DCコミックの悪役連合映画『スーサイド・スクワッド』でマーゴット・ロビーが演じたハマり役、ハーレイ・クインの単独主役映画の登場だ。モラハラ彼氏(=ジョーカー)に尽くす女なんて#Me too時代には相応しくない。男と別れ、女同士で結束し、暴れまくるシスターフッド・アメコミ映画になっている。ロビーはプロデュースも兼任し、監督にはアジア系キャシー・ヤン、共演にはメアリー・エリザベス・ウィンステッドら多くの女性キャストと業界におけるマイノリティで固められており、おそらくアメコミ映画の中でもインクルージョン・ライダー(包摂条項)が高く達成された映画ではないだろうか。
そんな“正しさ”からナメられないようにと、ロビーはアクション監修に『ジョン・ウィック』シリーズのチャド・スタエルスキーを招聘。これまでCGメインの大味なアクションが売りだったDC映画にフィジカル重視のスタントを持ち込み、バイオレンス描写でR指定を勝ち取った。『ジョン・ウィック:パラベラム』でもありとあらゆる道具(犬、馬まで!)を使って刺客を殺すキアヌ・リーヴスにスラップスティックな笑いが生まれていたが、それがトリックスターのハーレイ・クインにもマッチしており、ジャーニー・スモレット・ベルは足技、ウィンステッドはクロスボウとそれぞれの個性をアクションで演出している。
ハーレイ・クインが『クルーレス』の如く喋りまくり、時制が行ったり来たりする構成は時折まどろっこしく、子供を救うために悪党が改心するという展開もやり尽くされた感は否めない。あらゆる女優とマッチする当代きっての“白米俳優”ユアン・マクレガーの悪役もそんなに怖くない。
それでもカッコいい女子達がキャッキャとはしゃぎながら暴れ回る様を見るのは楽しく、『ファーゴ』シーズン3でもしなやかな魅力を発揮したメアリー・エリザベス・ウィンステッドの凛々しさには惚れぼれしてしまうばかり(出番少なすぎるよ!)。全米では予想された程の興収を上げられなかったが、彼女らが『アベンジャーズ』よろしく打ち上げするシーンも楽しく、ぜひとも続編を期待したい。見たいものを見せてくれるMCUもいいが、『ジョーカー』はじめこちらの予想を裏切る大胆なアプローチを続けるDCからも目が離せない!
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』20・米
監督 キャシー・ヤン
出演 マーゴット・ロビー、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジャーニー・スモレット・ベル、ロージー・ペレス、クリス・メッシーナ、エラ・ジョイ・バスコ、ユアン・マクレガー
メインビジュアルからして派手さが抜群ですね。悪のヒーローという、他にないコンセプトがすごく良いですねぇ。
ジョーカーの彼女というのは知らなかったです...
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