失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「Silvy」 原田知世 1990年

2007-12-14 | 
12.9 シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2007@東京文化会館大ホール

今年は結局これしかバレエ観なかったな。でもその一回がギエムなら、特に文句はない。先日亡くなったベジャールの大パネルを横目に会場に入る。

この日ギエムが踊ったのは3本。

①白鳥の湖 第2幕より
オデット:シルヴィ・ギエム
ジークフリート王子:ニコラ・ル・リッシュ
素人がイメージするバレエといえば、「白鳥の湖」。白鳥たちの群舞の中に飛び出してきた瞬間、オーラが違うギエム。ま、スタイルも明らかに違うけど(白鳥たちは東京バレエ団)。

②優しい嘘
振付:イリ・キリアン
音楽:クラウディオ・モンテヴェルディ、カルロ・ジェズアルド、グレゴリオ聖歌
シルヴィ・ギエム、ニコラ・ルリッシュ
こちらはコンテンポラリー。なんだかすごく短かった。

③Push
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン
シルヴィ・ギエム、ラッセル・マリファント
これもコンテンポラリー。何というか、人間てこんな動きがありうるんだ(我ながら稚拙な感想だな)といつも感心してしまう。軽やかに動いているように見えて、ものすごく体力を消耗するんだろうな。前に観た「ボレロ」ほど分かりやすく劇的な激しさはないけど、「生きる伝説」シルヴィ・ギエムの技をじっくり楽しめるプログラムだったと思う。


今回の8cmは、名前が同じというだけの「Silvy」。(ただしギエムのスペルは「Silvie Guillem」)

原田知世のフォーライフ移籍第1弾シングル。通算では14thシングル。

①Silvy
作詞:安藤芳彦、作曲:山口美央子、編曲:杉山卓夫
アルバム『ティアーズ・オブ・ジョイ』(1990)の一曲目。フレンチ趣味の詞に、アンニュイにしてキャッチーなサビ。チャートアクションはともかく、ちょっとオトナになった知世に合ってると思う。でも、フレンチならやっぱ「Silvie」だよな、バルタンにしても。

②夢迷賦
作詞:透影月奈、作・編曲:崎谷健次郎
透影月奈(すきかげ るな)とは知世本人。ペンネームこそ女子高文芸部ノリが少々恥ずかしいものの、内容はその後の作詞家仕事の片鱗を伺わせる完成度。優雅で和風のメロディを、和楽器を用いたアレンジで。このシングルの2年後、鈴木慶一プロデュースの『GARDEN』(1992)にも崎谷によるリアレンジで収録された。こちらのクレジットは「作詞:原田知世」になってる。蛇足だが、アルバムで⑨「ノア」(作詞:鈴木博文)、⑩「夢の砦」(作詞:直枝政太郎)と政風会が並んでいるのもポイント高い(作曲は両方鈴木慶一)。

この頃は既にアイドルとしての役目は終えており、音楽活動も先行き不透明な時代だったはず。それでも音楽を続けていけたのは、知世の情熱以外に理由はないだろう。2007年にも新作が出るなんて、当時は誰も思ってなかっただろうね。


定価937円、レンタル落ち100円。
このあたりの知世シングルはなかなか見ない。うなじも麗しい23歳の知世。それから17年、40歳を迎えてもたいして変わらない美しさを保っているのが、ある意味恐ろしい。



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