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ソウル市行政視察 「非正規雇用の雇用改善事例」

2016-02-29 15:20:20 | ソウル市行政視察
「労働の常識を取り戻す」ソウル特別市の非正規雇用の改善事例

1、ソウルにはどれほどの非正規職があるのか?
  ソウル市の労働者100人の中32人が非正規雇用
  ソウル市の雇用状況 正規雇用 276万3千人(68.4%) 非正規雇用 127万7千人(31.6%)
  全国の雇用状況   正規雇用 1304万1千人(67.5%) 非正規雇用6727万1千人(32.5%)

2、非正規雇用、どのような差別があったのか
  ・非正規雇用の56.9%が勤続期間が1年未満、非正規社員の非自発的転職率が71.2%
  ・非正規社員の賃金は、正社員の半分(63.8%)
  ・非正規職の賞与金の給付39.0%<正規職85.0%、退職金の給付非正規職36.5%<正規職71.6%
  ・国民年金の加入率非正規職36.9%<正規職82.0%、健康保険の加入率非正規職43.8%<正規職84.8%

3、そこで、ソウル市が進めています。
  非正規職約7300人の正規職化
  ・直接雇用の非正規職1369人
  ・間接雇用の非正規職5927人
   ※2016年1月現在

4、直接雇用の非正規職1369人を正規職に切り替えました。
  ・2012年5月1日1133人
  ・2013年1月1日 236人

5、主な内容
  1)2年以上継続した通年業務に携わる非正規職を対象
  2)法律・制度の関係で転換されなかった非正規職に対する処遇改善(非正規職への差別を解消)
  3)今後、新規採用の際にも常時・持続的な業務においては正規職として採用(正規職雇用の原則)

6、正規雇用のへの転換で何が変わるのか?
  1)雇用の質の改善のために号俸制を導入
    ソウル市本庁・事業所の平均年1500万ウォンを年1860万ウォン+福祉ポイント、退職金、健康診断料・・・
    ・1~33号俸制の導入:長く勤めた人を優待
    ・賃金体系の改善:「勤続加算金」を基本給に算入
    ・従来の公務労働者は従来の支給総額に当たる号俸に編入
    ・新規の公務労働者は初任の号俸を適用(前の経歴も認める)
    投資・出捐機関
    ・賃金体系がそれぞれ異なるため、機関別に進める
    ・期間内の無期契約職は同一処遇原則、転換の際に賃金の引き上げなどで格差を解消
2)転換対象から外された者の処遇も改善
    ソウル市本庁・事業所
    ・支給内容 1人当たり年2400千ウォン=福祉ポイント1300千ウォン+正月などの休暇手当1100千ウォン
    ・支給方法 月20万ウォン(「処遇改善手当」毎月均等に支給)
    投資・出捐機関
    ・支給内容 1人当たり年1320千ウォン=賃金は従来の無期契約職と同じ水準、無期契約職が存在しない場合は新たに支給
    ・支給方法 月11万ウォン程度を機関内の無期契約職と同じ方式で支給
  3)管理制度の改善
    ・名称の変更:常用職・常勤人力→「高無職(員)}
           単純労務員→「施設管理員」、定数→「定員」
    ・教育の拡大:高無職を対象とした教育課程を新設、基礎的な素養、職務に関する知識、力量を強化
    ・定年の延長:58才→60才(公務員と同じ)
    ・公務職の管理に関する規定を制定

7、間接雇用の非正規職5927人をソウル市が直接雇用・正規職に切り替えます。
  1)現状 清掃4255人(71.8%)、施設の管理752人(12.7%)、警備497人(8.4%)、その他駐車の管理、案内など423人(7.1%)
    ・間接雇用の非正規職とは、清掃、警備、施設の管理なでの単純労働について公共庁舎や施設管理に携わるが、民間の業務委託会社に属する非正規職
    ・なぜ雇用改善対策が必要か?雇用主と使用者が一致しないことからくる雇用の不安や、民間業務委託会社に利潤が分けられるため低い賃金となっている。
  2)ロードマップ
    ・1次 清掃2013-2014 正規職化2015
    ・2次 施設・警備 直接雇用2014-2015 正規職化2016
    ・3次 その他(駐車管理、運転など) 直接雇用2015-2016 正規職化2017
    間接雇用→市の直接雇用(準公務職)→正規職化(公務職)
    業者との契約が終わる時点で、まず市レベルで直接雇用をし、その後正規職に転換(本庁事業所30か所、投資出捐機関18か所)
  3)処遇の改善「職務給」の導入→賃金引上げ、定年保証
    ・清掃業務=同一労働同一賃金の実現=中小製造業者の平均賃金の100%水準に基本給を設定、平均131万ウォン→153万ウォン、16%賃金引き上げ効果
    ・施設の警備/その他の業務=成果給的な年俸制(機関別賃金に差がある)、機関ごとに業務内容が異なるため同一賃金銀の設定が難しい、従来の業者の利潤を労働者に還元、施設7.2%、警備7.4%賃金引上げ
    ・定年設定→雇用安定を保証(基本定年は法の規定により60歳、高齢者に適した業務の場合は65歳まで(高齢者に適した業務:清掃(在職平均年齢58歳)、警備(51歳)、駐車(51歳)、運転(61歳)、業務別に正規職化の時点までは年齢に関わらず勤務できるように猶予期間(最大2年)
  4)予算:外注のコストを削減(利潤、一般管理費、付加税など)→短期的に追加予算なしに賃金引上げ、処遇の改善が可能
    ・人件費 外注657億円→直接雇用765億ウォン(+108億円)
    ・経 費 外注415億円→直接雇用254億ウォン(-161億円)
    *長期的には人件費、福利厚生費の増加などコスト上昇の可能性がある
  5)推進状況
    ・清掃業務は正規職化が完了/施設警備およびその他の業務は推進中2016年1月現在4122人正規化完了
    ・清掃4122人(2013-2014年直接雇用、2015年正規職化)
    ・施設警備15522人(2014-2015年直接雇用、2016年正規職化)
    ・その他駐車案内運転423人2015-2016年直接雇用、2017年正規職化

非正規雇用の問題は単なる「労働の問題」ではありません。共生社会と持続可能な未来のためにも必ず解決しなければならない重要課題です。
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