1975年のブラックスプロイテーション『ドールマイト』製作の裏側を描く本作はエディ・マーフィの久々の快投もあって実に愉快な映画に仕上がった。
スターを夢見ながら昼はCD屋の副店長を務め、夜はライブハウスで前座に甘んじる主人公ルディ。とうに若者とは言えぬ年齢であり、すっかり腹も出てきたが、それでもスターを目指してネタ探しに余念がない。彼はホームレスの与太話をブラッシュアップし、独自のリズムとFワード、そしてケバケバしい衣装でお笑い芸人“ドールマイト”としてカルト的な人気を博すことになる。
2006年の『ドリームガールズ』で大復活を遂げたエディ・マーフィだったがオスカーでは惜敗し、授賞式を途中で抜け出してからというもの、その後13年間は再び無為なキャリアを歩む事となってしまった。
だが侮ってはいけない。ドールマイトよろしく舞台に立てばスピード感あふれる天性の話芸で耳目を集め、そのカリスマ性は映画を輝かせる。出っ張った腹は彼の円熟であり、再びオスカー候補が囁かれるのも納得だ。Netflixがまさかの『ビバリーヒルズ・コップ』第4弾にGOサインを出したのも大いに頷ける。
スターを夢見ながら昼はCD屋の副店長を務め、夜はライブハウスで前座に甘んじる主人公ルディ。とうに若者とは言えぬ年齢であり、すっかり腹も出てきたが、それでもスターを目指してネタ探しに余念がない。彼はホームレスの与太話をブラッシュアップし、独自のリズムとFワード、そしてケバケバしい衣装でお笑い芸人“ドールマイト”としてカルト的な人気を博すことになる。
2006年の『ドリームガールズ』で大復活を遂げたエディ・マーフィだったがオスカーでは惜敗し、授賞式を途中で抜け出してからというもの、その後13年間は再び無為なキャリアを歩む事となってしまった。
だが侮ってはいけない。ドールマイトよろしく舞台に立てばスピード感あふれる天性の話芸で耳目を集め、そのカリスマ性は映画を輝かせる。出っ張った腹は彼の円熟であり、再びオスカー候補が囁かれるのも納得だ。Netflixがまさかの『ビバリーヒルズ・コップ』第4弾にGOサインを出したのも大いに頷ける。
サブカル的な人気を得たルディはこれを足掛かりに全国区へ躍り出ようと映画製作に乗り出す。劇場で映画を見てもスクリーンには白人ばかりだからだ(そりゃニール・サイモンの『おかしな二人』じゃ無理もない)。
ルディは舞台音源を収めたレコードの印税を元手に映画を撮り始める。スタッフ、キャストは手弁当も同然だ。周りを巻き込むルディのお祭り騒ぎはマーフィのスター性そのものであり、彼に引かれて活気あふれるキャストアンサンブルの中ではとりわけウェズリー・スナイプスがいい。彼演じるダーヴィル・マーティンは当時、『ローズマリーの赤ちゃん』に(端役で)も出演した新進俳優であり、スナイプスの気取ったコメディ演技はマーフィ以上の瞬間風速的笑いを呼ぶ。数々の駄作アクションと脱税事件ですっかり忘れていたが、達者な人なのだ(カサヴェテスを引用する場面は最高!)。
クレイグ・ブリュワーはこれまでも人間の創作衝動を描いてきた監督だ。ブレイク作『ハッスル&フロウ』ではポン引きがラッパーを目指し、娼婦たちにバックコーラスを歌わせる。録音を聞いた娼婦は自分のものとは思えぬ歌声の美しさに感動し、思わず涙をこぼす…忘れられない名シーンだ。
本作でも夫の不貞に苦しめられ、家を飛び出し女(ダヴァイン・ジョイ・ランがいい)がスクリーンに自らの居場所を見出し、窮地のルディを救う「あなたはスターよ」。
熱くならなきゃ人生じゃない。ましてやショウほど素敵な商売はないのだ。腹の出てきた中年すら燃焼させる快作である。
『ルディ・レイ・ムーア』19・米
監督 クレイグ・ブリュワー
出演 エディ・マーフィ、ウェズリー・スナイプス、キーガン・マイケル・キー、マイク・エップス、クレイグ・ロビンソン、タイタス・バージェス、ダヴァイン・ジョイ・ラン
※Netflixで独占配信中※
監督 クレイグ・ブリュワー
出演 エディ・マーフィ、ウェズリー・スナイプス、キーガン・マイケル・キー、マイク・エップス、クレイグ・ロビンソン、タイタス・バージェス、ダヴァイン・ジョイ・ラン
※Netflixで独占配信中※
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