(1)岸田前首相時代には「田中角栄研究会」が野党第1党の立憲民主党内につくられて話題を集めたが、今度は自民、立憲、国民民主の超党派議員による「石橋湛山研究会」(23年設立)が石破首相、岩屋外相など閣僚5人に立憲、国民民主古川税調会長などが参加して、政局がらみの話題となっている。
(2)石破首相は11月30日の臨時国会での所信表明演説の冒頭基本方針で、昭和32年2月の当時石橋湛山首相の演説を引用して(報道)同研究会との強い関連性を印象づけた。国民民主の古川議員は日本も世界も湛山が活躍していた昭和20年代の状況に似ているとして、湛山の思想の学び直しの必要性を述べて政界再編があるとすれば「石橋湛山研究会」が軸になるとまで言っている。
(3)しかし、戦前、戦後の混乱期(欧米と日本の対立)とグローバル化、情報化、IT、AI時代の今(欧米日と中国、露の対立)とでは背景自体が違っており、決定的に人口構造、国民意識、政治を見る目が違っており、石破首相が参加する「石橋湛山研究会」が注目され石破首相が所信表明演説冒頭で湛山演説を引用するとなるとますます石破首相の存在感を失うジレンマを生むことにもなる。
(4)野党の「田中角栄研究会」、超党派の「石橋湛山研究会」が注目を集めるのも、これまでの日本政治の自民1強、多弱野党時代の閉塞感、政治不信、さらに解決できない政治とカネ問題のくり返しに対する与野党を問わず危機感がまん延している証でもある。
そのうち自民党安倍派解消にともない、所属した議員らによる「安倍晋三研究会」なるものが設立されるのではないかとの思惑も考えられる。
(5)しかし、過去を見て、学ぶことは未来につながるものでもあり、議員の改革力、実行力、出直し論不足を露呈するもので、パラドックスとして過去にすがる自虐的思考を見せつけられて期待できない消極的傾向とみる。
それにしても議員たちは学歴を見ればそうそうたるものたちだが、一体大学等で何を学んできたのか、確かに一時大学での教育は社会に出て役に立たない(本来はそんなことはない)と言われたことはあり、議員の彼ら(彼女ら)が立派に証明してみせている。
(6)それが野党の「田中角栄研究会」、超党派議員の「石橋湛山研究会」につながっているのであれば、少しは気休めになるというものだ。