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読書感想「漂流 日本左翼史」理想なき左派の混迷1972-2022

2022-08-15 23:12:00 | 読書
著者:池上彰 佐藤優
出版:講談社現代新書

いよいよ3部作の最終巻です📖


8月15日の終戦記念日の朝『漂流 日本左翼史」読了しました。
やはり人間には、「大きな物語」が必要だと述べています。
キリスト教が将来「イエスの再臨(=プリンスの歌詞の second coming)」が来て、最後の審判の日(=プリンスの歌詞の judgement day )で信者が救済される終末思想と同じように…

左翼思想でも将来革命が起きて、労働者に富の再分配が行われて平和な社会になるという、同じような「大きな物語」があったのです。

その左翼が戦後70年以上経ち、崩壊する日本のお話です🇯🇵

具体的には
①ソ連の解体で「共産主義が崩壊」
②ロシアの侵略でウクライナの自衛戦争の肯定で、「絶対反戦思想の崩壊」
③ウクライナ戦争で化石燃料が高騰して再び原発が注目されて「反原発運動の崩壊」
と日本の左翼を支えていた3つの柱の崩壊で、左翼運動はとどめを刺されたと述べています。

でも人類にはやはり「大きな物語」が必要と述べて(でもカルト宗教は論外です)、歴史だけでなく思想史としても傑出した本だと思いました❣️

何だか変な文章になってしまいますが …🙇‍♂️
例えばプリンスは化粧やハイヒールを履く事で「古き良き黒人男性像」を打ちこわし、映画『パープル・レイン』の女性をゴミ箱に捨てるシーンで女性蔑視を表現したりして、ジェンダーなどのマイノリティーに優しい人間像を表現した(と、思っている)んです💜

ですが今はアメリカ社会でもトランプ以降「社会の分断化」が加速して時代が逆戻りしていくイメージです。
アメリカのキリスト教が保守的になって21世紀にも興隆しているのも、やはりそれに変わる「大きな物語」が見つからないせいなのでしょう🇺🇸
日本においても閉塞感を感じるのは同じ🇯🇵
いい本です❣️


「大きな物語」初めて聞いた言葉でしたが、 「ポストモダン」用語だそうです📖
日本は1970年代以後「大きな物語」がなくなり「小さな物語」の分立が主流になっていくと、中上健次などにポストモダンとして論じられましたが、やはり人間には「大きな物語」が必要だとの、本の結論です❗️
「大きな物語」の定義、詳しくはこちらをご覧ください↓
【大きな物語とは】リオタールの議論・小さな物語からわかりやすく解説 - リベラルアーツガイド 
【大きな物語とは】リオタールの議論・小さな物語からわかりやすく解説|リベラルアーツガイド

【大きな物語とは】リオタールの議論・小さな物語からわかりやすく解説|リベラルアーツガイド

大きな物語とはリオタールが提示した概念で、近代社会がそれ特有の世界観と人間観によって社会・文化的コンテキストを維持・正当化するための物語を意味します。この記事で...

リベラルアーツガイド

 
最後に、この時期恒例の太平洋戦争のドキュメンタリー番組を観ていると「アジアの解放」を訴えた戦時中の日本🇯🇵のニュース映像が流れましたが、昔見た共産主義の「搾取からの解放」アジテーションそっくりそのまんまでした📣

やはり人びとに夢を与える「大きな物語」はまた形を変えて未来永劫、繰り返されるのでしょうか?

おしまいです📖

「激動日本左翼史 学生運動と過激派1960-1972 」

2022-01-28 00:29:00 | 読書
2022年1月24日は休みだったので、本を買った。
激動日本左翼史 の第2巻
池上彰 佐藤優 著

たった今、読了。


安保闘争から全学連・全共闘と続いた学生運動の高揚、そして赤軍派の山岳ベース事件やあさま山荘事件による崩壊と中核派と革マル派の内ゲバを通して新左翼運動への国民のシンパシーが無くなるまでを描いていて、戦後史のハイライトとも言える時代をリアルに描写、読み応えたっぷりな印象。

新左翼運動衰退の理由は、官僚化しなかったからだそうで、要するに構成員が真面目すぎて遊びがなかったからこそ過激化して、殺し合いにまで発展したと結論づけている。
そして後世に残したものは、何もなかったそう。
だからこそその失敗の原因をあぶり出して、歴史の教訓にしたかったのが、本の執筆理由だとの事。



逆に読んで辛かった事は、やはり新左翼各派の論文からの引用で、それぞれ表現が大袈裟で、正直ついていけなかった。
そのため、これはプロレス新聞の「筋肉の表面張力の限界」「ひとり民族大移動」「長州には神風が吹く」と同じレベルだと言い聞かせたら、その後すらすらと読めた。



そして読み終わり、一番印象に残った文章は…

『(関西ブントのみが分裂せずに存続した理由は)良くも悪くも関西の学生たちが関東と違うある種の「いいかげんさ」を持っていた…」

こちとら関東人なので先々月大阪に行った時、関西のプリンスファンの人たちにずっと感じていた違和感が、この一文を読んでやっと氷解した気がする。

論理というものを突き詰めて考えるよりも、「いいかげんさ」があるほうがある種楽しめて長持ちするものらしい。
先の引用文の「学生」を「プリンスファン」に置き換えると、自分が関西のプリンスバーで経験した事とそっくりそのまんまだった。

人間の経験なんてわずかなもの。
そのか細い経験を補う意味でも…
本読んで良かった❣️

第3巻も旧社会党の衰亡を含めた内容で執筆予定だそうだけど、何だかお通夜に赴くような気分 (>_<)チーン!



書評 ①【 真説日本左翼史 】②【 サイコパス 】

2021-12-09 23:08:00 | 読書
10月丸善で買った本です📖

①【 真説日本左翼史 】
戦後左派の源流 1945-1960
池上彰 佐藤優 講談社現代新書



買った当時選挙が近いせいか、左翼と言われる党派の歴史を、試験もなくゆっくり読みたかったから買いました🇯🇵

読了したら、読み応えがありました📖
日本の左翼史の中で旧日本社会党についてはあまり本がなかったけど、これにはみっちりと書かれています🇯🇵
連合が立憲民主党の共産党との提携に拒否反応を示す理由も、この本で歴史を紐解けば分かる気が…
そして新左翼に焦点を当てた、続編を出す予定だそうです。

個人的には高校時代、奥浩平「青春の墓標」などを読んで60年代新左翼にシンパシー感じた時期があったので、楽しみ。

②【 サイコパス 】
中野信子 文春新書



脳神経医学に何となく興味があるので、買いました。

サイコパスと猟奇殺人とを混同していましたが、実は一定数が必ず人類に存在する精神体質だそうです。
読み進めるにつれて、たまたま会った女性が共感力低くてこの人サイコパスかもと思い、そこから俄然本の内容に興味が湧き出して、すぐに完読しました。
内容は中野信子さんらしく緻密な分析で、説得力があります。
具体的にサイコパスの特徴は「他人に対する共感力の低さ」と「モラルの欠如」だそうです。

結論…巧みに人を誘うサイコパスのカモにされないための、必読書だと思います!