ヘリ墜落事故から、来年3月で、丸3年となります。先般、当時の機長をヘリ運航に必要な航空身体検査証明書を申請する際に、指定医師に病歴や薬の服用歴がないと偽りの申告をし、証明書の交付を受けて、航空業務に従事した疑いで捜査本部が書類送検をしていた件について、長野地検は容疑者死亡で不起訴処分といたしました。今後も、業務上過失致死傷での書類送検も行われるとマスコミが報道しています。改めて、事故で犠牲になられた全員の皆様に哀悼の意を表し、ご家族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。
私は、かつて松本市役所に勤めていましたが、広域化されるまでは、松本消防署の職員の皆様とは、同期の研修を受ける仲間でありました。この仲間の中には、県の消防防災航空隊に派遣され、消防隊長を務めてきた方もいらっしゃいます。私としても、なぜ事故が起きたのか、事故の原因は何なのか、心が締め付けられる思いを持ちます。ご家族の皆さんはもちろんのこと、知事をはじめ、危機管理部の皆さんも、消防関係の皆さんも、同様の思いをお持ちであろうと思います。昨年10月30日に、運輸安全委員会から航空事故調査報告書が出され、「国土交通省航空局は、航空機乗組員に対して、航空身体検査証明の申請に際しては自己申告を正しく行うこと、及び航空身体検査証明の有効期間中であっても身体検査準備への適合性が疑われる身体状態となったときには航空業務を中止して指定航空身体検査医等の指示を受けることについて、指導徹底する必要がある」と国土交通大臣に意見を述べていますが、事故の原因を特定するまでには至りませんでした。
また、総務省消防庁は、この9月24日、消防防災ヘリの順守義務を課した初の安全基準を運航自治体に通知し、ダブルパイロット制の導入、運行責任者の配置、新たに導入する機体にはフライトレコーダーの搭載を義務付けました。県は、「消防防災航空体制のあり方検討会」での検討を受け、安全運航管理幹の配置、航空指導幹の配置を行うなど、消防防災航空体制の再構築を行ってきています。こうした事故後の安全対策に万全を尽くされていることは、当然にも理解するところですが、こうした対策を事故前に、なぜ、取ることができなかったのだろうかと、悔やまれてなりません。
そこで、確認の意味でお聞きをいたしますが、ダブルパイロット制など、安全運航に向けては、事故前も隊員から意見が出ていたと思いますが、当時どのような検討がなされていたのか、危機管理部長に伺います。
また、事故当時のパイロットの書類送検、不起訴という事実を受けて、県としての責任について、どのように考えているのか、知事に伺います。
[竹内危機管理部長答弁]
ダブルパイロット制など安全運航の事故前の検討状況についてのご質問でございます。事故前、本県の消防防災航空隊は、操縦士が1人の状況であり、平成27年に採用した2人の操縦士候補者の養成が優先課題となっておりました。
現在は、操縦士2名体制に対応しうる安全対策を講じてきているほか、今後はさらに、操縦士及び整備士の確保を進め、運航体制の充実に努め、何よりも安全を最優先に空から県民の安心安全を守っていきたいと考えております。
[阿部知事答弁]
消防防災ヘリコプターの事故で犠牲になった航空隊員の皆さんに改めて、謹んで哀悼の意を表します。
航空身体検査証明の取得に関しまして、元県職員が航空法違反の容疑で書類送検されたことについて、県として大変重く受け止めているところでございます。事故については現在も警察の捜査が続いていることから、引き続き捜査に全面的に協力してまいりたいと考えております。
県では、このような事故を二度と起こさないという固い決意のもと、様々な対策を講じてまいりましたし、これからも講じてまいりたいと考えております。最新の安全装備を搭載した新機体が来年10月に導入予定となっております。また、先日は、運航体制を充実するため、操縦士・整備士の採用のための選考考査を実施しているところでございます。今後とも、こうした取組を通じまして、関係者が一丸となってリスクの最小化に取り組み、安全対策に万全を期していくことで、県としての責任を果たしていきたいと考えています。
[中川(博)議員再質問]
事故前に、ダブルパイロット制などの安全運航に関わる現場の意見というものはあったのでしょうか、もう一度伺います。
[竹内部長答弁]
事故当時、ダブルパイロット制など安全運航に関して、隊員からの意見があったかという質問でございますが、そういう意見があったかどうか詳細は承知しておりません。
[中川(博)議員]
ぜひ、その点について、検証をしてください。お願いします。事故前に現場から出ていた意見が、組織的に議論が行われていなかったということ、その原因が何なのかということも問い詰められなければならないと思いますし、そこには県当局の責任がないのかという疑問も当然生まれてきます。ぜひ、今後も安全な運航体制を作るためにも、ご検討をよろしくお願い申し上げて質問を終わります。