(1)G7広島サミットにゼレンスキー大統領が出席するため来日した。サプライズのように受け取られているが、当初からの予定行動だったのではないか。ゼレンスキー大統領はサウジアラビアで開催されたアラブ連盟の首脳会議に出席(報道)してその足で来日となるのは、岸田首相がインド訪問後日本に戻らずにウクライナに向けて出発したのと同じ行動でのゼレンスキー大統領のG7広島サミット出席だった。
(2)当初ゼレンスキー大統領のオンラインでのG7参加はダミーで、戦闘中の国としては首脳の行動を相手国に察知されないことが条件で直前での来日報道、G7サミット出席ということになったとみられる。
岸田首相のウクライナ訪問の返礼ということもあるし、G7広島サミットにゼレンスキー大統領を招いてウクライナ問題で露に対してG7とウクライナの結束を示す大きな効果を狙ったものだろう。
(3)G7広島サミットへの注目度が高まったのは間違いなく、G7として世界に向けてインパクトのある行動、声明を出してウクライナの反転攻勢に対してはずみをつけたいところだろう。
これがウクライナ戦争の終結につながるかはわからずに、被爆地広島でG7首脳たちが核軍縮、廃絶に向けてどういう声明を出すのか注目されるところだが、追いつめられたプーチン大統領が核攻撃を選択するということになればゼレンスキー大統領のG7広島サミット出席がパラドックス(paradox)として裏目に出る危険も考えられる。
(4)米、NATO、G7は当初の露への経済制裁強化よりは今やウクライナ反抗のための主力兵器、戦車、戦闘機の供与が大きく先行して、ウクライナ軍の反転攻勢が近い報道が目につく。その結果についてはいくつかのシミュレーションはあるが、米、NATO、G7がどういう戦況分析で「その後」の責任を取ろうとしているのかみえてこない。
(5)米、EU、日などが参加しての露の経済制裁強化も西側企業の露撤退に数字上は露のGDP低下はみられるが、専制国家の特徴として国家、プーチン大統領にどれほどの影響力を及ぼしているのか、露と中国の強い連携関係があり、インド、アフリカ諸国のグローバルサウスは露への経済制裁には関心がなく効果のほどはわからず、伝わってこない。
(6)G7広島サミットへのゼレンスキー大統領の出席にばかり目を奪われて、本質を見誤ればウクライナ戦争は危険な方向性に拡大する不安がある。