彼女は突然俺の前に現れた。
まるでポンっと置かれた様に現れた。
少女はニコっと笑って走り出した。
何なんだ?と思いながら後を追った。
なかなか捕まえられない。
もう少しの所でかわされる。
その度にケラケラと笑いながらその可愛い顔を俺に見せる。
それでもやっと追い付いた。
振り向いた彼女は大人に成っていた。
あれ?
俺が追い掛けていたのは少女じゃ無かったのか?
しかしやっと捕まえた彼女は「あたしで良いの?」と聞いて来た。
俺は「勿論。」と答えた。
二人は熱く熱く愛し合った。
この愛はもう終わる事が無いと信じた。
永遠の愛。
いつの間にか彼女は秋色に変わっていた。
夏はいつの間にか老いていた。
「こんな私でも愛してくれるの?」と彼女は言う。
俺は「勿論。」と答えた。
それなのに彼女は秋色に染まって行く。
夏は俺の前から去ってしまった。
さらば夏よ。
波来亭チャンネル