うたかたの夢暮らし 睡夢山荘にて(Dream life of Siesta hut)

夢から覚めた泡沫のごときだよ、人生は・・
せめて、ごまめの歯ぎしりを聞いとくれ

遺言書

2015-08-10 15:57:45 | ブログ

独居、親族無しの友人が逝った。逝く2週間前に友人と話し、遺言書を書いて貰った。

判断能力喪失時の延命治療や経費の判断、経費の支払い、逝去後の葬祭形式等について話した。

末期を迎え自らの命運を見つめなければならない友人には、辛い作業を強いてしまった。

友人とは云え、他人が本人に代替して事を為すというのは、その根拠が無いと何も出来ない。ましてや、本人が死亡した場合、手も足も出ない状況に陥る事を認識してくれた。

自筆便箋2枚に渡って、自らの思いと、残余資産贈与について全面委任の内容である。

この遺言書が絶大な効力を発揮している。

貯蓄、動産は生前に本人同意、判断に基づき現金化を終えた。

クレジットカードや通販、各種会員契約等をリスト化し、可能なものは本人署名で解約手続きをした。 生前に可能な終い支度である。

そして、逝った。

荼毘葬祭の形式判断、葬祭業者選定手配、死亡届と火葬埋葬許可証取得、友人、親族その他への連絡、遺体の搬送、火葬立ち合い、一連の経費支払などで一段落である。

この後、生前の介護サービスの契約解除、健康保険、年金の解除停止、電気、ガス、水道、ケーブルテレビ、NHK、住居管理費の支払と契約変更。 

全てに、遺言書と相続人の証明を求められるのである。

 

この一連の手続きの際に思ったことが有る。

年金機構、健康保険組合、電気、水道、ケーブルテレビ、NHK、マンション管理会社など等、その受付に際し”お悔やみの言葉” 一言の挨拶も無いのである。 

唯一、東京ガスの受付男性の第一声が、お悔やみの言葉であったのが、例外であった。

電話による受付受託業者の受託マニュアルに、お悔やみの項目が無いのであろう???

人の死や命への敬虔な心情など見向きもされない人情は、現代の世情が稼ぎ業務に淫している結果なのであろう。寂しいことである。

 

もう一つ、年金制度の理不尽について

友人が死亡したのが、7月16日である。次の年金6月分7月分の支給日が8月15日であるので、その支給日には幾ばくかの年金が支給されるものと思っていた。

 これが、支給日に生存していない場合は、まったく支給されないのである。

6月と7月16日までは生存していたから支給すべきではと思うのだが、無しなのである。

ただし、生計を共にしている同居親族からの請求には応じるのだそうである。

友人は8月の支給日を楽しみにしていた。 あの世でさぞ悔しがっているであろう!!

 

ここまでの、遺言書は正式に公認されていない、私的なものでしかない。

遺言書として具体的認知を得て、資産移転や名義変更を可能にするためには、まず裁判所に遺言書の検認手続きが必要である。次回これについて述べる。

 

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成人後見人

2015-08-02 22:31:30 | 日記・エッセイ・コラム

友の死に対し、感傷や友への悼みの思いは語るまい。それは優れて個人的な部分に類するから。

今は、人の死に際し、どの様な事項が発生し、どんな人との関わりが見えてくるのかを冷静に記録してみようと思う。

 

25年間の交遊に及んだ共通の外国籍の友人と共同指名された成人後見人について、調べた。

成人後見人は当人の判断能力喪失時に、当人の資産や身体の保全に関して、当人に変わって責任を負う役割を持つ。 その為に当該人と後見人と公証人の三者で面談、相互の承認の上、公正証書を作成することで、その任が公に認証される。 実際の後見人としての効力は、申告に基づき家庭裁判所が後見開始の決定をすることで効力発生となる。

当人の体力状態や残された時間が少ないこと、後見人としての役割が存命中までであること、共同後見人候補が外国籍であること、後見人認定に際し後見人の資産申告を求められること、公証人役場への出頭、面談、書類作成、それに関する時間と費用、を勘案して、正規な成人後見人手続きは行わないことにした。後見依頼の自筆文書で最低限の責任は果たせるものと考え、同時に遺言書を残すことでこれの代替効力を果たすことが出来るだろうと、当人の了解を得た。

要するに法律上想定されている後見業務とは、有資産者の資産管理でのトラブルを回避することに主要な目的を置いているという事で、一般的には弁護士や司法書士が報酬を得て請け負う業務であるらしい。 友人が希望した、治療方針の決定や医療費支払い、日常生活費等の決済などを当人に変わってもらうこと、せいぜい入院時の保証人程度の役割とは、馴染まないのである。

加えて友人の意向は、没後の葬祭処置や債務、資産処分に及んでおり、後見人の任には当たらないし、これは遺言書でしか対応不可能であるとした。

法定相続人、親族が居る場合は、問題が別である。

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