ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

DATE 語 録 (4)

2023-09-23 09:36:16 | 北の湘南・伊達
 伊達に移住して12年目を迎えている。
この間、数々の出会い、エピソードがあった。
 それを思い出すまま、語録として綴る。
前回は、昨年の10月末に記した。
 今回は、4回目である。

 6.「私 むすめです」
 年に1回、社会福祉協議会が主催する
『お楽しみ昼食会』がある。
 コロナで中断していたが、4年ぶりに開催された。

 この昼食会は、75歳以上で1人暮らしの方が対象だ。
食事を取りながら、ピアノに合わせた歌入りゲームをしたり、
カラオケをしたりして2時間余りを過ごす。

 自治会長だからと、協議会の役員になっている私は、
この会の受付を頼まれた。
 開会の30分以上も前から、
私より年上の方々が、次々と受付をとおり会場の席に着いた。
 案の定、開会10分前には全員が揃った。

 受付や会場案内係の役員も、
参加者と同席し、一緒に会食する。
 各円卓は、指定席になっていた。
私の席のテーブルには、10人が座っていた。
 
 着席するとすぐ、
真向かいの男性と女性の会話が耳に飛び込んできた。

 男性は受付で渡した座席名簿を手に持ち、
隣の女性に話かけた。
 「Y田さんって、O山さんの隣のY田さんですか?」
「そうです。O山さんの隣のY田です」。
 「確か・・・、Y田さんのご主人はもう10年以上も前に、
・・亡くなりましたよね」。
 「そうです、そうです」。

 私より10歳以上も年長と思える男性の、
腑に落ちない表情は、さらに続いた。
 「でも、それに・・・奥さん・・も・・、
あれ! 私の勘違い・・!」。

 女性は、ハッと表情を明るくし応じた。
 「そうですよ。
だから、私、むすめです。
 誰もいない家になったので、
私、独り身なので、
3年前からあの家に住んでいるんです」。

 「そうですか。Y田さんのむすめさんですか。
そういうことか。なるほど」。
 謎が解けた男性の声は急に明るくなった。
やや恥ずかしそうに女性は続けた。
 「そう言っても、私も今年で75ですけど・・ね」。
「いやいや、そんなのは構わん、構わん」。
 
 私だけでなく、同席した方々も謎が解け、
安堵した顔になっていた。
 
 
 7.「100円の追加で」
 当地も人口減少が進んでいる。
その余波の1つが、各種店舗の閉店である。
 よく利用していたカジュアル衣料の店も、
2年ほど前に、突然店じまいをした。
 
 なので、このごろ、衣類を購入する時は伊達市内を諦め、
主には室蘭、時には苫小牧まで足を伸ばすことにしている。

 さて、そこで困ることがある。
ズボンの裾上げである。
 店によっては、1時間ほどの待ちで仕上げてくれるが、
多くの場合、数日後の仕上がりとなる。
 再度の来店を求められるのだ。
これが難儀なことである。

 そこで、多少費用がかかっても、
裾上げは市内の洋服リフォーム店にお願いすることにした。

 さて、その店だが、これも数少なくなった。
やっと探し当て、買い求めたズボンを2本持って、
初めてお店へ行った時だ。

 手慣れた店員さんが応対してくれた。
裾上げを依頼すると、
注文が多いので、数日かかるとの返事だった。

 他の店を探すのも手間なので、
数日を待つことを了解した。

 すると、「お急ぎの場合は、追加料金がかかりますけど、
それでよければできますよ」と言う。
 「追加料金って、いくらですか」。
いちおう参考までにと、訊いてみた。

 その回答にビックリした。
「100円の追加で、仕上がりは明日の夕方です」。 
 即答した。
「明日の夕方でお願いします。追加料金を払いますので」。
 



『かや』(岩手県以南に分布)の樹下 かやの実だらけ!
                ~だて歴史の杜にて

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