「I DO」 山下達郎 1993年

ブライアン・ウィルソン・ソングブックの中でも認知度では相当下位であろう、渋めの曲をシングルのカップリングでカヴァー。

①MAGIC TOUCH　maxell CD-XL イメージ・ソング
作詞・作曲：山下達郎
たとえば「BLOW」とも共通する、静かな期待感が充満したナンバー。こういうのが達郎の真骨頂だと思うなあ。あたり前のような顔をした名曲。マクセルのカセットテープのCM、懐かしすぎる。ま、絵としてはかなりキモいんだけど。ちなみに5年後のオリジナルアルバム『COZY』(1998)に、わずかにテンポを上げた「MAGIC TOUCH('98 VERSION)」が収録されたが、このシングルヴァージョンはアルバム未収録となっている。MOON時代のシングルベスト『TREASURES』(1995)になぜか収録されなかった。どうしてなんだろ？「ゲットバック…」や「エンドレス…」よりずーっといいのに。

②I DO
作詞：Roger Christian、作曲：Brian Wilson
オリジナルはThe Castells、1964年のシングル。ヒットせず。そんな隠れたブライアン曲を（おそらく）世界初カヴァー。『BIG WAVE』(1984)でブライアン作品4曲をカヴァー、その延長線上の企画と言えそう。1984年と同じく伊藤広規のベース以外は、すべて達郎が演奏している。サビでのファルセットが初期ブライアンチックなロックンロールナンバー。歌詞の内容はほぼ「嫁に来ないか」と同じ、シンプルなプロポーズソングだ。編集盤『RARITIES』(2002)に収録された。

定価900円、中古で100円。
メタルのドットで耳の形を浮き上がらせた、アート系ジャケット。①のタイアップCMで使われていたもの。


下は2001年にリリースされた、THE BEACH BOYS『SURFER GIRL/SHUT DOWN VOLUME 2』。1963年と1964年のオリジナルアルバムを2in1で再発したもの。この盤のボーナストラックとしてビーチ・ボーイズ・ヴァージョンの「I DO」がはじめて発表された。バックトラックはキャステルズのオリジナルと同じものが使われているらしい。チューブラー・ベルの音色が印象的なのだが、音程が怪しいのと、後半リズムが明らかに狂っていくのがたいへん気持ち悪い。ブライアンはこれでよかったのか？いや、このビーチ・ボーイズ・ヴァージョンが当時未発表になったのは絶対コレが理由だろ。きっと達郎も「気持ち悪いから自分が作り直す！」という気持ちでカヴァーしたに違いない。