タダで何かもらえるのは嬉しいけれど、タダより高い物はない、という言葉もあるように、タダには、何か理由があり、必ずしも歓迎されるものばかりではない。
特に気を付けなければならないのが、税金が財源の事業の「タダ(無償化)」です。
最近だと、給食無償化が、ほぼすべての政党の推進課題になっています。
私は、公教育は無償であるべき、と考えていますが、国立大学さえ、独立行政法人化し、市場経済のごとく、かかった費用を、学ぶ学生や家族に負担させている。
矛盾を感じ、反対しています。
タダといっても、税金で行う事業は、事業が増えれば、その分、負担が増えることになりますから、なおさら、気を付けなければなりません。
まさに、タダより高いものはない、なのです。
家計は、収入が先に決まり、その収入の範囲で支出を決めますが、
政治は、支出=事業やニーズを決めると、そこから収入=税や保険料が決まります。
政治上、何か国民が欲しい=支出を要望するということは、増税しても良いから、やってね、と言っているのと同じなのです。
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特に
給食は、就学費援助と言って
低所得者に給食費などを援助する仕組みがありますが
この対象所得層は、かなり広くカバーしています。
仮に、物価高で、生活が維持できにくくなっている層が広がっているなら
いきなり無償化、ではなく、就学日援助の支給対象者を増やせばいいと思ったのも、反対の理由でした。
それなのに、無償化するのはなぜか。
給食食材を有機に、という運動と併せて考えれば
農業の産業化に伴う、ひとつの供給先の確保とみると、わかりやすいと思います。
ただ、それだけで、ない大きな力を感じていたのですが、
あらためて、気づいたのが、こども子育て支援制度との関係です。
学校給食について文部科学省の調査で、全国3割の自治体が無償化した、という記事がありました
今年、令和6年6月14日に子ども家庭庁の大臣は会見で、記者の質問にこう答えています。
(問)全国の学校給食費について、調査結果が昨日発表されました。これについて、大臣の受け止めをお聞かせください。
(答)お答え申し上げます。
文部科学省が12日に公表した調査結果(学校給食実施状況等調査)におきまして、3割の自治体で小中学生の全員を対象に、自治体独自の給食無償化を行っていること、一方で、給食未実施の学校や、学校給食を実施していてもアレルギーや不登校等の理由で学校給食を喫食していないこどもが相当数存在すること、また、食材費相当額である学校給食費についても、都道府県間で約1.4倍の開きがあること、さらには、成果目標の設定や成果検証を実施した自治体はいずれも2割弱にとどまること等が明らかになったものと承知してございます。
「こども未来戦略」に基づきまして、今後、文部科学省において、調査で得られた結果を踏まえ、こども間の公平性や国と地方の役割分担などの観点を含めて、学校給食費の無償化についての課題の整理を行っていくものと承知しております。
こども家庭庁としましては、まずその検討状況をしっかりと注視してまいります。
自治体で行っている学校給食無償化だが、
課題の整理をしていくというのですから、今後、国が何らかの制度化をするという風に言っているのです。
しかも
「こども未来戦略」に基づいて、です。
昨年末に策定された「こども未来戦略」は、今年6月に、こども子育て支援法の改正で
かかった費用は、医療保険料に上乗せ徴収される仕組みに変わりました。
給食無償化にかかる費用を
自治体の税金ではなく、医療保険料に上乗せして徴収することを検討する、という風に言っているわけです。
医療保険料があがることになります。
タダだったはずの給食無償化ですが
しっかりとここで請求されます。
しかも
就学費援助で、負担がなかった方も、医療費は上乗せ徴収されるので
就学費援助で給食費の負担がなかったほうが、負担はすくないことになります。
それでは、
就学費援助を受けてなかった少し所得層が高い方たちは、
タダになって良かったかといえば、医療保険料という仕組みに注意しなければなりません。
医療保険の大半は、労使折半と言って、企業とそこで雇われている人とで、半々で負担をしています。
そうなると、賃金が抑制される可能性がでてくるのです。
医療保険料は以下のような保険者で運営されています。
組合健保 大企業などの保険で労使折半
協会けんぽ 中小企業などの保険で労使折半
共済 公務員
国民健康保険 上記以外の方たち
後期高齢者医療保険 上記の方たちが75歳になると入る保険
大体大田区ですと、太字の保険に加入している被保険者は、42万人。
働いている方の84%、人口74万人の大田区では、特別区民税の納税義務者約42万人が
太字、上から3つの保険に入っています。
「こども未来戦略」に盛り込まれた主な施策には、以下のような事業があげられています。
ここに、給食も入れることを検討する、というのが、上記の大臣会見の意味です。
そして、それらが、今後、2年据え置いた後、段階的に医療保険料に上乗せで徴収されることになるわけです。
賃金も抑制される可能性が、、
子育て世帯の家計を応援
出産育児一時金、児童手当拡充、児童扶養手当拡充、住宅支援、医療費等負担軽減、大学等の授業料等減免支援拡大、授業料後払い制度など
すべてのこどもと子育てを応援
伴走型相談支援、産後ケア、こども誰でも通園制度、障害児等の地域での支援強化、放課後児童クラブ拡充、こども・若者の安全・安心な居場所づくり、ひとり親等のこどもへの学習支援など
共働き・共育てを応援
男性育休取得推進、時短給付、看護休暇、自営業・フリーランスの育児期間の年金保険料免除など
そうなると、中間所得層から上から保険料徴収されるので、中から上の所得層の手取りが減ることになると思います。 ちょうど、介護保険を使うと、その分、介護保険料が上がるのと同じです。