(1)メディア、新聞の国民世論調査の内閣支持率は時の首相を退陣に追い込む影響力を持つこともあるが、それも普通何年に1回の選挙の投票行動によることが大きい。安倍元首相は首相当時大企業が成長しその利益が中小企業、地方、国民に回るトリクルダウン方式(trickle down)を唱えて、大企業、富裕層優遇政策(アベノミクス)を推進した。
(2)森友問題では保守思想の強い安倍首相が保守右傾化教育の森友学園側に国有地をタダ同然で払い下げて、妻昭恵氏を同理事長に送り込んで一連の疑惑が国会で追及されると財務省公文書を改造、書き換え、当時の理財局長が国会答弁で記憶にない、知らない発言をくり返して追及を逃れて、あからさまにその理財局長を国税庁長官に任命する貢献人事をして批判を受けた。
(3)安倍独断疑惑政治の批判には国会前でタレント、著名人も参加して抗議行動が開かれて、うねりとなって話題になった。タレント、著名人が参加しての国会前での抗議集会には若者が政治に強い関心を行動で示す機会の始まりであったように思うが、その後の菅、岸田政権でも数々の問題はあったがコロナ社会で分断されたか、若者の政治批判行動は広がりをみせることはなかった。
(4)時代、社会はコロナ禍でテレワーク労働に代わって、ネットサービスが主流となってツイッターからSNS、動画サイト全盛を迎えている。SNS、動画サイトは誹ぼう、中傷、フェイク
の社会問題を抱えながらネット発信時代の中心となり、選挙では無党派層をつなぐ重要デバイスとなって拡散し選挙行動の行方に影響力を高めている。
(5)NHKの出口調査では「投票する際に何を最も参考にしたか」では30%が「SNSや動画サイト」と答え、「新聞」、「テレビ」の各24%を上回る結果となった。これまでは選挙投票には若者の関心は薄く、高令者が比較高いというのが一般的であったが、通常SNS、動画サイトを利用する若者層の傾向が投票行動に参考にした30%で、こちらも通常新聞、テレビを利用する高令者の各24%を上回るという逆転現象でSNS、動画サイトが若者中心に政治への関心を高めているといえる。
(6)上述したようにSNS、動画サイトは社会問題も多く、政治、選挙に使われてポピュリズム(populism)を扇動して政治行動、判断を支配するという問題を提起している。