12月2日種苗法改正案は参議院で可決された。衆議院では全会一致で10項目の付帯決議がついている。参議院の農林水産員会でも種苗法改正案について、①立法根拠がないこと、②登録品種の割合について農林水産省が数字を当初説明の 17%から 31%に変更したこと、③登録品種で自家増殖している農家の数については調査していないことなどが明らかになった。長野県農業の安定的な発展に向けて、種苗法改正を踏まえて質問をする。
【中川】 少なくとも長野県の登録品種については、種苗代や許諾料及び手続きが農家の負担増にならないようにすべき。
【農業技術課長】種苗法改正により育成者権者の判断が求められる部分については、今後、県農業振興への影響等を鑑みながら慎重に検討してまいります。特に本県が育成者権を有する登録品種(出願中含む)の許諾料については、農業者の負担及び本県知的財産の保護と活用の両面から、今後方針を決定し適切に対応してまいります。
【中川】長野県内で栽培されているすべての登録品種と許諾料の一覧表をつくり周知するべき。
【農業技術課長】民間企業や個人育種家の育成品種など県下で栽培されている全ての登録品種について、契約要件に係る許諾料を把握することは困難ですが、県が育成した登録品種については許諾料等の情報を含めて今後決定し、県民の皆様に向け、正確な情報提供に努めてまいります。
【中川】自家増殖を常としている、リンゴの高接ぎなどについて、種苗法の改正の内容について周知すること。高接ぎの許諾料についてはどのように把握し、どのように徴収することになるのか。
【農業技術課長】高接ぎの許諾料及び徴収方法については、農林水産省の考え方など情報収集を進める中で慎重に検討してまいります。
【中川】「許諾の簡素化のため JAなどの団体が一括手続きができ、農水省は契約書のひな型を示す」とあるが、「 JAなどの団体が種苗販売した場合、農家での自家増殖の確認作業をしろ」ということか?その場合許諾料の徴収は JAなどの団体が行うのか?その農家への確認のためのコストは国が見てくれるのか?
【農業技術課長】現在までに、農水省からは、許諾に係る手続き方法等について、明示されておりません。今後、明示される手続き方法等を県として検討し、生産現場に混乱を生じさせないよう、適切に判断し対応してまいります。
【中川】個人や JAなどの登録品種の海外での登録について支援を行うべき。
【農業技術課長】農水省では、H28年度より「植物品種等海外流出防止総合対策事業」において、海外における育成者権の取得に向け、出願申請や出願費用等を支援しており、この事業を活用していくことを基本とします。また、県としても、育成者権者から海外出願に係る相談等があれば情報の提供等必要な支援をしてまいります。
【中川】主要穀物の種子については、安定供給を確保するため、「長野県種子条例」に基づき、品種の開発、種子の生産、供給体制について、引き続き責任をもつこと。
【農業技術課長】種子条例では、主要農産物等の種子の生産に関する総合的かつ計画的な施策の策定実施など県の責務を明確にするとともに、種子管理団体である原種センターや種子生産者・関係団体の役割を明確にしたところです。今後も条例の主旨に沿って種子の安定した生産と供給を進めてまいります。
【中川】 研究費、育成費、供給費など研究機関の経費は維持されているか。主要穀物の種子に関する経費については、引き続き国に交付税措置が行われるよう求めること。
【農業技術課長】品種開発に係る試験研究予算については、県費に加え国の競争的資金等に応募し、研究資金の獲得を目指しておりますが、年々獲得競争が激化し、獲得が厳しくなっている状況です。農林水産省の令和3年度概算要求では、生産基盤強化に向けた新品種等開発強化プロジェクトで25億円が要求されており、これらの活用を検討するとともに、必要があれば研究予算の拡充や充実について国へ要請してまいります。なお、主要農作物については、本年におきましても従前と同様に地方交付税の算定根拠に位置付けられていると聞いております。
【中川】長野県種子条例、これまでに主要穀物をはじめとしたタネは、何がどの程度保存されているのか。「知事の認めるもの」は、これまでどの程度あるのか。在来品種の収集・保全についても、ルールをつくって積極的に保存すべきではないか。
【農業技術課長】種子の保存については、原種センターにおいて奨励品種や認定品種等の全てが保存されています。また、過去に開発した品種も主要穀物については保存をしている状況です。信州の伝統野菜について、「ていざなす」や「前坂大根」等11品種を保存していますが、より多くの種子の種子が保存されるよう産地に種子の提供を呼び掛けているところです。知事が認めるもの」については、現在、各地域にどのようなものがあるかを調査し、9地域振興局で大豆・そば等6品目14品種を確認しています。今後、「知事が認めるもの」についての基準を検討し保存に努めてまいります。
【中川】公的品種の知見を民間事業者に提供する場合の要綱・ガイドラインは整備されているのか。契約書のひな型はあるのか。県民益になるものしか提供しないという部長答弁があるが、であるならば民間事業者に提供する場合は県民の代表である県議会に事前に報告・承認する必要がある。また、外国に知見が流出しないようにする内容も含めるべき。
【農業技術課長】本年度6月県議会一般質問で部長が答弁したとおり、品種等の知見については、県民の貴重な知的財産であることから、今後、提供の依頼があった場合には、県民の利益を第一に、知的財産の保護と活用の両面から慎重に検討し、対応していくという県の方針については変わりありません。これまでに知見の提供についての依頼はありませんが、今後、提供依頼があった場合には、公式な基本方針に沿って慎重に対応してまいります。
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