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リドリー・スコットのファンとしてはディレクターズカット版を見越しての劇場公開版である事がありありとわかる1本だ。およそリドリーらしくないテンポの速いストーリー展開、シガーニー・ウィーヴァー、アーラン・ポールら実力派のほぼ空気な扱いに『キングダム・オブ・ヘブン』の50分とまではいかないにせよ、未公開シーンがたっぷりある事は想像がつく。
それだけならまだしも、『グラディエーター』から始まる一連の史劇大作で発揮されたまるで宗教画のような映像美が少しも見受けられず(おそらくCGの多用が原因ではある)、ほとんど誰が撮ったのかわからない仕上がりが残念だ。リドリーらしい采配が見受けられるのはせいぜいオープニングの合戦シーンくらいである。
また数々の奇跡、災厄の再現は彼の本領が発揮できる場面にも関わらず、それらを全て“異常気象”で片付けるリアリズムを重視したコンセプトが非常に窮屈に感じられた。
アメリカ人がメイクでエジプト人を演じる違和感と滑稽さについては今更『クレオパトラ』を引き合いに出すまでもなく、ハリウッドの悪しき伝統芸能であり、故に古い映画である。エンドクレジットでは弟トニー・スコットへの献辞が捧げられているが、死の匂いが濃厚な前作『悪の法則』こそが手向けに相応しいように感じた。
『エクソダス 神と王』14・米
監督 リドリー・スコット
出演 クリスチャン・ベール、ジョエル・エドガートン、ベン・キングズレー、アーロン・ポール、シガーニー・ウィーヴァー、ベン・メンデルソーン、ジョン・タトゥーロ、マリア・バルベルデ
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