名邑十寸雄の手帖 Note of Namura Tokio

詩人・小説家、名邑十寸雄の推理小噺・怪談ジョーク・演繹推理論・映画評・文学論。「抱腹絶倒」と熱狂的な大反響。

@ 非論理エッセイ 【オソブッコとドイツの地ビール】

2021年06月28日 | 日記
 ハノーファーは、毎年 CeBit 開催中の宿泊予約率300%。民家の小部屋に素泊まりで5万円というアホらしさから、翌日はハ―メルンまで行きホテルを捜すも超満員。アエルッェンの山奥に小さなホテルがあるというので山道を行くと、路に迷ってしまいました。時刻は、既に午後9時過ぎ。外は土砂降りの大雨で舗装もされていない泥路はタイヤが空回りするばかり。危うく谷底に落ちそうになりました。一時間も走ると、とんでもない山奥に洒落たホテルがあり、中にレストランとバーがある。中は意外と広く、しっかりとしたホテルです。

 そこで、オソブッコの料理に添えられた骨肉エキスに出会いました。白子の様な舌触りのラ-ドですが、これは究極病的な美味と云えます。健康に悪い事この上ない。その上、最高級のフォアグラとドイツのチーズが山盛り。肝臓に悪いドイツの地ビ-ルに合います。バケツの様な大ジョッキを五杯呑み乾しました。キャンドルに囲まれた豪奢なバーに移ると、宿泊客ではない地元の人々で満杯。この地では人気の社交場らしい。
「中国人は初めてだ」
「日本人(ヤパー二ッシュ)」
「日本人は英語が下手だが、ドイツ語まで話せるのかい」
「ベートーヴェンの大ファンなんだ」
「カラヤンかい。ドイツ音楽の恥と云われてる」
「ヴィルフェルム・フルトヴェングラ―、オットー・クレンペラー、ブル―ノ・ヴァルター」
「良い発音しているね」
「デートリッシ・フィスカ―・ディースカウ、エリザヴェート・シュヴァルツコッフ。アインシュタインも最高。但し、ヒットラーは嫌いだ」
「名誉ドイツ人に推薦したいね」
「Ich fuhle mich geehrt(光栄です)」

 すっかり仲良くなった館主の親父さんとカードをしながら、ほろ酔い顔の紳士淑女に囲まれ碌に歌詞も知らないドイツ民謡を唄い、メニューにあったシャトー・マルゴーの赤をがぶ呑み。
「ドイツ・ヴァインも美味いよ」
「モーゼル」
「安いやつで良いかい」
 ハノーファーのぼったくり宿賃より高かった。賭け事には大勝ちしましたが、お勘定はその何倍にも膨れ上がり、親しくなった親父は大喜び。ダイナースで良かった。とは云え、五つ星ホテルに比べれば驚くほど良心的な値段です。あれ程愉しい思い出はありません。

 翌日、車でフルトヴェングラ-指揮バイロイト版のベ-ト-ベン第九番が響き出す。心地良い二日酔いが眠気を誘う。第三楽章を聴きながら「今なら死んでも良いかな」と感じる。そんな経験が多々あります。マラッカの海で聴いたラフマニノフ。香港のグレゴリア聖歌。ヴェネツィアのベルリオーズ。パリのボレロ。コペンハーゲンのバッハなどなど。危ない時とは、そういう瞬間ではないでしょうか。しかしながら、最高の瞬間かも知れません。生死の狭間の様に、その境目は曖昧なものです。病みつきになり、その後20年もの間、ハノーファーに行くと必ずこのホテルに泊まったものです。

 延べ26ヶ国を訪問しましたが、一番のお気に入りはオランダのアムステルダムでレンタカーを借り、ドイツ、フランス、オーストリア、スイスからイタリアへ渡り、ミラノ、ベネツィア、フィレンツェを経由してローマから次の国へ向かう方法です。少なくとも十数回の経験があります。米国、中国、マレーシア半島の横断旅行と共に忘れ難い思い出になりました。とは云え、言葉が通じないと簡単ではありません。

 予期せぬ出来事ばかりでなく危険もかなりありますが、思い出になると不思議な感覚です。ほんの一例を挙げてみれば...

 山中で野性のマントヒヒや巨大なイノシシに襲われる。湖に続く登り道で反対車線を突進するTV中継車と正面衝突。ベンツ一台が大破しましたが、回転しながら体当たりでかわしたのです。三たびに渡り飛行機の墜落寸前事故などなど、半端な経験ではありません。これ以上続けると、法螺吹きと誤解される可能性があるのでこの辺で。「血文字の遺言」の危険な場面も、殆ど実話なのです。

 今生きている事自体が、何かの偶然かとも思います。


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@ 非論理エッセイ 【長生きの秘訣】

2021年06月27日 | 日記

① 自殺しない事。過労、無理な生活、持病を正しく解析しない、ウイルスを軽視するなども自殺に含まれます。

② 義理を欠く。

③ 足る事を知る。

④ 勢い使い尽くすべからず。「良い時は悪い、悪い時は善い」という名言通りです。人知れぬ努力を続けると、人間(じんかん)のNo.1になる事があります。頂点に立てば、いずれ虚名が消えるのは必然。どん底にいれば、それ以上落ち様がないので上昇機運が訪れます。それは、事前に予知可能です。

⑤ 福受け尽くすべからず。人間の栄誉は、すべからく虚名と知る事が肝要です。本当の名誉は、因果律の末端に現われます。それは、自分と本当の家族・友人にしか分かりません。

⑥ 一日為さざれば一日食わず。現代人は、空腹を感じなくなりました。価値があると本気で思える仕事をしていないからです。体と脳、五感の全てを使う事です。第六感が冴えて来れば粗末な食事でさえ滋味溢れるものと知る事でしょう。

⑦ 何も希(のぞ)まない。「希求止むところ無事」という名言通りです。

⑧ 名声や栄誉を寄せ付けない。人が集まるのは、虚名と利害の場と知る事でしょう。無心の善人だけに付き合いを絞るのが健全な人生です。そう難しい事ではありません。

⑨ 梅干、抹茶、酢、酵素、善い水を日々摂る事。

 物理的な人間の死に関して「細菌、特に大腸菌が最大の原因」というノーベル賞受賞の微生物学者イリヤ・メチニコフの意見があり、「大腸菌やウイルスにさえ侵されなければ人類の平均寿命(じゅみょう)は130歳」と云い遺しました。何となくうなずける意見です。先ずは、お腹を下さなければ長生き出来る事でしょう。年中腹下しで悩んでいる方々は、朝晩一粒ずつ正露丸を呑めば長生き出来る。…かも知れません。あらゆるウイルスは変異を繰り返し拡大しますので、適正なワクチンや抗生物質が重要です。巷ではコロナ・ウイルスが騒がれておりますが、放射能汚染は無きが如き扱いです。不思議な現象ですが、その理由も概ね察しております。深刻過ぎる現実が背景にあるのでしょう。ちなみに、十倍に薄めた酢は放射能を九割がた体外に流します。

 精神的な観点では、馬鹿になるのが一番大切かとも思います。詰まりは、人の思惑など一切気にならない哲学を持てば良いのです。それが禅思想の効用とも云えるでしょう。真禅の高僧は長生きの方ばかり。禅僧でありながら短命の方がいるとすれば、余程の御事情が無い限り…そのお方は偽ものかも知れません。

 もうひとつ短命となる要因があります。他殺という厄介な原因ですが、こればかりは…何ともなりません。しかしながら、こう云う観点もあります。怨恨から生じる殆どの殺人事件は、加害者ではなく被害者側に殺される因果がある。そういう不毛因果を生み出さぬ様に、日々己の行動を戒めれば良いのです。


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