この機種は出回っている台数が多いのだろう。修理依頼機種の中で圧倒的に多い。なので、ある程度の原因予想は簡単になってきた。周波数変更依頼も多いのだが。
秋田県の方から1台と遠く沖縄県の方から2台の依頼である。
●秋田県の1台
送信機が欠品した状態のユニック製クレーンが入庫されて、送信機のみ準備すれば良いだろうとオークションで落札したものの、動作せず、近くのユニック修理店に相談したら「周波数変更は会社の決まりで出来ないので、送受信機双方交換するしか無く、交換にはおそらく60万円以上必要」との返答で、とてもその金額は出せそうもないというのでネットで検索して相談が有ったものです。
送信周波数:288.700MHz ID:385(1,8.9にダイオード)
受信周波数:295.7875MHz ID:175(1,2,3,4,6,8にダイオード)
ということで、送信用の水晶発振子を受信周波数(295.7875MHz÷6=49.2979MHz)に合わせる為に三田電波㈱に注文。
先日、届いたので交換したが、周波数が低い方になっている。トリマコンデンサで調整してもまだ低いので並列の20PFを削除しトリマを最小にしても、まだ低いのでトリマコンデンサを5PFのものに変更。次に各コイルの同調を取るのだが、調整中に中のコアの溝欠けで回せなくなってしまった。IFTタイプ形状品で外そうとしたがスルーホール基板なので、足が外れてしまった。幸いコイルリードが見えていたので余った部品リードを切断しモールドに差し込み半田付けした。
もう1個同じ状態になってしまったが同じ失敗はしたくないので、基板側からコアの中心目掛けてドリルで穴開けする。この穴から調整ドライバーを入れて回すことが出来た。周波数は合っている。変更前と周波数が約7MHz違うのでメーカーで乗数を変えていると思われる。
送信機のIDを設定しているダイオードの取付を受信機IDに合わせる。
しかし、受信機と対向試験を行うと、受信LEDは点灯するものの、各操作のLEDは点灯しない。IDの間違いかもと送受信共にオープンにするが変わらず。そこで送信機の水晶やトリマに急冷スプレーを掛けると、冷えている間は動作する様になる。そこで、その周辺のはんだ付けを全てやり直してみるが変わらない。
そこで、受信機の局部発振用水晶のトリマコンデンサを調整してやると、動作する点が有り、ここに固定する。
庭に出て、到達距離の確認をしたところ30m以上は届いたので、これで返却する。
後日、依頼者から問題無く動作したとの電話連絡が有り安心した。
●沖縄の1台目
ある日突然動作しなくなったという症状。
届いて、電波をモニターすると搬送波は出るものの変調されていないので受信機を分解して調査する。
操作部配線と基板を接続しているコネクタの着脱で変調音が出る時もあるので、接点復活スプレーを塗布したが効果無し。CPUクロック用2MHz水晶の発振波形を見ると出たり出なかったりするので手持ち品と交換すると動作するようになった。
受信機の電源を入れて確認すると、ちゃんと動作に対応したLEDが点灯しているので問題無さそうなので返却した。
これも後日、依頼者から問題無く動作したとの電話連絡が有り安心した。
●沖縄の2台目
もし治ればと送受信周波数違い品
送信機をモニターすると、周波数は合っており、変調音も聞こえる。
受信機も簡易チェック上では、正常に動作している様だ。
送信周波数:288.0000MHz ID:193
受信周波数:288.0375MHz ID:14
ということで、送信用の水晶発振子を受信周波数(288.0375MHz÷6=48.00625MHz)に合わせる為に三田電波㈱に注文。到着待ちである。
6/18到着したので、送信機に取り付け、IDも変更(2.3.4にダイオード取り付け)。ハンディ受信機で周波数を合わせるが、秋田の1台と同様、送信周波数が低い方にずれている。並列コンデンサの20PFを外すと周波数が合った。次にオールバンド受信機でレベルを見ながらコアを調整する。ところが、これもまた、コアのねじ溝が欠けてしまって、基板裏から穴明けしてコアを外し調整する。
セラミック製は固すぎて良く無い様だ。そういえば現役時代の会社ではベーク棒を加工したオリジナル調整棒を使っていた。受信機を庭に置いて、到達距離を見ながら受信周波数可変のトリマコンを微調整する。30m以上は届く様だ。
注意;修理に関する事故については一切責任を負えないので、その旨は事前に依頼者に了解いただいている。もし、この記事を参考に修理されて発生した事故についても当方一切責任は負えません。専門知識・測定器が必要となりますのでご承知おき下さい。
3/23から開始した早朝ウォーキングだが、毎日では無いが続いている。
勿論、健康の為ではあるが、歩いている1時間は、いろんなアイデアが浮かんでくる。
TVドラマ「ガリレオ」の主人公:湯川助教授(福山雅治)とは比べ物にならないが、思考回路が働き、助教授の様に書き留めたくなる。
私の場合は、簡単な電子工作の組み合わせであるが。
今日の思考は、先日のブログで紹介した「バーグラフ電圧計」を使った「電池チェッカー」である。構造も考える。
家に帰って、早速メモ用紙に書いて見た。
PIC電圧チェッカーのが安価に出来るのだが、プログラム不要で細かい電圧状態が表示出来るところが便利かも知れない。