女の人たちの声高に話す声が聞こえて、僕はふっと意識を戻した。相変わらずパンツ一枚穿かせてもらえない真っ裸だった。手足を縛られ、押入れの中に監禁されている。午前中の長い散歩とその後の出来事のおかげて心身ともに疲れ切っていた僕は、押入れの中の暗さと静けさが幸いして、狭いところに手足を拘束されたまま閉じ込められるという苦痛をほとんど覚える間もないうちに眠り込んだのだった。
暗闇の中だから、時間は分からない。もう夕方かもしれなかった。風呂から上がって口にした昼食は、豆腐、ひじきと野菜の煮物が少々、それと子ども用の飯茶わんに半分程盛られた冷たい白米だった。Fさんは、僕にも煮込みハンバーグにサラダ、グラタン、ヨーグルトという彼女たちと同じメニューを用意してくれたのだけど、ルコが「ナオス君は体が小さいから私たちより食べないし、ヨーグルトは女の子用だから残念だけど食べさせてあげられないの。残り物でいいよ」と余計な口添えをしたので、突然、このような食事になったのだった。
幾ら僕の体が小さいからってこの量ではとても食欲を満たすことができないけれど、不満を述べると、食事そのものを取り上げられる恐れがあった。ルコが珍しく僕にも椅子に座ることを許したので、ルコやFさんとテーブルを囲んで食事をした。煮込みハンバーグやグラタンの湯気、良い匂いがとっくに食事を平らげてまだ腹を空かせている僕の前に漂ってくる。でも、ルコもFさんも決して僕に食事を分けようとはしなかった。Fさんはあのゲーム以降、僕に対してすっかり冷たい態度を取るようになって、食事を終えて一人だけ素っ裸でいる惨めさに耐えながらじっとしている僕に見せつけるようにハンバーグを頬張るのだった。ルコは「おいしい」を連発し、Fさんの料理の腕を絶賛した。
食事が済むと、ルコとFさんは、出掛けることになった。僕は、決して逃げないことを誓ったけど信じてもらえず、後ろに回した手と両の足首をロープで縛られ、更に手拭いで猿轡まで掛けられて、押入れの中に閉じ込められた。縄尻を押し入りの奥の通し穴を通じて上の段の柱に結び付けられたので、身動きができない。ルコが「大人しくしててね。夕方までには戻ると思うけど」と言い捨てて襖を閉めた。
ヒグラシの鳴く声に階段の軋む音がかぶさる。足音が段々大きくなった。階下では、女の人たちが玄関から居間へぞろぞろと入っていく気配がした。その足音や話し声から五人六人、あるいはそれ以上かもしれない来客者の数が推測され、彼女たちの前に素っ裸のまま引きずり出されるのかもしれないという恐ろしさに緊張を覚えていると、襖が開いて明るい光の中からルコが顔を出した。
解かれたのは足のロープだけで、後ろ手の縛りと手拭いの猿轡はそのままだった。足を縛っていたロープで輪っかを作り、おちんちんの根元を袋ごと括ってぎゅっと締めると、ルコはそのロープを引きながら、部屋を出て階段に向かった。
どうせ女の人たちにおちんちんを見られてしまうのだと諦めていたけど、せめて最初くらいはパンツ一枚でも穿かせてもらいたかった。素っ裸の上、後ろ手に縛られた恥ずかしい格好のまま、おちんちんをロープで引っ張られながら来客者たちの前にまかり出るのは、どうしても抵抗があり、引っ張られたロープがおちんちんの袋に食い込む痛さに耐えながら、重い足を一歩一歩いやいやながら前へ出す。
「愚図愚図しないで、もっとテキパキ歩きなさいよ」
猿轡として噛まされた手拭いの間から言葉にならない声を出す僕を、ルコは階段の途中で振り返って見つめ、僕の気持ちを一切無視した叱声を浴びせた。僕が皆の前に出るのを非常にいやがっているのを見て取ると、更に強くロープを引っ張って階段を下りる。居間のドアが開いて誰かがルコを出迎えたと思ったら、Y美だった。
「元気ないじゃん。ルコに苛められたの?」
一日置いて会うY美は、襟付きの青いシャツにジーパンという男の子のような格好をして、髪も耳が見えるまでに短く切ってあった。眉毛の上にカールした前髪が揺れている。すっと手を伸ばしておちんちんに触りながら、猿轡を噛まされているために言葉を発することのできない僕の目を覗き込み、微笑する。「おちんちんが縮んでるじゃん。今日はまだ射精させてないんでしょうね」
おちんちんを扱き、おちんちんにじっと視線を当てたままY美がルコに問う。しびれるような快感がおちんちんに走り、おちんちんの袋がきゅっと引き締まる。
「それがさ、ごめんね、Y美。どうも午前中に一回、精液出しちゃったんだって」
いたずらっ子が叱られたように、ルコが舌を出してぺこりと頭を下げた。
「何それ。私、言ったよね。二日目は私たちが来るまで一回も射精させるなって」
指で作った輪をおちんちんに嵌めて小刻みに動かしながらルコを見上げるY美の横顔は、冷たい大理石のようで、睨まれていなくても見る者に威圧を与えた。
「ほんとにごめん。私の従妹が来ててさ、私の知らないところでオナニーさせたみたいなのよ」
「それ酷くない? あり得ないでしょ。従妹って、あのくそ生意気そうな女?」
不機嫌になったY美の顔を見つめたまま、ルコが笑顔が凍り付いた顔でゆっくりと頷き、
「でも、Fちゃんには、私の方から言っといたら、もう許してあげてよ」
と、恐る恐る弁護すると、
「それはどうかな。チャコのおちんちん次第だね」
と、Y美が扱きによって硬くなったおちんちんを指でツンツンと突いて、言った。
「ナオス君、頑張って精液いっぱい出すんだよ。そうしないとFちゃんがいじめられるから。お願いだよ」
ぼそっとルコが僕の耳元で囁いた。僕は何が何だか分からないまま、縄尻を握ったY美に引っ張られる。Y美が居間のドアを開けると、冷房の冷気が剥き出しの肌にどっと流れ込んできたけれど、Y美によって勃起させられたおちんちんは、ぴくんと震えただけで少しも柔らかくなることはなかった。
女の人たちの歓声が聞こえた。聞き慣れた声だった。S子、ミュー、風紀委員、N川さん、エンコ、という南川の岩場でお弁当を広げたメンバーがいて、真っ青な顔色のFさんが彼女たちに紙コップを配ったりお菓子を運んだりしていた。
「やっぱりおちんちん丸出しにして登場ってことになると興奮するんだね」
ピンと上を向いたおちんちんを指して、S子が笑う。Y美が縄尻を鴨居に回して固定したので、僕は立ち居のまま後ろ手に縛られた不自由な体を左右に揺らした。両手を縛る縄がもう少しでほどけそうな感じがするのに、なかなか手首を抜くことができない。猿轡を噛まされて言葉を言えない僕に女の人たちが嘲笑を浴びせた。
「ナオス君、ずっと裸なの?」
エンコが丸い顔を赤らめて訊ねると、
「そうだよ。あれからずっと真っ裸のままだよ」
ルコがエンコの頭を越えたところにいるY美の方を見ながら答えた。
「信じられない」
「動物みたい」
女の人たちは口々に感動を表して、一糸まとわぬ僕の裸体をじろじろと眺め回した。そのうち、風紀委員が三つの不満を申し立てた。一つは僕の服を脱がすのが楽しみだったのに、初めから脱がす物の一つもない素っ裸だったこと。二つは、わざわざ遊びに来た自分たちを素っ裸で出迎えるというのはすごく失礼ということ、三つは、居間に入ってきた僕のおちんちんが勃起していたこと。まるで女の人たちを性的に脅かしに来たみたいで、一瞬だけど貞操の危機を覚えた、と付け足した。信じられないことにY美は風紀委員の言い分を認めた。それで、風紀委員の挙げた三つの不満に対し、僕に土下座してお詫びするように命じるのだった。S子が僕の後ろ手を縛るロープを解いた。
裸で申し訳ございませんでした、おちんちんを勃起させてしまい申し訳ございませんでした、と風紀委員が納得するまで土下座をしていると、N川さんが堪えかねたように笑い出した。僕の土下座する理由を聞いているうちにおかしくなったと言う。
「そりゃそうだよ。だってナオス君、好きで裸でいる訳じゃないもん。お洋服を没収されて着る物がないから、真っ裸でいるしかないんだもん」
ルコが笑いながら、土下座させられている僕を庇うと、他の人たちも一緒に激しく笑うのだった。
強制的に土下座させられた後も、冷房をがんがんに利かせた居間が寒くて仕方がないので、僕は正座の姿勢は崩すことができなかった。両腕を交差させ、自分で自分を抱きしめるように体を摩り、全身剥き出しの肌に突き刺さる冷気から体温を守る。女の人たちがシャツの上に一枚羽織っているのを見ると、冷房を止めてもらうように頼むことは、それほど突拍子もない願いではなく、彼女たちの、とりわけY美の怒りを買うことにはならないだろうと思われ、タイミングを見計らって恐る恐るお願いしたところ、案に相違して女の人たちは一様に不思議そうな顔をした。
「は? 何言ってんの、あんた」
「すみません。寒いんで冷房止めてもらってもいいかなって思っただけです」
一度してしまったお願いは、もう撤回できない。呆れたように聞き返すS子の冷たい視線を浴びて、僕は顔を上げることができなかった。
「私たちはこのくそ暑い中、ろくに日陰もない道を歩いて来たんだよ。汗だくだくだよ。ルコが気を利かして冷房を強くしてくれて、やっと涼むことができたと思って喜んでたのに、お前は、そのルコの気遣いを無駄にするようなことを言う訳?」
ソファから立ち上がったS子が僕のところに来て、滔々とまくし立てながら膝で僕の胸の辺りを突いた。
「もうやめなよ、S子も」
急いで謝る僕の頭髪を掴んで揺するルコを見て、ルコが困ったような顔に笑みを浮かべて止めに入った。S子は珍しくルコの忠告を素直に聞き入れて、前に引っ張った頭髪を放した。床に崩れた姿勢から再び正座に戻った僕を顎でしゃくって、ルコが、
「確かには裸んぼじゃ寒いかもしれない。私たちだってみんなカーディガンを羽織って丁度いいくらいだから」
と、寒がる僕を面白そうに眺めながら言った。
「幾らナオス君が真っ裸で寒いからって、私たちが暑いのを我慢しなくちゃいけない理由はないでしょ。それとも私たちにも脱げって言うのかな。ここは多数決で決めるべきよ。多くの人が心地よいと思う温度設定にすればいいじゃん」
風紀委員がこのように提案し、それで結局、今の温度を維持することに決まってしまった。椅子にどかっと腰を下した風紀委員が足を組み、勝ち誇ったような顔して、床に正座したまま寒がる僕を見下ろす。
「仕方ないじゃん。我慢しなさいよ。これもナオス君が一人だけ丸裸でいるのがいけないんだよ。でも、そんなに寒いかな。ちょっと立ちなさい。ほら、おちんちんを隠さないの。手は後ろ」
組んだ足を組み替えて風紀委員が僕に命令を下した。言われた通りにする僕のおちんちんをいじくりながら、風紀委員が続けた。
「ほんとに寒かったら、おちんちんも縮み上がる筈でしょ。それなのに、何これ。だらんとしてるじゃん。嘘ついてみんなに同情してもらおうとしても駄目だよ」
ついさっきY美に扱かれて硬くなったおちんちんがようやく治まったところなのに、風紀委員はそのことを忘れたのか、それとも気付かない振りをしているのか、おちんちんの皮を剥くと、「ほら、こんなに大きい」と、おちんちんを摘まんだまま上下に激しく揺すった。それを見て女の人たちは愉快そうに笑い声を上げた。
笑いが収まると、そうそう、と前置きして、Y美がH山さんのことを話し出した。一昨日、裸で横断歩道を渡らされている僕に警察へ行くように進言した、あのOLのH山さんのことだ。昨日は休日のH山さんを学校の体育館倉庫室に呼び出して、がっちりした体格の男性であるモン先輩とともに一日、恥ずかしい写真を撮影し、今後、Y美の都合で働いてもらうためのネタ作りに専念したと言う。モン先輩はY美に気があるような素振りだったし、大人の女の人を性的に弄べる絶好の機会だから、喜んでY美の協力をしたのだろう。Y美が絶賛したのは、Y美の求めるままにH山さんを凌辱したモン先輩の体力と肉体だった。同じ男子とは思えない、とY美が床に正座している僕を冷たい目で見下ろしながら嘆息した。
S子に腕を取られ、立たされた僕は、Y美に気をつけを命じられた。勃起の収まったおちんちんが今の僕の不安な気持ちを反映して小さく縮んでいる。Y美はおちんちんの皮を摘まむと、ゆっくり引っ張りながら円を描くようにぐるぐると回した。
「男子の裸ってこれのしか知らないから、モン先輩の肉体を見た時は息を飲んだよ。モン先輩のと比べたら、こんなちっちゃいおちんちんなんて、むしろ無い方がいいくらい。無毛で皮被りの、こんな子どものようなものがおちんちんだなんて思わないことだね。ねえ、お前、聞いてるの?」
突然Y美は、気をつけの姿勢のままおちんちんの皮を引っ張られる痛みと恥辱に耐えている僕の顔を覗き込み、問い掛けた。何とも答えられない僕に腹を立てたY美は、「これでもおちんちんかって聞いてんだよ」と、人差し指で皮の中に隠れる亀頭を押した。おちんちんが体の中に押し込まれる痛みに悲鳴を上げて許しを乞う。思わず暴れてしまった僕をS子が羽交い絞めにして押さえた。
ひとしきりモン先輩の裸体について語ったY美は、N川さんの羨望の眼差しに気づいて、「見てみたいの?」と訊ねた。ぽかんと口を開けたままN川さんが頷く。他の女の人たちもモン先輩の裸体に興味を示した。「やはり男の体って、モン先輩のような成熟した人の裸を見ないと分からないかもしれない。ナオス君じゃ女の子みたいな体だもんね。まあ、だからこそ私たちの好きにできるっていうのがあるんだけど」と、ルコが部屋の隅で素っ裸の身を小さく丸めている僕の方を見やりながら言うと、女の人たちが次々と同意した。
Y美は皆の考えていることを汲み取り、
「そうねえ、モン先輩がH山さんをヒイヒイ泣かしている写真があるから、これでモン先輩もある程度は私の言うことを聞いてくれると思うけど、でも、あの人は少し危険だよ。下手すると私たちが襲われるかもしれない。だから、チャコに相手にしてもらおうと思ってんだけど」
と、勿体ぶった口調で言いさして、ぷっと吹き出した。
「何それ、幾らナオス君が女の子みたいに華奢だからって、おちんちんが付いた男の子じゃ代りにならないんじゃないの?」
今まで大人しかったミューが僕の腕を取って質問をし、僕をY美の前に引き摺り出した。僕の体を使って具体的に答えて欲しいという暗黙の意を受け取ったY美は、僕に四つん這いの姿勢を取らせた。
「だからここを使ってモン先輩のを入れさせてあければいいのよ」
ざくっとお尻に手を入れて広げる。僕の丸出しになったお尻の穴を女の人たちに見せながら、Y美が説明をした。
「ここを開発すれば、おちんちんが入るくらい広がるんだってさ」
こう締めくくるとY美は、僕のお尻を手のひらでゆっくり撫で回した。耳元で「頑張るんだよ」と、囁く。
大胆な提案に女の人たちは黄色い声を上げて騒いだ。が、僕には、その声も分厚いガラスを隔てたように聞こえた。お尻の穴に男の人のおちんちんを入れられる、というのはすぐに実感として湧かなかった。それがどういうことで何を意味するのかも理解できなかった。ただ恐ろしい、経験したことのないような恐怖の感情がじわじわと体に広がってきて、もう起ち上がることもできないくらい手や足がぶるぶると震え出した。僕はなんとかY美にすがり付いて、「お願いですから」と哀訴した。手が一瞬、Y美の胸の辺りを掠めた。
「触らないでよ、変態なんだから」
Y美によって床に叩きつけられても、自分に降りかかろうとしてる災難を運命として受け入れることはできず、今度は足にしがみついた。白くて滑々した長い足が大海に浮かぶ材木のように手放してはならない物に感じられる。これまでY美が一度決めたことを僕の嘆願によって翻したことは一度もない。お尻の穴を広げられ、欲情した男の人たちを女の人たちに代わって受け入れるなどということは、全く想像すらできない恐ろしさで、ただひたすらY美の足にしがみ付き、泣いて許しを乞う。しかし、これもY美に簡単に振り払われて、その際、足先がおちんちんの袋に当たってしまった。このところ続けて蹴られているおちんちんの袋は、なかなか痛みが退かなかった。床に体をくの字に曲げて悶絶する僕をN川さんが「自業自得って奴じゃないの?」と、冷やかに評した。N川さんは、すっかりY美のグループに染まったようだった。
あまりにも僕がいやがり、いつもとは桁違いの抵抗をするので、Y美は考え込んで、S子とルコ、ミューに意見を求めた。トイレから戻ってきた風紀委員がY美たちの話し合いの場に割って入り、求められてもいないのに強引に自分の考えを述べた。
話し合いの結果、僕に対してある条件が出されることになった。その条件をクリアすればモン先輩の相手は今回だけは許してもらえるという。その条件とは、五分以内に射精するというものだった。但し、僕は、柱の間に手足を広げたXの形に縛られることになる。射精の手伝いをする相手として、Y美が指名したのは、Fさんだった。もし僕が所定の時間以内に射精できなかった場合は、僕だけでなく、Fさんもモン先輩の相手をしなければならない、とY美が宣告した。
「冗談でしょ。絶対いや」
全身を硬直させてFさんが拒む。午前中にFさんが勝手に僕を射精させたことについて、罰を与える必要があるとY美は考えていたようだった。玄関から外へ逃げ出したFさんがS子に捕まって、再び居間に連れ戻された時、Fさんは「ルコちゃん、この人たちを止めて、許して」と、泣き叫んだけど、ルコは我関せずという態度だった。
「ルコちゃん、あの人、ルコちゃんの従妹でしょ。大丈夫なの?」
心配そうにN川さんがルコに問いかけると、
「あいつは、私のくそ親父のエッチ大好きな血を受け継いでいるから、平気だよ」
と、こともなげに答えて、往生際の悪いFさんの頬を平手打ちした。Y美とS子がFさんの洋服を脱がせ始めた。抵抗して暴れるFさんの肘がS子の顔面に当たった。激昂したS子は、Fさんのテニスウェアを背中から破いてしまった。Fさんの白いブラジャーのホックが破れたテニスウェアから見える。
「分かった。自分で脱ぎます。脱ぐから乱暴しないで」
嗚咽しながらFさんがそう言うと、ぼろぼろになったテニスウェアを脱ぎ、スカートのホックを外した。スカートがはらりと床に落ちた。ブラジャーとパンツだけの姿になったFさんは、すごく恥ずかしそうだった。僕だけでなく、同性の人たちにもまじまじと見られている。このことが意識から離れないのか、Fさんの顔は真赤だった。
「手が止まってるよ。早く下着も脱ぎなよ」
Y美がせきたてると、
「全部脱ぐんですか?」
と、消え入るような声で聞き返す。
「全部脱いでください。お願します」
わざと丁寧な言葉遣いでぞんざいにY美が答える。Fさんは諦めきった表情でブラジャーを外し、一呼吸置いてからパンツを脱いだ。
「わ、なんだこの女、牛みたいなおっぱいじゃん。ナオス君も大喜びだね」
「毛深い女だなあ。剃りがいがあるかも。モン先輩は無毛が好きだから」
とうとう素っ裸になったFさんの体をじろじろ見つめながら、Y美とS子が下品な笑い声を立てた。Fさんは急いで腕で胸と股間を隠したが、すぐにY美に腕を取られ、手足を広げた形で拘束された素っ裸の僕の前に引き摺り出された。
「今から五分だよ。射精できなかったら、二人でモン先輩の相手だからね」
ぱんぱんと手を鳴らしてY美が合図する。全裸のFさんが僕の前に四つん這いになり、おちんちんを手に取った。僕は寒さと恐怖と緊張のおかげで、Fさんがテニスウェアを破られる光景やストリップを強制されているところを目の当たりにしても性的な興奮を覚えるには至らなかったけれど、おちんちんを扱かれ、口に含まれると、急に全身の力が抜け、性的な快楽の波がじわじわと全身に広がってくるのを覚えた。この分なら五分どころか三分もしないうちに頂点を迎えられるような気がした。
「この女、慣れてんじゃん。商売してんの? もっとお尻振れよ」
「でっかいおっぱいなんだから、おちんちん挟んで擦ってやれよ」
S子やルコが容赦なく野次を飛ばす。お尻を左右に振るFさんは、もはや女の人たちの言いなりだった。僕の前に膝を立てると、胸の間におちんちんを挟んで、腰を揺すり、上下に擦り始めた。もうおちんちんは限界まで大きくなって、射精寸前だった。
と、その時、Y美がFさんのお尻をぱちんと平手打ちして、僕の体から強引に引き離した。
「はい、ここで休憩。チャコには今からお風呂に入ってもらいます」
エンコとミューが柱につないだロープを解き、僕の四肢を自由にすると、Y美とS子が僕の腕を取って浴室に連れていく。射精寸前で止められ、硬くなったままのおちんちんを丸出しにした僕は、お昼前に入れられた水風呂の前に引っ張り出された。水風呂には大きな氷の塊がいっぱい浮いていた。
「ルコにお願いして大きな氷を用意してもらったんだよ。さ、入ってみて。硬くなったおちんちんがどうなるか見てみたいの」
Y美がこう言うと、S子と二人掛かりで僕の腰を持ち上げ、許しを乞う僕の声を無視して、とうとう氷漬けのお風呂に落とした。僕の悲鳴が居間まで響いたと言ってミューとN川さんとエンコが駆け付けた。大きな声を出さないと全身の肌に突き刺さる水の冷たさに耐えられなかった。
暗闇の中だから、時間は分からない。もう夕方かもしれなかった。風呂から上がって口にした昼食は、豆腐、ひじきと野菜の煮物が少々、それと子ども用の飯茶わんに半分程盛られた冷たい白米だった。Fさんは、僕にも煮込みハンバーグにサラダ、グラタン、ヨーグルトという彼女たちと同じメニューを用意してくれたのだけど、ルコが「ナオス君は体が小さいから私たちより食べないし、ヨーグルトは女の子用だから残念だけど食べさせてあげられないの。残り物でいいよ」と余計な口添えをしたので、突然、このような食事になったのだった。
幾ら僕の体が小さいからってこの量ではとても食欲を満たすことができないけれど、不満を述べると、食事そのものを取り上げられる恐れがあった。ルコが珍しく僕にも椅子に座ることを許したので、ルコやFさんとテーブルを囲んで食事をした。煮込みハンバーグやグラタンの湯気、良い匂いがとっくに食事を平らげてまだ腹を空かせている僕の前に漂ってくる。でも、ルコもFさんも決して僕に食事を分けようとはしなかった。Fさんはあのゲーム以降、僕に対してすっかり冷たい態度を取るようになって、食事を終えて一人だけ素っ裸でいる惨めさに耐えながらじっとしている僕に見せつけるようにハンバーグを頬張るのだった。ルコは「おいしい」を連発し、Fさんの料理の腕を絶賛した。
食事が済むと、ルコとFさんは、出掛けることになった。僕は、決して逃げないことを誓ったけど信じてもらえず、後ろに回した手と両の足首をロープで縛られ、更に手拭いで猿轡まで掛けられて、押入れの中に閉じ込められた。縄尻を押し入りの奥の通し穴を通じて上の段の柱に結び付けられたので、身動きができない。ルコが「大人しくしててね。夕方までには戻ると思うけど」と言い捨てて襖を閉めた。
ヒグラシの鳴く声に階段の軋む音がかぶさる。足音が段々大きくなった。階下では、女の人たちが玄関から居間へぞろぞろと入っていく気配がした。その足音や話し声から五人六人、あるいはそれ以上かもしれない来客者の数が推測され、彼女たちの前に素っ裸のまま引きずり出されるのかもしれないという恐ろしさに緊張を覚えていると、襖が開いて明るい光の中からルコが顔を出した。
解かれたのは足のロープだけで、後ろ手の縛りと手拭いの猿轡はそのままだった。足を縛っていたロープで輪っかを作り、おちんちんの根元を袋ごと括ってぎゅっと締めると、ルコはそのロープを引きながら、部屋を出て階段に向かった。
どうせ女の人たちにおちんちんを見られてしまうのだと諦めていたけど、せめて最初くらいはパンツ一枚でも穿かせてもらいたかった。素っ裸の上、後ろ手に縛られた恥ずかしい格好のまま、おちんちんをロープで引っ張られながら来客者たちの前にまかり出るのは、どうしても抵抗があり、引っ張られたロープがおちんちんの袋に食い込む痛さに耐えながら、重い足を一歩一歩いやいやながら前へ出す。
「愚図愚図しないで、もっとテキパキ歩きなさいよ」
猿轡として噛まされた手拭いの間から言葉にならない声を出す僕を、ルコは階段の途中で振り返って見つめ、僕の気持ちを一切無視した叱声を浴びせた。僕が皆の前に出るのを非常にいやがっているのを見て取ると、更に強くロープを引っ張って階段を下りる。居間のドアが開いて誰かがルコを出迎えたと思ったら、Y美だった。
「元気ないじゃん。ルコに苛められたの?」
一日置いて会うY美は、襟付きの青いシャツにジーパンという男の子のような格好をして、髪も耳が見えるまでに短く切ってあった。眉毛の上にカールした前髪が揺れている。すっと手を伸ばしておちんちんに触りながら、猿轡を噛まされているために言葉を発することのできない僕の目を覗き込み、微笑する。「おちんちんが縮んでるじゃん。今日はまだ射精させてないんでしょうね」
おちんちんを扱き、おちんちんにじっと視線を当てたままY美がルコに問う。しびれるような快感がおちんちんに走り、おちんちんの袋がきゅっと引き締まる。
「それがさ、ごめんね、Y美。どうも午前中に一回、精液出しちゃったんだって」
いたずらっ子が叱られたように、ルコが舌を出してぺこりと頭を下げた。
「何それ。私、言ったよね。二日目は私たちが来るまで一回も射精させるなって」
指で作った輪をおちんちんに嵌めて小刻みに動かしながらルコを見上げるY美の横顔は、冷たい大理石のようで、睨まれていなくても見る者に威圧を与えた。
「ほんとにごめん。私の従妹が来ててさ、私の知らないところでオナニーさせたみたいなのよ」
「それ酷くない? あり得ないでしょ。従妹って、あのくそ生意気そうな女?」
不機嫌になったY美の顔を見つめたまま、ルコが笑顔が凍り付いた顔でゆっくりと頷き、
「でも、Fちゃんには、私の方から言っといたら、もう許してあげてよ」
と、恐る恐る弁護すると、
「それはどうかな。チャコのおちんちん次第だね」
と、Y美が扱きによって硬くなったおちんちんを指でツンツンと突いて、言った。
「ナオス君、頑張って精液いっぱい出すんだよ。そうしないとFちゃんがいじめられるから。お願いだよ」
ぼそっとルコが僕の耳元で囁いた。僕は何が何だか分からないまま、縄尻を握ったY美に引っ張られる。Y美が居間のドアを開けると、冷房の冷気が剥き出しの肌にどっと流れ込んできたけれど、Y美によって勃起させられたおちんちんは、ぴくんと震えただけで少しも柔らかくなることはなかった。
女の人たちの歓声が聞こえた。聞き慣れた声だった。S子、ミュー、風紀委員、N川さん、エンコ、という南川の岩場でお弁当を広げたメンバーがいて、真っ青な顔色のFさんが彼女たちに紙コップを配ったりお菓子を運んだりしていた。
「やっぱりおちんちん丸出しにして登場ってことになると興奮するんだね」
ピンと上を向いたおちんちんを指して、S子が笑う。Y美が縄尻を鴨居に回して固定したので、僕は立ち居のまま後ろ手に縛られた不自由な体を左右に揺らした。両手を縛る縄がもう少しでほどけそうな感じがするのに、なかなか手首を抜くことができない。猿轡を噛まされて言葉を言えない僕に女の人たちが嘲笑を浴びせた。
「ナオス君、ずっと裸なの?」
エンコが丸い顔を赤らめて訊ねると、
「そうだよ。あれからずっと真っ裸のままだよ」
ルコがエンコの頭を越えたところにいるY美の方を見ながら答えた。
「信じられない」
「動物みたい」
女の人たちは口々に感動を表して、一糸まとわぬ僕の裸体をじろじろと眺め回した。そのうち、風紀委員が三つの不満を申し立てた。一つは僕の服を脱がすのが楽しみだったのに、初めから脱がす物の一つもない素っ裸だったこと。二つは、わざわざ遊びに来た自分たちを素っ裸で出迎えるというのはすごく失礼ということ、三つは、居間に入ってきた僕のおちんちんが勃起していたこと。まるで女の人たちを性的に脅かしに来たみたいで、一瞬だけど貞操の危機を覚えた、と付け足した。信じられないことにY美は風紀委員の言い分を認めた。それで、風紀委員の挙げた三つの不満に対し、僕に土下座してお詫びするように命じるのだった。S子が僕の後ろ手を縛るロープを解いた。
裸で申し訳ございませんでした、おちんちんを勃起させてしまい申し訳ございませんでした、と風紀委員が納得するまで土下座をしていると、N川さんが堪えかねたように笑い出した。僕の土下座する理由を聞いているうちにおかしくなったと言う。
「そりゃそうだよ。だってナオス君、好きで裸でいる訳じゃないもん。お洋服を没収されて着る物がないから、真っ裸でいるしかないんだもん」
ルコが笑いながら、土下座させられている僕を庇うと、他の人たちも一緒に激しく笑うのだった。
強制的に土下座させられた後も、冷房をがんがんに利かせた居間が寒くて仕方がないので、僕は正座の姿勢は崩すことができなかった。両腕を交差させ、自分で自分を抱きしめるように体を摩り、全身剥き出しの肌に突き刺さる冷気から体温を守る。女の人たちがシャツの上に一枚羽織っているのを見ると、冷房を止めてもらうように頼むことは、それほど突拍子もない願いではなく、彼女たちの、とりわけY美の怒りを買うことにはならないだろうと思われ、タイミングを見計らって恐る恐るお願いしたところ、案に相違して女の人たちは一様に不思議そうな顔をした。
「は? 何言ってんの、あんた」
「すみません。寒いんで冷房止めてもらってもいいかなって思っただけです」
一度してしまったお願いは、もう撤回できない。呆れたように聞き返すS子の冷たい視線を浴びて、僕は顔を上げることができなかった。
「私たちはこのくそ暑い中、ろくに日陰もない道を歩いて来たんだよ。汗だくだくだよ。ルコが気を利かして冷房を強くしてくれて、やっと涼むことができたと思って喜んでたのに、お前は、そのルコの気遣いを無駄にするようなことを言う訳?」
ソファから立ち上がったS子が僕のところに来て、滔々とまくし立てながら膝で僕の胸の辺りを突いた。
「もうやめなよ、S子も」
急いで謝る僕の頭髪を掴んで揺するルコを見て、ルコが困ったような顔に笑みを浮かべて止めに入った。S子は珍しくルコの忠告を素直に聞き入れて、前に引っ張った頭髪を放した。床に崩れた姿勢から再び正座に戻った僕を顎でしゃくって、ルコが、
「確かには裸んぼじゃ寒いかもしれない。私たちだってみんなカーディガンを羽織って丁度いいくらいだから」
と、寒がる僕を面白そうに眺めながら言った。
「幾らナオス君が真っ裸で寒いからって、私たちが暑いのを我慢しなくちゃいけない理由はないでしょ。それとも私たちにも脱げって言うのかな。ここは多数決で決めるべきよ。多くの人が心地よいと思う温度設定にすればいいじゃん」
風紀委員がこのように提案し、それで結局、今の温度を維持することに決まってしまった。椅子にどかっと腰を下した風紀委員が足を組み、勝ち誇ったような顔して、床に正座したまま寒がる僕を見下ろす。
「仕方ないじゃん。我慢しなさいよ。これもナオス君が一人だけ丸裸でいるのがいけないんだよ。でも、そんなに寒いかな。ちょっと立ちなさい。ほら、おちんちんを隠さないの。手は後ろ」
組んだ足を組み替えて風紀委員が僕に命令を下した。言われた通りにする僕のおちんちんをいじくりながら、風紀委員が続けた。
「ほんとに寒かったら、おちんちんも縮み上がる筈でしょ。それなのに、何これ。だらんとしてるじゃん。嘘ついてみんなに同情してもらおうとしても駄目だよ」
ついさっきY美に扱かれて硬くなったおちんちんがようやく治まったところなのに、風紀委員はそのことを忘れたのか、それとも気付かない振りをしているのか、おちんちんの皮を剥くと、「ほら、こんなに大きい」と、おちんちんを摘まんだまま上下に激しく揺すった。それを見て女の人たちは愉快そうに笑い声を上げた。
笑いが収まると、そうそう、と前置きして、Y美がH山さんのことを話し出した。一昨日、裸で横断歩道を渡らされている僕に警察へ行くように進言した、あのOLのH山さんのことだ。昨日は休日のH山さんを学校の体育館倉庫室に呼び出して、がっちりした体格の男性であるモン先輩とともに一日、恥ずかしい写真を撮影し、今後、Y美の都合で働いてもらうためのネタ作りに専念したと言う。モン先輩はY美に気があるような素振りだったし、大人の女の人を性的に弄べる絶好の機会だから、喜んでY美の協力をしたのだろう。Y美が絶賛したのは、Y美の求めるままにH山さんを凌辱したモン先輩の体力と肉体だった。同じ男子とは思えない、とY美が床に正座している僕を冷たい目で見下ろしながら嘆息した。
S子に腕を取られ、立たされた僕は、Y美に気をつけを命じられた。勃起の収まったおちんちんが今の僕の不安な気持ちを反映して小さく縮んでいる。Y美はおちんちんの皮を摘まむと、ゆっくり引っ張りながら円を描くようにぐるぐると回した。
「男子の裸ってこれのしか知らないから、モン先輩の肉体を見た時は息を飲んだよ。モン先輩のと比べたら、こんなちっちゃいおちんちんなんて、むしろ無い方がいいくらい。無毛で皮被りの、こんな子どものようなものがおちんちんだなんて思わないことだね。ねえ、お前、聞いてるの?」
突然Y美は、気をつけの姿勢のままおちんちんの皮を引っ張られる痛みと恥辱に耐えている僕の顔を覗き込み、問い掛けた。何とも答えられない僕に腹を立てたY美は、「これでもおちんちんかって聞いてんだよ」と、人差し指で皮の中に隠れる亀頭を押した。おちんちんが体の中に押し込まれる痛みに悲鳴を上げて許しを乞う。思わず暴れてしまった僕をS子が羽交い絞めにして押さえた。
ひとしきりモン先輩の裸体について語ったY美は、N川さんの羨望の眼差しに気づいて、「見てみたいの?」と訊ねた。ぽかんと口を開けたままN川さんが頷く。他の女の人たちもモン先輩の裸体に興味を示した。「やはり男の体って、モン先輩のような成熟した人の裸を見ないと分からないかもしれない。ナオス君じゃ女の子みたいな体だもんね。まあ、だからこそ私たちの好きにできるっていうのがあるんだけど」と、ルコが部屋の隅で素っ裸の身を小さく丸めている僕の方を見やりながら言うと、女の人たちが次々と同意した。
Y美は皆の考えていることを汲み取り、
「そうねえ、モン先輩がH山さんをヒイヒイ泣かしている写真があるから、これでモン先輩もある程度は私の言うことを聞いてくれると思うけど、でも、あの人は少し危険だよ。下手すると私たちが襲われるかもしれない。だから、チャコに相手にしてもらおうと思ってんだけど」
と、勿体ぶった口調で言いさして、ぷっと吹き出した。
「何それ、幾らナオス君が女の子みたいに華奢だからって、おちんちんが付いた男の子じゃ代りにならないんじゃないの?」
今まで大人しかったミューが僕の腕を取って質問をし、僕をY美の前に引き摺り出した。僕の体を使って具体的に答えて欲しいという暗黙の意を受け取ったY美は、僕に四つん這いの姿勢を取らせた。
「だからここを使ってモン先輩のを入れさせてあければいいのよ」
ざくっとお尻に手を入れて広げる。僕の丸出しになったお尻の穴を女の人たちに見せながら、Y美が説明をした。
「ここを開発すれば、おちんちんが入るくらい広がるんだってさ」
こう締めくくるとY美は、僕のお尻を手のひらでゆっくり撫で回した。耳元で「頑張るんだよ」と、囁く。
大胆な提案に女の人たちは黄色い声を上げて騒いだ。が、僕には、その声も分厚いガラスを隔てたように聞こえた。お尻の穴に男の人のおちんちんを入れられる、というのはすぐに実感として湧かなかった。それがどういうことで何を意味するのかも理解できなかった。ただ恐ろしい、経験したことのないような恐怖の感情がじわじわと体に広がってきて、もう起ち上がることもできないくらい手や足がぶるぶると震え出した。僕はなんとかY美にすがり付いて、「お願いですから」と哀訴した。手が一瞬、Y美の胸の辺りを掠めた。
「触らないでよ、変態なんだから」
Y美によって床に叩きつけられても、自分に降りかかろうとしてる災難を運命として受け入れることはできず、今度は足にしがみついた。白くて滑々した長い足が大海に浮かぶ材木のように手放してはならない物に感じられる。これまでY美が一度決めたことを僕の嘆願によって翻したことは一度もない。お尻の穴を広げられ、欲情した男の人たちを女の人たちに代わって受け入れるなどということは、全く想像すらできない恐ろしさで、ただひたすらY美の足にしがみ付き、泣いて許しを乞う。しかし、これもY美に簡単に振り払われて、その際、足先がおちんちんの袋に当たってしまった。このところ続けて蹴られているおちんちんの袋は、なかなか痛みが退かなかった。床に体をくの字に曲げて悶絶する僕をN川さんが「自業自得って奴じゃないの?」と、冷やかに評した。N川さんは、すっかりY美のグループに染まったようだった。
あまりにも僕がいやがり、いつもとは桁違いの抵抗をするので、Y美は考え込んで、S子とルコ、ミューに意見を求めた。トイレから戻ってきた風紀委員がY美たちの話し合いの場に割って入り、求められてもいないのに強引に自分の考えを述べた。
話し合いの結果、僕に対してある条件が出されることになった。その条件をクリアすればモン先輩の相手は今回だけは許してもらえるという。その条件とは、五分以内に射精するというものだった。但し、僕は、柱の間に手足を広げたXの形に縛られることになる。射精の手伝いをする相手として、Y美が指名したのは、Fさんだった。もし僕が所定の時間以内に射精できなかった場合は、僕だけでなく、Fさんもモン先輩の相手をしなければならない、とY美が宣告した。
「冗談でしょ。絶対いや」
全身を硬直させてFさんが拒む。午前中にFさんが勝手に僕を射精させたことについて、罰を与える必要があるとY美は考えていたようだった。玄関から外へ逃げ出したFさんがS子に捕まって、再び居間に連れ戻された時、Fさんは「ルコちゃん、この人たちを止めて、許して」と、泣き叫んだけど、ルコは我関せずという態度だった。
「ルコちゃん、あの人、ルコちゃんの従妹でしょ。大丈夫なの?」
心配そうにN川さんがルコに問いかけると、
「あいつは、私のくそ親父のエッチ大好きな血を受け継いでいるから、平気だよ」
と、こともなげに答えて、往生際の悪いFさんの頬を平手打ちした。Y美とS子がFさんの洋服を脱がせ始めた。抵抗して暴れるFさんの肘がS子の顔面に当たった。激昂したS子は、Fさんのテニスウェアを背中から破いてしまった。Fさんの白いブラジャーのホックが破れたテニスウェアから見える。
「分かった。自分で脱ぎます。脱ぐから乱暴しないで」
嗚咽しながらFさんがそう言うと、ぼろぼろになったテニスウェアを脱ぎ、スカートのホックを外した。スカートがはらりと床に落ちた。ブラジャーとパンツだけの姿になったFさんは、すごく恥ずかしそうだった。僕だけでなく、同性の人たちにもまじまじと見られている。このことが意識から離れないのか、Fさんの顔は真赤だった。
「手が止まってるよ。早く下着も脱ぎなよ」
Y美がせきたてると、
「全部脱ぐんですか?」
と、消え入るような声で聞き返す。
「全部脱いでください。お願します」
わざと丁寧な言葉遣いでぞんざいにY美が答える。Fさんは諦めきった表情でブラジャーを外し、一呼吸置いてからパンツを脱いだ。
「わ、なんだこの女、牛みたいなおっぱいじゃん。ナオス君も大喜びだね」
「毛深い女だなあ。剃りがいがあるかも。モン先輩は無毛が好きだから」
とうとう素っ裸になったFさんの体をじろじろ見つめながら、Y美とS子が下品な笑い声を立てた。Fさんは急いで腕で胸と股間を隠したが、すぐにY美に腕を取られ、手足を広げた形で拘束された素っ裸の僕の前に引き摺り出された。
「今から五分だよ。射精できなかったら、二人でモン先輩の相手だからね」
ぱんぱんと手を鳴らしてY美が合図する。全裸のFさんが僕の前に四つん這いになり、おちんちんを手に取った。僕は寒さと恐怖と緊張のおかげで、Fさんがテニスウェアを破られる光景やストリップを強制されているところを目の当たりにしても性的な興奮を覚えるには至らなかったけれど、おちんちんを扱かれ、口に含まれると、急に全身の力が抜け、性的な快楽の波がじわじわと全身に広がってくるのを覚えた。この分なら五分どころか三分もしないうちに頂点を迎えられるような気がした。
「この女、慣れてんじゃん。商売してんの? もっとお尻振れよ」
「でっかいおっぱいなんだから、おちんちん挟んで擦ってやれよ」
S子やルコが容赦なく野次を飛ばす。お尻を左右に振るFさんは、もはや女の人たちの言いなりだった。僕の前に膝を立てると、胸の間におちんちんを挟んで、腰を揺すり、上下に擦り始めた。もうおちんちんは限界まで大きくなって、射精寸前だった。
と、その時、Y美がFさんのお尻をぱちんと平手打ちして、僕の体から強引に引き離した。
「はい、ここで休憩。チャコには今からお風呂に入ってもらいます」
エンコとミューが柱につないだロープを解き、僕の四肢を自由にすると、Y美とS子が僕の腕を取って浴室に連れていく。射精寸前で止められ、硬くなったままのおちんちんを丸出しにした僕は、お昼前に入れられた水風呂の前に引っ張り出された。水風呂には大きな氷の塊がいっぱい浮いていた。
「ルコにお願いして大きな氷を用意してもらったんだよ。さ、入ってみて。硬くなったおちんちんがどうなるか見てみたいの」
Y美がこう言うと、S子と二人掛かりで僕の腰を持ち上げ、許しを乞う僕の声を無視して、とうとう氷漬けのお風呂に落とした。僕の悲鳴が居間まで響いたと言ってミューとN川さんとエンコが駆け付けた。大きな声を出さないと全身の肌に突き刺さる水の冷たさに耐えられなかった。
陰部と乳房以外は女そのもん。
ナオスはモン先輩にフェラで逝かされる。
しかもその罰ゲームとして、F子とモンの結合部を舐めさせられる。
仕上げは、使い古しのF子の膣からミックスジュースを吸い出す!
ナオスが抵抗したら、ワンパンで鼻血ブーにする。ついでにお腹パンチし、腕をねじ上げて「おいっ・・・!」と恫喝する。