憲法を振り返る
社会民主党 中川博司
党派を超えた私たちの闘いはいつから始まったのでしょうか。
振り返れば、今からちょうど10年前の2014年、第2次安倍内閣が「存立危機事態においては集団的自衛権の行使は可能である」という閣議決定をしてからです。
この10年の間に、安保法制の違憲訴訟を闘い、政治の場では市民と野党の共闘を進めてきました。
信州安保法制違憲訴訟は不当にも最高裁で4月25日「上告棄却、不受理決定」がされました。原告団は「司法による立法府・行政府へのチェック機能が十分果たさない状尿にあるという残念な現実を見据えながら、しかし諦めることなく、今後、市民として、立憲主義を守るためにどのような行動が必要であるか、一人ひとり考えていく必要がある。私たちは、本最高裁の不当決定に対し強く抗議すると共に、日本が二度と戦争の惨禍に見舞われないよう、立憲主義を守り、憲法の理念である平和主義を擁護するため、これからも粘り強く戦い続けることをここに表明する」と声明を発表しました。
全国で25の裁判が提起された安保法制違憲訴訟は、これまで全戦全敗となっていることに対して、かつて信州大学にいて現在学習院大学にいる青井美帆教授は次のように話されている文章を見つけました。
「明確に合憲という判決がなかったことは大きな意味を持つ」、「(安保法制に)正当性を付与させないできているというのは、実は大きな意味を持っている。まさに、これが民主的政治過程で再び議論させる手がかりを提供している。政治は“憲法問題は済んだこと”と説明するでしょうが、そうではない重要な事実をあぶりだしている」と述べています。つまり、私たちは負けていないということです。このことは確認しておく必要があると思います。
もう一つ、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ侵攻が、どんなに私たちが声をあげても止まらない、戦争が続いていることに強い無力感を感じます。いったい、どうしたらこの戦争は終わるのだろうかと。日本にいて声をあげるだけでは止められないと無力感を感じます。
日本国憲法は、平和の問題を人権の問題として位置付けています。少なくとも日本は殺す側、叩く側に回ってはいけない、人が殺されてはいけない、その意味では私たちにできることはあります。岸田政権の下で進められている、殺傷兵器の輸出に反対すること、戦時体制に向けた地方自治法の改正に反対すること、食料困難事態法に反対し食料の自給率をあげる食料・農業・農村基本法に改正させること、経済安保への目を光らせること、そして南西諸島のミサイル基地化による人権侵害に反対すること、原発が被ばく労働を前提にしているという人権侵害のうえに存在しているがゆえに許してはならないことなどなど。そして自民党政治を終わらせること、これは私たちにできることです。
今日、5月3日を契機に憲法を振り返って、あらためて運動を通じて憲法を自分たちのものにしていくことを考えていきましょう!