リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

また弦をめぐる状況

2021年04月05日 15時47分33秒 | 音楽系
バス弦にガムート社のピストイ弦を使っていたことがありましたが、私見ではバス弦としての性能はアキラ社のローデドナイルガット弦(CD)の方が優れていて、高価なピストイ弦をわざわざ選ぶことはありません。ピストイ弦を張った場合の費用について以前計算したことがありましたが、テオルボだと弦が長いので15万くらいかかります。一生ものだ、と言われて大枚をはたく方もいらっしゃるかも知れませんが、そもそも弦は一生ものではありません。

バロック時代にはガット弦を使っていたから、その当時のリュートのサウンドを味わうには全ての弦にガット弦を使わなくてはならないという考えをお持ちの方がいます。

これは確かにその通りですし、そうあるべきです。しかし細かく説明すると長くなりますので簡単に言いますと、ガット弦の現状は「まだ開発途上」です。選び方や運用の仕方次第では必ずしもいい結果が出るとは限りません。かえって悪くなりヘタに聞こえることすら往々にしてあります。このことは当ブログでも何度も指摘しています。

テオルボやバロックリュートの場合、高い演奏・調弦能力、弦の選択眼を持つプロが全ての弦にガット弦を選択するのは別として、アマチュアもそしてもちろんプロであっても現時点で手に入る弦(もちろんガット弦も入ります)を音質、安定性、扱いやすさ、価格などを考慮して組み合わせを考えた方が得策だと思います。