(1)北朝鮮が今年に入って立て続けに日本海に向けて4回のミサイル発射をした。ずいぶんと日本海、海底が汚染されてしまったが、国連では5日のミサイル発射が「極超高速ミサイル」と北朝鮮が主張しているのを受けて国連安保理の非公開会合(報道)が開かれた数時間後の2回目のミサイル発射から4回のミサイル発射で北朝鮮が技術力誇示による挑発ではないかとの憶測もある。
(2)5日の北朝鮮ミサイル発射に対する国連安保理の非公開会合では「安保理決議違反」との非難が相次いだ(報道)が、中露の反対で安保理としての非難声明発表はなかった。仮に安保理として非難声明を出してもこれまで同様に安保理声明にもとづく米国などの経済制裁を受けている北朝鮮に対しては有効な声明とはならない。
経済制裁は挑発を続ける北朝鮮には有効な手段だが、抜け道はあるようで中国が厳格に遵守しているのか、国籍不明の海洋上艦船から北朝鮮側への積み荷の受け渡し報道もある。
(3)国連安保理の形がい化がいわれて久しいが、日本は国連改革に役割を果たす意欲を示しているがどう取り組んでいるのかは伝わってこずに、日本は安保理常任国でもなく、安保理の形がい化は一向に改革に向かわない。
大国の利害、エゴに支配されて利害相半ばする米と中露が拒否権行使でなかなか全会一致での安保理声明が出せない弱体体質だ。
(4)米国は安保理決議もないまま自国の判断で紛争地に米軍派遣したこともあり、これに日本が協力するのにあたって安保理決議のないことが問題になった。米国も拒否権以前に安保理の協議すら省いて自国利益、安全保障の判断で行動して、安保理の存在自体が安保理国の手によって失いかけているというパラドックス性(paradoxical)だ。
(5)国際政治は以前は多数だった民主主義、自由主義国が少数となり、専制主義、権威主義国が初めて多数となる今日的事情にあるが、国連安保理常任国は民主主義、自由主義国が多数で専制主義、権威主義国は中露という構成で仮に拒否権(veto)を廃止して多数決ということになれば、パラドックスとして両陣営の均衡が破れて目指す日本、ドイツの安保理常任国入りはよりむずかしくなるだろう。
(6)今年、核保有国の米英仏中露は核戦争拒否の共同声明を発表した。両陣営の拒否権同様にいざとなったらどこまで守られるのか、これまでも大国利益、エゴで国際「約束」、協定、条約が平然と破られてきた経緯があり油断はできないが、国連安保理もいつまでも拒否権でない構成国の協議で一致点を見出すあたらしい基準、制度改革が求められている。