ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

学力は 学ぶ力 

2015-04-24 22:02:22 | 教育
 今週、全国の小学校6年生と中学校3年生を対象に、
『全国学力・学習状況調査』が行われた。

 この調査は、今年度で9回目になるが、
「全国的に子供たちの学力状況を把握する」ことを目的としている。

 しかし、調査結果を都道府県別に公表することに加え、
市町村別や学校ごとの成績公開が取りざたされている。

 これを受け、調査結果に対し、関係諸機関や学校は、
「戦々恐々、一喜一憂状態にある。」
と、言ってもいい。

 そして、学校よっては、「今年こそ、いい成績を。」
と、事前に過去問に取り組むところまで出現しているとか。

 これでは、本来の目的から大きく逸脱するばかりか、
「テストへの傾向と対策が、学力の向上策」
と錯覚しているのではと、危惧してしまう。

 まさかとは思うが、
「把握された学力状況こそが、学力そのもの」などと、
勘違いしていないことを信じたい。

 どうか、学校現場では、調査結果に対して、
実施の目的に鑑みて、学力状況として冷静に客観視し、
自校の教育活動に対する、『成果と課題』と受け止めてほしい。
そして、そのデーターが生きる教育の創造に、
努力してほしいと願って止まない。

 さて、この調査にもある『学力』とは、何を指すのか考えてみたい。

 現学習指導要領は、平成14年からの指導要領に引き続き
「生きる力」を育むことを教育の理念としている。
そして、それをより一層育むことを推進するとしている。

 指導要領が理念とまでしている「生きる力」であるが、
それは、
「変化の激しいこれからの社会を生きる子供たちに」とって必要な、
『確かな学力』、『豊かな人間性』、『健康・体力』
の3つの要素からなる力」のことである。

 つまり、「生きる力」の3つの要素の1つが、『確かな学力』である。
これを、素直に『学力』と考えていいのだろうと思う。

 その内容を列記すると
  ・知識、技能
  ・思考力
  ・判断力
  ・表現力
  ・課題発見能力
  ・問題解決能力
  ・学び方
  ・学ぶ意欲
 の8つが『確かな学力』の中身である。

 私は、このような学力への考え方と内容について、いささかの異論もない。
「どうか、どの子にもこのような力が、しっかりと身に付くように。」
と、強く強く願っている。

 それは、学習指導要領にもあるように、
子供たちは、「変化の激しいこれからの社会を生きる」ことになるからである。

 私たちの多くは、6才で小学校に入学し、
中学校、高校、そして専門学校あるいは大学へと進み、
20才前後まで、一日平均6~8時間程度の学習時間を積み重ね、
成長期を過ごしてきた。
 この10余年の間に、その後を生きるための知識や技能、
そして必要な様々な能力を、自信の身に付けた。

 一昔前の社会は、その身に付けた知識や技能などの能力を生かし、
大人として長い人生を生きぬくことができた。
 だから、学校での教育は、そのためのものであった。

 しかし、時代は大きく変わったのである。
 技術革新の速度は、私のような凡人の想像をはるかに越えて進んでいる。
それまで獲得してきた知識や技能だけでは、
役に立たない、通用しない様々なものが数多く生まれている。
それに伴った多様な変化が、
生活のいたるところに押し寄せているのが、現代社会である。
 多くを説明しなくても、今日、それは容易に理解できるであろう。

 つまり、今までの知識や技能では、新しい変化に対応できないのである。
いわゆる『知識の腐食化』等が、物凄い速さで進行していると言える。

 だから、これからの社会にあっては、すべての人々に、
常に新しい知識や技能を習得する力が求められるのである。
 その力なくしては、時代に対応することはできない。
 常に技術革新に応じた新たな知識や技能の獲得が、
これからを生きる人々には、どうしても必要とされる。

 とりわけ、さらに変化が加速する時代を生きる子供たちには、
絶対に欠かすことのできない力となる。

 この進化する知識と技能、
いわば、次々と進む技術革新とそれに伴う様々な変化を吸収し、
多種多彩な新しさを獲得する資質や能力を、私は、今日の『学力』と捉える。
 それは、変化に対応する一人一人の『学ぶ力』と言ってもいい。

 先に上げた8つの『学力』内容は、
つまるところ、これからの新たな知識や技能等を『学ぶ力』、
それを示したものと考える。

 くり返しになるが、『全国学力・学習状況調査』が
全国の子供たちの『確かな学力』向上に、有効活用され、
激しく変化する社会における『学ぶ力』となるよう願っている。





  秋蒔き小麦の畑は みどり色 

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