パイロット社の万年筆用ブルーブラック(BB)・インクは、私が万年筆を使い始めたときから使っている、最も使用期間の長いインクです。学生時代も同インクを使って講義を書き留めましたが、昭和から平成に変わる頃からパーソナル・コンピュータが身近になり、使う頻度が激減していきました。その理由は、主として使う用紙が上質紙からコピー紙に転換していったために、インクの裏抜けが甚だしい万年筆を避けてもっぱらボールペンを中心とするように変化していったからです。
しかし、2013年にプラチナ社の古典ブルーブラック・インクがコピー紙でも裏抜けしないことを知り、同インクを採用することで再び万年筆を主体とする生活に戻りました。現在も、もっぱら同社の古典BBインクを複数のペンに補充しながら使う形になっています。ではパイロットのBBインクは出番がなくなったのかというと実はそうではありません。30mL の小瓶がもうすぐ空になりそうなので、先日、70mL の容量のものを見つけて喜んでいるほどです。これはなぜか。
実は、パイロット社のBBインクを、1979年から愛用するカスタム・グランディの中字で、裏抜けしないツバメノート等に書くのはすらすらスムーズで、筆跡もはっきりしていて視認性が実によろしい。その点で、得難い美質があると感じています。
要するに、備忘録ノートや便箋など、インクが裏抜けしにくい紙あるいは片面使用が前提の紙に書くなどの用途には問題がないということです。手帳・ダイアリーやメモ用紙などを含めた様々な紙に書くメインの筆記具としては、プラチナ古典ブルーブラックインクの汎用性が断然優れていると感じます。一方で、ツバメノートや便箋など、裏抜けを問題としない限定された用途では、パイロットのブルーブラックインクも活躍の場面があるということでしょう。
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