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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

未来への扉

2024-05-01 20:14:48 | 設計業務
昨年末に大型パネルを製作するウッドステーションの塩地会長から1本の電話がありました。
「じゅんちゃんさぁ、AIがPDF図面だけで積算したらすごいと思わない?」※

「すごいと思いますよ。いずれそういう時代が来るんでしょうね」(しったかの発言。50-100年スパン)

「そういうのに取り組み始めたから楽しみにしててよ」

年が明けて再び塩地会長から電話がきました。
「じゃんちゃん、できたよ~」

「はぁ?」

基本的な動作をAIに覚えさせたの事。
あとはシミュレーションを繰り返して精度を上げていくだけなんだそうです。
人間の世界の50年はAIの世界では2週間ほどの様です。

人の数倍のスピードで不眠不休で働けるんだから、人間の時間で考えちゃいけないとの事。


そして、この度運用行ける段階まで来たとの連絡を受けて、
AI概算と勝負してきました。

ということでAIさんの腕試しということで昨年建てた物件の図面を入力。

性格の悪さには自信があるので、
寝る直前に依頼するという嫌がらせから始めましたが、翌朝には出来上がっていました。

AIさん徹夜で頑張ってくれたようです。
ちなみに依頼したのは3件。
同じ間取りで
①1/100の計画図

②1/50の実施図
③1/50の実施図(ロフトの平面詳細図付)


同じ物件だけど、線の多さが違う、ロフトの表現力が違う図面。
これの判別をAIさんはできるのか?
私の性格の悪さが全面に出ています。

そして、やっと検証が終わりました。
AIさんの作業=数時間
私の検証時間=1週間

この時点で完敗としか言いようがありませんが、私も粗さがしに必死です。

すごい点
1.概算見積もりとしては全然いける金額誤差。余裕がある金額が出てきたのでお客さんからの不満は出なそう。
2.1/100と1/50で拾いにほぼ差が出ない。なんで?どうやって線を理解してるの?
3.普段の積算で拾ってみようもない、拾うのも面倒臭い、または拾い忘れしちゃいがちな副資材もきっちり拾ってきてる。

(検証期間中なので、まだお見せできるのは部分的な範囲です)

課題点
4.一部拾いに不足があった。今回の物件については¥130万ほど。この未拾いの部分を積算担当者が気が付かないと痛い目を見る可能性あり。
5.内部耐力壁、真壁、吹き抜け、スキップフロア、登り梁の24mm合板張りなどの納まりに対応できていない。

上記課題点については、拾いの不足=学習不足なので同じ課題といえる。ただし、学習させればいいだけなのでこの課題はクリアできると思う。

まとめ、人間様がゼロからプログラミングするわけではなく、AIさんが自分で学習して覚えちゃうっていうのが既存のソフトと大きな違いだと思います。
よって、私よりも性格の悪い人が、これはできないだろう、あれもできないだろうと嫌がらせ続けるとAIさんはどんどん学習してできるようになっちゃう。(もちろん人間様の手助けが必要だと思います)

AIさんは、不眠不休で文句ひとつ言わず仕事をしちゃう。
ウッドステーションに一番適した社員さんというのが使用した一番の感想でした。

ちがうか。

図面の読み込み精度はこれからの学習に期待して、現時点で一般的な納まりであれば十分いける精度だと思いました。

ぎゃふんって言ったら未来がそこにありました。
これで、仕事がスピードアップできるかもしれん。


※現在、積算方法は2種類あります。
1.昔ながらに人間が一つ一つ図面をにらめっこしながら数量を拾って、関係各所から聞いた単価と掛け算して見積もりを作る方法(工務店や設計事務所)
2.パソコンに覚えさせたサッシや建材の部品で図面を描いていくことで使用数量が自動的に拾えるシステム。ただし、部位に入力した単価は毎年価格改定が行われたり、廃盤や新商品が毎年のように繰り返されるので、システム担当者は1年中管理している。(ハウスメーカーや大手ビルダー)

どっちにしても、マンパワー頼りでひたすらに大変という作業なんです。

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