デフレは物価が下がるという意味の経済用語です。
国と区は、「デフレ完全脱却」で、公共インフラ需要を激増させ、物価高に誘導しています。
それでも、大田区は、直ちに物価高に影響しないと言いますが、本当でしょうか。
直ちにというのは、すぐに影響しなくても、少ししたら影響するという事でしょうか。
大田区は、投資的経費の予算を10年前の実績の9倍に増やしました。
債務負担行為と言って、最近は当初予算に、次年度以降の予算まで書き込んで、投資的経費を確定させていて、令和6年度の債務負担行為は、1000億円を超えています。
それなのに、補正予算で、さらに、将来の需要を、積み上げるようになっています。
物価高へ、物価高へと誘導しているのです。
物価に影響しないはずがありません。
大田区の補正予算への反対討論です。
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フェアな民主主義 奈須りえです
第112号議案 補正予算について反対し、反対の立場から討論いたします。
デフレ脱却は、物価を上げる政策
デフレは物価が下がるという経済用語ですから、国と大田区が進めている「デフレ完全脱却」は、物価を上げる政策です。
吉川洋東大名誉教授の11月3日の読売新聞の投稿を引用するまでもなく、「絶好調の経済」かのようなバブルのようなユーフォリア「陶酔感」は政府の目標とすべきではありません。
大田区が、いま、現実に行っているのは、
・巨額な公共投資による物価高への誘導、
・賃金の抑制、
・社会保険料負担の激増です。
「ただちに」物価に影響しないのは
物価を上げない言わせない
第三次補正予算でも、
二次補正での、多額の繰り越し明許、債務負担行為による需要の先送りしたのに続き、
債務負担行為で、2028年度の需要を、更に14億円も増やしています。
需要を巨に増やしている大田区に、物価高騰を招かないか質疑したら、
・物価高は、ほかの要因もあり、
・必要だからやっているので、
・計画的だし
・「ただちに」物価高にならない
と答弁しています。
しかし、質疑で答弁した投資的経費の、当初予算と決算、そして、債務負担行為の額をみると、物価高にならない限度を超えていることがわかります。
以下、投資的経費の予算と決算、そして、債務負担行為の額です。
過剰な今年の需要
次年度以降の需要を確定させる債務負担行為も激増
投資的経費
予算 決算 需要過剰 債務負担行為
2014年は 304億円の予算に対し、決算は255億円、49億円 201億円
2017年は、276億が、 224億、 52億円 338億円
2020年は 321億が、 269億、 52億円 292億円
2023年は、441億が 355億。 86億円 710億円
各年度とも、予算を過剰に計上し、需要を、49億円、52億円、52億円、86億円も大きく見せました。
そのうえ、*債務負担行為は、会計原則単年度主義の例外ですが、
(*その年の収入でその年の支出を賄うのが原則ですが、近年、大規模な工事等を決めると、翌年以降の支出を予算書に書き込み、翌年以降の収入の使い道を事前に決めるようになっています。)
各年度、201億、338億、292億、710億円と巨額に計上し、債務負担行為を濫用しています。
10年前までの実績は61億円
3年前までの実績は120億円
それが今では、355億円
2009年から2013年の投資的経費の実績の平均は61億円
2012年から2021年の投資的経費の実績の平均は120億円ですから、
激増しています。
需要と供給で価格が決まる経済原則に変わりなく、これだけ需要を増やしているのですから、直ちに影響ないと言える金額ではありません。
本補正予算の矢口西小学校の債務負担行為は、70億円です。
2023年度の投資的経費予算441億に対し、決算で減らした金額は86億円。
いずれも、わずか10年前の投資的経費の年平均実績61億円より多いのです。
413億円で計画したのに、1年経ったら3割増の547億円
将来の需要1000億円を予算書に書き込む債務負担行為
区は、計画的投資的経費を計上していると言いますが、
昨年つくったばかりの大田区公共施設改築・改修等中期プランで、令和6年度の投資的経費は、413億円のはずですが、
令和6年の予算は、547億円と計画の32%、対前年比24%も増えていて、
例外のはずの債務負担行為は、1000億円を超えています。
投資的経費の予算を10年前の実績の9倍に増
それでも、需要が物価に影響しないのか?
建材を卸売りする企業は、これら公共需要を適時調査し、将来の需要を見込んで、仕入れや売却の量や価格を決めるでしょう。
一般財団法人物価調査会は、主要建設資材価格や市場単価の定期調査とその成果を冊子にして毎月発行していて、東京都の工事単価も、この物価調査会の調査などをもとに算定しています。
区は、直ちに物価に影響を及ぼさないと言いますが、投資的経費の予算を10年前の実績の9倍に増やし、公会計の原則を逸脱した債務負担行為で将来の巨額な需要を確定し、影響がないはずがありません。
長期化、大規模化する大田区の土木建設工事
背景に、今問題の、
入新井第一小学校や東調布中学校など学校複合化や、
呑み川合流改善事業など事業の長期化大規模化があることも指摘します。
投資的経費を比較した年は、3年に一度の固定資産税評価替えの前年ですから、
家屋の固定資産税評価にも、物価にも、影響を及ぼしたはずです。
それを、さらに、本補正予算の債務負担行為で、将来の需要を増やすのですから、
物価に影響しないとは言わせません。
所得の下支えのはずが、直後に増税
区が言う所得の下支えも、減税とは名ばかりの国債が財源の給付です。
減税直後に、こども保険を創設し、下支えどころか、手取りを減らす増税をしています。
103万の壁を取り外せば、社会保険料負担を増やす
国などがいう103万の壁が取り払われ、所得税は免税されても、
106万を超えて働いた方たちは、社会保険料を負担しなければなりませんから、
年金や医療や介護に加え、2026年から始まるこのこども保険料の負担も課せられ、
天引きの大きさに驚くでしょう。
企業側が負担しても一時的ですし、
労使折半の社会保険ですから、賃金を減らされるかもしれません。
人事委員会勧告が賃金と手取りを下げ、
民間企業に波及
中高年層は、物価を加味すれば賃下げ
今年の人事委員会勧告も、官民格差是正に特化し、
物価上昇率さえ満たさないため、
若年層以外の中高年層は、物価を加味すれば賃下げです。
これが、民間企業にも波及するのです。
デフレ完全脱却で、大田区はじめ、全国自治体の投資的経費増が、物価高を誘導し、
それを超える賃上げどころか、賃金と手取りを下げることは明らかで
反対です。